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黒を纏う聖堂騎士団員

作者:櫻木可憐
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26.騙すこと騙されること

マルチェロは恐ろしいぐらいに冷静さを捨てていました。
死体に駆け寄りながら、強力なメラガイヤーを放ったのです。
普通なら1000越えのダメージがあたる魔法でしたが、別の魔法に相殺されたようです。
ククールの全力メラゾーマでした。
女を庇うように立ち塞がるククールにマルチェロは、冷静に冷たく魔王すら怯える声で言います。

「そこからどけ。」

「嫌だね。兄貴が落ち着いたらいいよ」

「冷静だ。見て分からんか。その頭は相変わらず空だな」

「冷静ならこの女性の顔が目に入るだろ。
オレたちはいますげ~キレてる。
だから殺したいだけ憎いさ。
でもクロノスが何故攻撃出来なかったか知ったからこそ、なにもしないのさ。
兄貴はそれから目をそらそうとしてるんだ!!」

「いつ私が目をそらした!!!
貴様みたいなくだらない下等生物扱いするな!!」

「はじめからだバーカ!!
人は恨んで信じて生きるんだ。
あんたはオレしか憎む相手がいなかった。だからオレはいいんだ。
でもあんただってオレを憎むのは違うぐらい認識してただろ」

マルチェロは大真面目に真顔で言い放ちました。

「憎むのをやめる気などさらさらない!!」

「・・・・・・あ、うん。そうか。
じゃねぇ!!オレのことはいいんだ・・・
クロノスのことは?
嫌い嫌いって言いながら好きなんだろ!
あんたは周りを騙すだけでは飽きたらず、自分を騙して知らんぷりしてたんだ。
オレのときに優しくした失態や失うことが怖すぎて・・・
オディロ院長が死んでからは拍車をかけて自分を騙した。しちゃいけねぇぐらい自覚あったろ!!
そんで次は真実から目をそらすか!!

この人はクロノスの・・・・・・


実の母だ!!」



マルチェロはその場に座り、どこか遠くを見たままのクロノスを抱き寄せました。
実の母だろうがマルチェロなら切り刻みそうですが、クロノスがしないことぐらい分かっています。
もし死の魔法陣が使える人の条件の中に、エリスを封じた血筋がいたらあの女性は・・・・・・
それに気づいたからクロノスは何もしなかったのです。

ククールはマルチェロを見下ろしていましたが、大きな地震により立つことがままならなくなり、女性の心配をしつつしゃがみ込みました。
ゴルドの大穴が不吉な光を放ち、青く赤い目の大きな鳥が出てきたのです。

「あれがエリス・・・・・・
兄貴、そこにいて。ここはオレが押さえるから。」

「バカククール。僕らで、だろ?」

ククールは槍を構えて微笑むエイトを見つけました。
その横にはゼシカもヤンガスもいます。

「マダンテで粉砕してやるわ」

「パルミドも悪さが減ったせいか、体が鈍ってたでがす」

ヤンガス、それはむちゃしてはいけないのでは?
しかし、斧を普通に構えています。
DQの世界の住人は会心の一撃を受けて生きられる時点でおかしいのですが。(例 マルチェロとか)

「ラプソーン戦以来か。行くよ、皆!!」

「おう!!」 
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