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戦国異伝

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第二百四十八話 魔の島その四

「そのうえで鬼ヶ島に攻め込んだな」
「そして鬼を退治しました」
「話はすぐに進んでおる」
「そういえば鬼ヶ島にもすぐに進んでいますな」
「ではじゃ」
「鬼ヶ島は、ですか」
「備前の方にあるのではないのか」
「そうなりますか」
「そういえば備前の方はな」
 その前の海の方はというのだ。
「あまり探されておらぬな」
「そういえばそうですな」
「あの辺りはどうも」
「他に色々と探されていますが」
「特にこの安芸の海は」
「我等の他にも様々な忍達が来ていて」
「探されていますが」
 それでもだった。
「備前の方はです」
「あまり見回っていませぬ」
「では見落としもですなあ」
「有り得ますな」
「我等全てで行くとしよう」
 その備前の海にというのだ。
「これからな」
「そうされますか」
「我等全てで、ですか」
「備前の海に向かい」
「あの辺りを探しますか」
「そうしようぞ、どうもな」
 気になるとだ、雑賀は言ってだった。
 雑賀衆を連れて備前の方に行った、そしてその海や沿岸の辺りを探すことにした。
 その辺りをくまなくだ、彼は自らも船に乗り込みそのうえで昼も夜も探した。その時もその手には鉄砲があった。
 無論他の者達も鉄砲を持っている、雑賀は己の船にいるその彼等に言うのだった。
「何かあればな」
「はい、その時はですな」
「この鉄砲で撃ってやりますか」
「やはり我等は鉄砲ですな」
「例え海の上でも」
「そうじゃ」
 まさにと言うのだった、彼自身で。
「何かあればな」
「その鉄砲で撃ってやりましょうぞ」
「魔界衆の奴等を」
「是非共」 
 船に乗っている雑賀衆の忍達も意気軒昂に返す、そうしてだった。
 彼は数隻の船を自ら率い海を回っていたがだ、その海に来て三日経った頃にだった。不意にだった。
 別の船の一団から一隻の船が来てだ、彼に言って来た。
「棟梁、どうもです」
「おかしな島があったか」
「はい」
 雑賀にだ、報をする者は確かな声で答えた。
「ここから東にです」
「そこにか」
「はい、そこそこの大きさですが」
「雰囲気がじゃな」
「草木もなく岩場ばかりで」
 そして、というのだ。
「妖気も感じられる」
「ふむ、何かな」
 そうした島と聞いてだ、雑賀は腕を組んで述べた。
「まさにお伽噺のな」
「鬼ヶ島ですな」
「そうした感じがするのう」
「では」
「うむ、その島の周りに船を集めよ」
 雑賀衆のそれをというのだ。
「全てな。そして囲んでじゃ」
「そのうえで、ですな」
「島に入るか」
 上陸をしようというのだ。島に。 
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