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サイカイのやりかた #毎週投稿

作者:銀P
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第3章 VS HERO
  7答え合わせ そして

 
前書き
「6話のあらすじ」
気絶中にアリアとの過去を思い出し、自分ことを叱咤する彼女の言葉に立ち上がる。平賀の助けもあってなんとか武偵殺しを撃退することに成功した。

*矛盾点の答えが出てきます。「3.君に矛盾点がわかるか」を読んでから読んでいただくと、より理解してもらえると思います。 

 
ーーRiko sideーー

「お前が武偵殺しってこと、ないよな?」

私が帰る直前、確かめるように修一は問いかけてきた。それは疑問系だが私の返事をわかって言っているような、そんなプレッシャーを含んだ声だった。
驚いて一瞬何を言われたかわからなかった。
まさかこんなにも早く気づくなんて、予定では明日、アリア達との対決直前にでもこちらからバラしてやるかとも考えていたのだが…。

私はヒントを言った覚えはない。カマかけの可能性もある。まだここで頷くわけにはいかない。

「くふ。なにいってんの?理子が武偵殺し??そんなわけないじゃーん!」

「だといいんだけど、どうしてもお前が武偵殺しじゃないとわからないとこがあってな」

「…へぇ、言ってみな。聞いてやるよ」

私は少し素を出しながら聞いてみる。ちょっと気分が高揚してるのは、事件ものの犯人役の立ち位置に自分が立っているからか。


「お前と初めて会った時、疑問に思ったことがある。一つ目は、数だ」

「数?」

私はワクワクを必死に隠しつつ、修一に一歩近づく。

「俺が言ってるのは、この部分だ」


ーーーー

『朝変な機械に襲われてな。戦利品だ』

『うわあ!すごーい!これ7.8機ぶんくらいあるんじゃない!?』

ーーーー


「俺が朝セグウェイもどきから素材を剥ぎ取った機材をお前に見せた時、お前はああ言っていたが・・

どうしてあれだけの機材を見ただけで見たこともないはずのセグウェイが7.8機作れるってわかったんだ?

あのセグウェイもどきは武偵殺しが自作したものらしい。お前がその材料の分量を知ってるのはおかしいだろ」

「…くふ、なるほどね。でもそれだけ?それだけなら探偵科だから昔の事件の資料を読んでて知ってたってのが通っちゃうよ?」

私のワクワクが高まりすぎて顔がニヤニヤしてしまう。ただこれだけなら期待外れだ。私の言い訳が通ってしまう。

修一は「ま、そうだよな」と息を吐く。まさか本当にそれだけで聞いてきたのか?

「二つ目」

私が失望しかけたとき、修一が指を二本立てて理子の方に向けた。なんだ、やっぱあるんじゃん。

ーーーーー

『なんつってな。無理に決まってるだろ。キンジだよ、知ってるだろ遠山キンジ。あいつが4機倒したんだ』

『あ、そうなんだー。あ、でもでもEランクのしゅーちゃんがどうして4機も倒せたの?』


ーーーー


………なるほどね。

「俺が倒した数を自慢してるとこだが、お前はどーして俺の倒したセグウェイもどきの数が4機だってわかったんだ?確かにキンジが倒したのは4機っていったが、俺が倒した数は言ってないぜ」

でも、まだ甘いよ…!

