転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1276話
「で、だ」
連合軍の兵士へと銃を突きつけながら視線をエリナの方へと向ける。
数秒前まで命の危機だったというのを今になって実感しているのか、少し震えているように見える。
いや、何の訓練も受けていないエリナがこの状況で泣き喚いていないだけでも、十分に度胸があると言ってもいい。
プロスペクターが野心家だとか何とか言ってたけど、少なくてもそれに見合うだけの度胸はあるらしいな。
「何?」
視線を向けられているのに気が付いたのだろう。エリナは俺の方へと問い掛けてくる。
視界の隅で吹き飛んだムネタケを押さえている整備員の姿を見ながら、口を開く。
「何だってこうも簡単にこいつ等が脱出してるんだ? こいつ等って、確かチューリップの騒動が起きる前にナデシコを占拠しようとした奴等だろ? 捕らえて監禁してあったんじゃないのか?」
「それは……ええ、間違いなく監禁してあったわ」
「じゃあ、何でこうも自由に外に出てるんだ? しかも……」
視線を兵士達が先程向かおうとしていた先へと向けると、そこにあるのは小型のランチだ。
つまり、こいつ等はナデシコから脱出しようとしていた訳だ。
まぁ、このままナデシコにいれば火星に連れて行かれるんだから、その辺を考えると脱出したくなるのは分からないでもないが……何故それが出来たのかってのが問題だろう。
「そもそも、こいつ等はどうやって閉じ込められていた部屋から脱出したんだ? きちんと身動き出来ないようにしておいたんだろ?」
言葉の後半はエリナへのものだったが、その言葉にエリナは頷く。
「勿論よ。手錠もしっかりと掛けておいたし、身体検査もきちんとさせたわ」
「……その割りにはこうやって普通に脱走してるんだが? それもどこから入手したのか分からないが、銃まで手に入れてるしな。……ああ、そこの奴。奥から2番目、左から3番目の奴。お前だお前、妙な真似はするなよ。一応こう見えても射撃に関しては自信があるからな」
その言葉に、何か妙な動きをしそうだった兵士が動きを止める。
向こうが何をしようと、この時点で既に詰みなんだけどな。
それとも、俺の射撃能力が低いと判断して行動に移すか?
だが言うまでもなく、俺の射撃能力はレベルアップとPPのおかげで非常に高くなっている。勿論射撃だけではなく命中やら何やらの数値も上がってるし、それ以前に混沌精霊の俺は素の身体能力がちょっと洒落になっていない。
「ま、こいつらがどうやって逃げ出したのかは興味あるけど、それよりもこいつ等どうする? いっそ後腐れがないように全員ここで始末してしまうか?」
「駄目に決まってるでしょ」
即座に却下するエリナ。
と言うか、整備班の面々も思いきり引いてるな。
今のはちょっと言い過ぎだったか?
ただ、こうして生かして捕虜にしても逃げ出す以上、また捕らえておくって訳にもいかないと思うんだけどな。
「じゃあどうするんだ? 前から散々言ってる連合軍との関係云々ってのを考えると、いっそこのまま逃がしてしまうか? ぶっちゃけ、それが一番手っ取り早いし後腐れもないんだけどな」
「それもちょっとね。……こう言っては何だけど、折角捕らえたんだから連合軍との取引に使いたいわ」
「……いっその事、ビックバリアを抜ける時にハッキングじゃなくてこいつ等との取引をした方が良かったんじゃないか?」
「どうかしらね。テロには屈しないとか言ってくると思うわよ? ……連合軍の総司令官は色々と頭が固いし」
エリナの言葉に、黙って俺達の話を聞いていたウリバタケが口を開く。
「ネルガルはいつからテロ組織になったんだよ?」
「あー……それは色々と不味いか?」
「失礼ね! そんな訳ないじゃない! 言葉の綾よ、綾!」
テロリスト呼ばわりはさすがに面白くなかったのか、エリナが不機嫌そうに叫ぶ。
ま、確かに自分の勤めている会社がテロリスト呼ばわりされれば面白くないだろう。
……シャドウミラーは思い切りそんな扱いを受けた事があるけど。
いや、実際に戦争を裏から煽っていたというのを考えると、決して間違っている訳じゃないんだけどな。
ともあれ、今の問題は……
「それで、結局こいつ等はどうするんだ? 殺すのも駄目、逃がすのも駄目となると」
