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歌集「春雪花」

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 春来しも

  冷たき雨の

   そぼふるは

 逢ふも叶わぬ

     涙雨かな



 暖かな日和があれば肌寒い時もある春の気候…。

 今日は冷たい雨がしとしとと降る…折角春が来たと思ったのに、まるで冬を思い出せと言うように…。

 あぁ…恰もこの空は、彼に会うことも叶わない私の心のようで…。


 この雨は晴れても…心に降る涙雨は、決して上がることはないだろう…。



 翼なく

  空を仰ぎ見

    吹く風に

 溜め息一つ

   零したるなり



 鳥のように翼があれば…いつもそう考えては苦笑するばかり…。

 薄陽の射す昼下り…余りにも自由に飛び行く鳥たちを見てると、自分が無性に虚しく思えた…。

 薄雲の隙間から見える淡い青空…。

 彼は…どうしているのだろうか…?

 いつもの自問に、また苦笑し…そっと、溜め息をついた…。



 
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