「確かに矛盾はしているけど、それも調べたんだよ。
修一は4機、キンジは4機破壊したって。だから8機分の材料だってのもわかったわけ」

「………つえーな。探偵科」

「理子Aランクだから。それくらい調べるの楽勝だよ」

これは期待外れだ。やはり所詮はEランク。冴えてるが詰めが甘い。
修一は頭をガシガシかいてうーんと唸った。どうやらこれで終わりらしい。

…もういいや。生き延びたのもマグレみたいだし。これっきりで修一と接触するのは辞めよう。

「じゃ、もう終わりでしょ?理子も疑われてぷんぷんがおー( *`ω´)なんだけど、今日は疲れてるから許したげる。またね、しゅーちゃん」

私は失望感と共に今度こそ病室を出ようとした。
さて、アリアとキンジのための兵器と車の手配はすんだから、あとはそれをくっつけて…

「三つ目」

「っ!?」

私は修一の言葉に振り返り、

「いい加減にしろよ修一!いくら言ったってあたしのことを武偵殺しだって証明できないんだよ!いい加減あきらめーー」

「悪いが。諦めるなってどっかのピンクツインテに言われてんだ。付き合ってもらうぜ武偵殺し」

本性丸出しにして怒鳴りつけてやったのに、修一は理子の手を持って逃がさないようにしつつ三つ目を語り始めた。

「まぁ実際ここまでは半信半疑だったよ。お前がどこまで調べきれるのかわからんし、本当に調べれたのかもしれないってな。でも、この言葉はどう返すんだ?」

「この…言葉?」

ーーーー

『無理無理そんなの無理よ!!20万!?そんなお金見たことないわっ!!』

『しゅーちゃんしゅーちゃん!無理、疲れた、メンドくさいは絶対に使うな!でしょ?闇金にでも借りればいいんだよん♪』

ーーーー


「『無理、疲れた、メンドくさいは絶対に使うな』ってのは俺が武偵殺しに言った言葉だが…お前さっきそのまま言ったろ。この言葉、お前自身には言った覚えがないぞ」

「…それは」

…しまった。つい油断した。アホがあまりにも慌てたから慰めようとしたのが仇になったか…。ちっ。

「…それを《《アリア》》が修一に言っているところを見たんだよ。それ言ったのってアリアでしょ?理子その後ろから…」

「んじゃ、その場所と日時も言ってみろ」

「………。」

修一が理子の目をまっすぐ見てきっぱりとそう言った。……。


「黙秘はわからないと取るぞ。それにあの時のあいつの言葉はもっと長かったし『Fランクを励ました』なんてことアリアが言いふらすなんて考えられない。…つーことは、お前はどーやっても俺がアリアに言われた言葉を知ることなんて出来ないんだよ」

…こいつはEランクでも普通とは違って分かっていたのに…。まさかこんな一言に気づくなんて…。




…へえ。



「峰 理子。お前が、武偵殺しだな」

修一が静かにもう一度そう言った。今度は確定申告だ。逃げ道はない。

「あっはははははははははははははははははははははははは!!」

思わず笑ってしまう。心臓がバクバク音を立てる。初めての体験だった。思わず拍手してしまう。こいつ、本当に、面白い!!

「いやーFii Bucuros(すばらしいよ)修一。いやーやられたやられた!そそ、理子油断しちゃったよもー。
うん、その通り。

『理子が武偵殺しだよ』。


くふ、まぁまだ色々と返答出来たけど面白かったからそれで認めてあげる♡」

「なんで若干嬉しそうなのかわからんが、まあいいや。分かればいいし」

私が認めると、修一は息を大きく吐いた。しかし問題はここからだ。

「それでどーするんだ?理子の正体が分かったところで決定的な証拠はない。理子を捕まえるなんて無理だと思うけど」

今までの犯罪もすべて証拠を残さないように丁寧にしてきた。
あの兵器全てに指紋一つ付けてないと断言できる。
それに修一の周りに録音器具はない。寝てる間に調べてあるから確実。これなら私が捕まることは一切ない。



「あ?何言ってんだ。別にお前が武偵殺しだからって別にどーもしねーよ」

きょとんとした表情で、そんなことを言ってきた。

って

「………え??」

「いや、だからな。さっきも言ったけど俺は胸のモヤモヤを取り除きたくて聞いただけで、別にこれから理子と敵対するつもりも、捕まえるつもりもないって。というかEランクの俺がお前に勝てるわけねぇだろがい」

「…え、と?つまり、本当に聞いただけってこと?」

「そゆことだな。フフンどうだ俺の推理力!中々のもんだろ」

ドヤッとした表情に嘘は見えなかった。え、本当にただの自己満足のために?
それだけのためにあれだけの矛盾点用意して、私を問い詰めたの??

いや、そんなはず…!