「取りあえず今は閉じ込めておくわ。今度はもっと厳重にね。このままサツキミドリ2号に到着したらそこで下ろして、その後はネルガルの方で処理するから」
処理とか、聞きようによっては色々と危ない言葉に聞こえるんだけどな。
実際、兵士の中にも数人だが顔色が青くなっている者もいる。
まぁ、ネルガルってのは連合軍よりも圧倒的な性能を持つ戦艦を作るだけの技術力を持っているんだから、多少危ない事を考えていると思われてもしょうがないのか。
もっとも1隻だけ戦艦を作ればいいネルガルと違って、軍は戦艦を量産する必要がある。
その辺を考えれば……あ、でもネルガルのような大企業になると、当然ナデシコ級って事で連合軍に売り込みを掛けるって可能性は否定出来ないか。
「ま、それならいいけど……今度は逃げられないようにしろよ?」
「ええ、二度と同じ失敗はしないわ。……さて、じゃあ早速だけど一緒に来て貰いましょうか。アクセル、悪いけどちょっとこの人達を見てて貰える? この人達が何かしようしたら、手足くらいなら撃っても構わないわ」
ま、キノコに撃たれそうになったんだ。もし俺が助けていなければ、恐らく死んでいたのは間違いないだろう。
その辺の件で怒っていても、それは当然か。
「えー……じゃあ、ミロンガ改の整備はどうするんだよ」
「別に今日はこれで終わりって訳じゃないから、ちょっと待ってなさい。この人達の件を片付けたら、すぐに整備はするから」
「ああ。結局やるのか」
エリナの言葉に思わずそう告げると、言われた本人は当然でしょうといった視線を俺の方へと向けてくる。
ただ、それ以上何も言わないのは、ここにいる軍人にミロンガ改に関しての情報を出来るだけ与えたくないというのが大きいのだろう。
まぁ、ウリバタケの方はそれを気にした様子もないが。
にしても、さっきまで銃で狙われそうになっていたってのに、こうして見る限りだと普通にミロンガ改の整備へと意識を向けているんだから、かなり凄いよな。
ウリバタケの部下の方の整備員は結構及び腰にも見えるってのに。
「いいから来なさい! あんた達、どんな監視をしているの。この件に関しては本社の方に報告して査定の対象にして貰うから、そのつもりでいてちょうだい」
早速コミュニケでプロスペクターとゴートに連絡を取っているのだろう。エリナの怒っている声が聞こえてくる。
少し離れているから向こうが何と言ってるのかは分からないが、それでも困った顔をしているプロスペクターの姿は見える。
ゴートの方は、多少申し訳なさそうな表情を浮かべているだけなのを考えると、微妙に対象的な感じだ。
「うわぁ……あの人もキッツいねぇ。美人は美人なんだけど……」
しみじみと呟くウリバタケ。
へぇ、技術者だけど女にも興味があるのか。こういうタイプって珍しいよな。
俺が知ってる限りだと、SEED世界のコジローは職人といったタイプで女には興味がねえ! って感じだったし、ロイドもKMFやシャドウミラーの技術、それとプリンには興味があったけど、女には興味がない。……まぁ、最終的にセシルとくっつくんだろうけど。フィリオの方は今は連絡が途絶しているOGs世界の方に恋人がいて、浮気をするようなタイプじゃない。
他の技術者の面々もそれらと似たようなもので、技術については興味があるけど女に興味がないって者の方が多い。……いや、エキドナや茶々丸、セシルといった面々に対しては追われる事も多いので、苦手意識を持ってる者も珍しくはない。
「いいから、とにかく早く来なさい!」
そう叫ぶと、コミュニケの映像スクリーンが消える。
……うん、本当にきついよな。
それはともかくとしてだ。
銃口を兵士の方へと改めて向けながら、口を開く。
「だから、迂闊な真似をするなって言ったよな? そこのお前だ」
その言葉に、視線を向けられた兵士が動きを止める。
俺がエリナの方へと意識を向け、ウリバタケと会話をしている隙を狙って何らかの行動を起こそうとしたのだろう。
顔が強張っており、何か後ろめたい事があるのは確実だった。
……まぁ、分からないではないけどな。実際問題ここで脱出出来なければ、さっき言われていたようにネルガルと連合軍との取引に使われる訳だし。
そうなれば、拭いがたい汚点となってこの先の出世に影響が出てくるのは間違いない。
それを避けたければ、ここで一発逆転に出るしかない訳だ。
まぁ、俺がいる以上それは無理だろうけど。
