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パニッククリスマス

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4部分:第四章


第四章

 携帯で警察に連絡を入れる。その間も駆けている。
「あっ、警察ですか?」
「はい、どうしたんですか?」
「港にテロ支援国家の工作員がいます」
 こう通報するのだった。
「逮捕して下さい」
「えっ、あれ新潟にいるんじゃないんですか?」
「けれどうちにいますので」
 紛れもない事実だった。しかも拉致を企てていた。
「ですから捕まえて下さい」
「わかりました。自衛隊も呼びます」
 かくしてだった。拉致からは逃げられた。しかしだ。
 何故か港に取材に来ていたジャーナリストがテレビカメラを前にだ。こんなことを偉そうに言っていた。
「私は拉致をやっていないと思いますが」
「やってるわよ!」
 そのジャーナリストに叫んでからだ。そのうえでだ。
 駆けているそのスピードを利用してだ。髪が半ば白くなっていてネクタイをしていない、鳥とか鶏とかいう名前の彼を蹴り飛ばしだ。こう叫んだ。
「こっちに工作員の仲間がいるわよ!」
「同務、何故そこにいる!」
「作戦失敗だ、帰るぞ!」
「さあ、こっちだ!」
「早く来い!」
 そこにその自称共和国の面々が来てだ。ジャーナリストを連行していった。かくしてこのジャーナリストは拉致があることを知ったのだった。
 港は抜けた。そしてだ。
 町に入った。そこから駅に向かう。しかしだ。
 今度はだ。前からだ。
 スキンヘッドに鹿の角を生やしだ。インド風の服を着た気色の悪いマスコット達が行進しながら来た。彼等はこう口々に言っていた。
「ナラッ、ナラッ」
「ちょっと、今度は何なの!?」
 そのマスコットは佳美も知っていた。近畿のある県のマスコットだ。それがだ。
 百体程で団体で行進してきてだ。そのうえでだ。
 町にいるヤクザ者や不良をだ。片っ端から虐殺していた。
「うわっ、うわあああああっ!」
「助けてくれーーーーーーっ!」
 左手からマシンガンを出しその牙で首を引き千切り。町のそうした者を殺戮していた。
 右手の指はナイフになりしかも手が刃になって切り裂く。目から怪光線、口からはロケット弾や炎。そうしたものを駆使してであった。
 虐殺を展開していた。当然流れ弾も来てだ。かなり危ない。
 市民達は逃げ惑う。その中にだ。
 当然佳美もいてだ。こう言うのだった。
「ちょっと、何であの県のマスコットがここに!?」
「ナラッ、ナラッ」
 しかしだ。マスコット達は応えずにだ。殺戮を続ける。クリスマスは戦場になった。
 市民達は逃げ惑う。BGMは山下達郎だ。
 佳美もあちこちを逃げ惑う。しかもだ。
 死んだ筈のあの男がだ。颯爽と姿を現したのである。
「用件を聞こう」
「えっ、何でこの人が」
 電車の中にいたブリーフ男だ。その彼がだ。
 暴れ回るマスコット達の前に立ちだ。自身の後ろにいる佳美に言うのだった。
「細かいことは気にするな」
「貴方電車に撥ねられて吹き飛ばされたんじゃ」
「俺は不死身だ」
 不幸にしてそうだというのだ。
「あの程度では死なない」
「そうだったの」
「そうだ。そして用件は」
 佳美に対して尋ねてくるのだった。
「ないか」
「何がもう何だか。それに今気付いたけれど」
 佳美は今気付いたこと。それは何かというと。
「真冬なのにブリーフ一枚って」
「それが俺のスタイルだ」
 言いながらだ。男は自身のブリーフの股間に己の右手を突っ込みだ。
 そのうえで葉巻を取り出してだ。同じく股間から出したライターでだ。
 
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