「でも修一。もし理子を捕まえることが出来たら30万どころの騒ぎじゃないほどの莫大な金が修一の元にくるよ。それでも、理子を捕まえないわけ?」

「なぬっ!?」

こいつはとことん金に汚いやつだ。金のことを話せばすぐに180度意見を反転させてなにかしてくるはずだ。…というかなぬってなんだ。変なキャラを今更つけるな。

修一は小さく「三十万以上…お肉、食べ放題…」そう呟きジュルリとよだれを垂らしていた。…ほんと、わかりやすいやつ。

その後修一はハッとするとよだれを拭いて理子の方に向き直った。

「まあその、あれだ、確かに理子のことを捕まえるのもそれはそれでアリだ。お肉食べたいし」

「理子より肉かよ」

「何言ってんだ。肉は最高に美味いだろうが!」

「………あ?」

久々にカチンときた。こいつにはなんの感情もないが、肉より下に見られるとは思ってなかった。とりあえず一発殴ってから話を戻してー

「なんつってな。本音言うと、お前を捕まえられるとしても、俺はお前を捕まえないっての。…やっぱ、嬉しかったからさ」

「嬉しかった?」

理子は修一が喜ぶようなことはなにもしていないはずだが。

「その、あれだ。俺ってほらEランクで、一年生ん時は、誰も話し相手がいなくて、正直な話、寂しかったんだよ。…で、またそんな感じなのかなって思ってたら理子が話しかけてくれたろ。まあ、実際、理子の目的は俺の腕を試すためだけだったんだろうけど。それでも、久々に友達みたいな話ができて、嬉しかったんだ」

話していく内に、少しずつ目をそらしていく修一。恥ずかしくなったらしい。

「ま、だからその、あれだよ。俺にとってはここでの初めてのダチって感じだったから。それがいなくなるのはツレーなって…うわー、これ平賀とかに聞かれたら完全に引かれるなぁ…」

修一の、こういう高校生らしい姿、初めて見た。それはそれで可愛いとは思ったが、それ以上に

「理子が、犯罪を犯した武偵殺しでも、友達になりたいの?」

「倉庫でも言ったが、俺は犯罪者でも恋人候補だ。友達がそうでも全く問題なし」

「…理子が、必要、なの?」

思わず出た言葉。言うつもりのない言葉がぽっと出てしまった。

な、なに言ってるんだ!?昨日もそうだったけど、どうしてこいつを前にすると口からするりと変なことを言ってしまうんだ。

…だけど、プライドを殺して言うなら、理子は必要とされたかった。

幼い頃、ブラドと呼ばれる貴族に引き取ってもらった際の『お前は必要ない』という言葉。理子の胸の奥にまだそのトラウマが残っている。必要とされないのは、理子にとって一番辛いこと。だから…