そのまま若干の膠着状態が続くこと、5分程。格納庫へと向かってくる複数の足音が聞こえてきた。
そして真っ先に姿を現したのは、当然のようにゴート。
そんなゴートの後ろに続いているのが警備兵か。
「済まない、待たせたか」
「ええ、そうね。さっさと連れていって頂戴。そうそう、そっちで気絶しているムネタケ提督もね。彼には私に向かって発砲した件をしっかりと連合軍の方に連絡させてもらうから」
発砲という言葉に、ゴートの顔が微かに厳しくなる。
これまでの様子から考えると、恐らくゴートがナデシコ内の治安を守る役目を与えられているのだから当然だろう。
しかも発砲されたのが会長秘書のエリナ。
……評価が悪くなるのは間違いないだろうな。
ともあれ、それでもゴートは生真面目な性格をしているらしく、倒れているムネタケを引き連れて部下達と共に格納庫を出て行く。
当然、その中にはムネタケが引き連れた兵士達の姿もある。
これでサツキミドリ2号に到着するまで落ち着いた時間を過ごせればいんだけどな。
木星蜥蜴の方もこっちに攻撃を仕掛けてくる可能性はあるが、そっちに関してはミロンガ改を……と考えたところで、ウリバタケが俺の方へと近づいてくる。
「アクセル! ほら、もういいよな? ミロンガ改の整備をさせてくれ!」
「あー……うん。そうだな。じゃあ、行くか。エリナ?」
「当然私も行くわよ。ミロンガ改を見る事の出来る絶好のチャンスを見逃してたまるものですか」
こういう言葉が出てくるって事は、もしかしてエリナも技術系の知識を持っているのか?
まぁ、会長秘書ともなれば、その辺の技術を持っていてもおかしくはない……のか?
「じゃ、行くか。言っておくけど、ミロンガ改に妙な真似をしたらどうなるか、分かってるな?」
「へーへー。さっきのお前さんの動きを見た上で、お前と敵対するような真似をしようとは思わねえよ。ったく、それがなきゃこの機体は格好の代物だってのに」
溜息を吐き、整備員を引き連れてミロンガ改のある方へ向かう。
勿論ウリバタケ達だけを放っておく訳にかないかないので、俺もその後を追う。……エリナもだが。
「ねぇ、アクセル。あの機体一度他のパイロットに操縦させてみたいんだけど、どう?」
「無理だろ」
ミロンガ改へと向かっている途中でエリナが尋ねてきた言葉へ、即座に答える。
「何で? 機動力でGがキツイのは分かるけど、それは別に全力を出さなければいいだけでしょ? ちょっと動かすくらいなら、問題ないんじゃない?」
「……そうすれば動かせると? まぁ、動かせるかどうかで考えれば動かせるだろうけど、それでも俺の立場としてはそれを許す事は出来ないな。……そもそも、エステバリスとミロンガ改じゃ操縦系統が違うぞ」
IFSを使って操縦するエステバリスと、普通に操縦するミロンガ改。
どう考えても操縦システムが違い過ぎて、誰が動かすのかは分からないが、それが問題になるとしか思えない。
普通に考えれば、ミロンガ改のパイロットをやるのはテンカワなんだろうけど……
「どうしても駄目なの?」
「ああ。一応機密って事になってるしな。それは、ネルガルも了承の上で俺をナデシコ所属のパイロットにしたんだろ?」
「それは……そうだけど。どうしても駄目なの?」
「ああ、駄目だな」
「そう。……じゃ、しょうがないわね」
へぇ。思ったよりもあっさりと退いたな。
てっきりもっとグイグイと突っ込んで来ると思ったんだけどな。
「あら、そんなに私が退いたのが不思議?」
「それは否定しない」
「確かにミロンガ改に興味はあるけど、だからってアクセルを敵に回すような行為をしたいとは思わないのよ」
「……これからもそういう態度を取ってくれると、俺としても嬉しいんだけどな」
「でしょ? 話は変わるけど、サツキミドリ2号に到着したら、ナデシコの補給と同時にミロンガ改のミサイルも運び込まれる筈だから、一応きちんと撃てるかどうかを確認することになると思うわ。その辺のテスト、よろしくね」
笑みを浮かべて告げるエリナ。
……本当に、このままネルガルと友好的な関係を続ける事が出来ればいいんだけどな。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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