「ま、必要だな。金の次に」

「ふん!!」

「痛ったあああ!?おいてめぇ理子!なにも撃たれたとこ殴らんでもいいだろうが!!」

「うるせーよ!このクズ野郎!!」

こいつはキラキラした笑顔でなんてこと言うんだ。流石の私もこのクズ野郎には苛立ちを覚える。というかもう殴った。

「…だってしょうがねぇじゃん!流石にそんまま必要だなんて恥ずかしくて言えるかボケ!」

修一は顔を赤くしながらそんなことを大声で叫んで、自分の言ったことにまた紅くなった。…乙女か。

でも、そっか。こいつは理子の遺伝子とか、技能とか、そういうの全く関係なしにただ理子のことが必要なんだ。

ふーん…。

「ねえ、しゅーちゃん」

「な、なんだよ?」

「武偵殺しとの約束、覚えてる?」

「あ?確かあの倉庫の事件で俺が生き残ったら付き合って………んん!?」

くふ、思い出したみたい。そう。修一と武偵殺しは修一が生還した時点で、もう付き合ってる仲で、その武偵殺しは理子。つまり

「理子としゅーちゃんってもう付き合ってたりするんだよねー!約束上」

「取り下げだ取り下げ!無しだ無し!無効だ無効!!」

「そんなに否定しなくてもいいだろうが!!」

「いってええええ!てんめっ流石に二発目はヤバ…!!」

理子がワイワイと騒いだ瞬間のこの全面拒否。確かに冗談で言ったが、ここまで否定されると本当にムカつく。

「なんでだよ?さっき理子と付き合えるとか言ったら本気にしちまうとか言ってたくせに」

「…だってよ、そんなんで付き合うってのはなんかこう、違う気がするじゃん?もちろん、理子は俺にとって本当のダチで好きか嫌いかで言われたら好きだし。付き合えるってなるのは素直に嬉しいんだけどさ…」

モゴモゴとなにか言い始めた修一にため息をつく。こいつ本当に典型的な草食系男子だ。もちろん褒めてない。

「恋愛下手くそ」

「うぐ」

「草食系男子」

「うぐぐ」

「意気地なし」

「うぐぐぐ」

「素人童貞」

「なっ!?待て待てそりゃただの悪口だろ!バカにすんなよ!俺はーー」

「は、お前なんかに身体許すやつなんているわけないだろ。見栄はるなっての」

「…くっそぉ!その通りだちくしょー!!」

修一が泣き崩れてしまった。…少しやり過ぎたか。

私が修一をあやすのに、15分かかった。




「それでさー、しゅーちゃん」

「なんだよビッチ」

トッポを食べつつ椅子にまたがり適当に動かしてる理子に修一はまだ棘のある言い方で返してくる。…めんどくさいなぁ。

「しゅーちゃんってさー、理子のこと武偵殺しって認めさせて満足してるかもだけど、それで今の状況ぐるっと変わったのわかってる?」

「あ?状況??」

くふ。やっぱりわかってなかった。よし、ここにうまく漬け込んで…

「さっきの賠償金の話。しゅーちゃん、50万払わないとダメなんだよ。で、さっきまでは理子が25万払ってしゅーちゃんが残りの25万を報酬の30万から払う予定だったでしょ?まあ、報酬は約束したから30万振り込んでるけど」

「それが、どうしたんだ?俺には五万しか支払われないってー」

くふ♫

「だからぁ、理子が25万払うってのは理子自身の罪悪感から言った言葉なわけでありまして〜武偵殺しだってばれた以上、払う必要もなくなるんじゃないかなーって」

「あ、あの、理子さん?それはつまり…」

「くふ。ただ負けるだけじゃ嫌だから、仕返しに25万支払わないってのはどう?くふふ、理子、しゅーちゃんの金の汚さに漬け込んでみたんだけど、どう?効く??」

「思いっきり効果抜群だぞこの野郎!!嘘だろ!?結局俺赤字!?…というかそもそも全部お前がしたんだろうが!お前が払いやがれ!」

「えーでもー理子、書類上武偵殺しじゃないしー♬」

「この……!!」

キャッキャしてたら本気で焦る修一。くふ笑 理子、この顔大好きかもー♡

「困る?」

「すっげぇ困る!50万なんて金どこにもねーし、集まりもしねぇよ!」

「くふ。闇金に手だして返したりでもすればいいんじゃない?」

「な、お前…!?」

「それでもどうせ闇金の方も返せなくて〜、マグロ漁船にでも乗って〜、そのままいい極楽人生送るってのも楽しそうだよねー♫」

「ちょ、ちょっと待ってくれ理子さん、いや理子様!先ほどまでの無礼をお許しください!!そして出来れば!出来ればお金を貸していただきたく!!」

「うわぁ」

修一は理子の話を最後まで聞いて、顔を青くしながら土下座までしてきた。プライドないんだなこいつ。


でも、作戦通り♫

「いいよー。理子、お金たくさん持ってるから貸すどころかあげてもいーよ?」

「ま、まじか!?」

「うん、でも一つだけお願い」

ガバッと顔を上げ喜ぶ修一に、理子は詰め寄り、耳元で囁いた。



「理子と一緒に、武偵殺し、やろ♡」 
 

 
後書き
修一、緋弾のアリア主人公の敵になる!?
 
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