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ドリトル先生北海道に行く

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第三幕その二

「敵軍に斬り込んで撃たれて倒れて」
「武士として死ねて」
「それで」
「何処か満足していたのかな」 
 こうも言ったのでした。
「あの人は武士でありたいと思っていたからね」
「新選組の時に」
「そう思ってだったんだ」
「戦っていた」
「そうだったんだね」
「武士として戦ってきてね」
 新選組の副長としてです、その剣技はかなりのものだったそうです。
「そして死ねたからね」
「満足だったかな」
「それで」
「そして死ねて」
「そのうえでだから」
「そうだったかも知れないね」
 先生のお言葉には今も感慨が込められています。
「そして今は安らかに眠っているのかな」
「そういえば新選組の人達は」
 ここでトミーも言います。
「非業の死を遂げている人が多いですね」
「幕末は動乱の時代だったからね」
「京都では殺し合いが行われていて」
「内戦もあったしね」
「この函館までいった戊辰戦争ですね」
「そうした時代だったからね」
 その中で幕府側の先頭に立って戦ってきたのが新選組です、自ら刀を手にして。
「どうしてもね」
「そうした死に方をする人が多かったんですね」
「そうだよ」
「だから近藤勇さんも」
「ああした死に方をしたし」
「他の人達も」
「沢山の人がね」
 新選組の隊士の多くの人がです。
「斬ったり斬られたり」
「中で粛清もあって」
「沢山死んだんだ」
「明治まで生き残った人もいますね」
「いるけれどね」
 それでもというのです。
「死んだ人は多いよ」
「そうですね」
「沖田総司も死んだし」
「あの人は結核でしたね」
「当時日本では労咳といったよ」
 咳をかなりすることから付いた名前です。
「その病で若くして死んだんだ」
「黒猫を怖がってですね」
「そうだよ」
「あの何でかな」
「何で黒猫怖がったのかな」
「あれがどうもね」
「わからないね」
 動物の皆も沖田総司さんのことをお話します。
「黒猫に何があったの?」
「祟る生きものとはイギリスでも言うけれど」
「日本でもそうらしいけれど」
「それでなのかな」
「そのことはね」
 先生は皆に沖田総司と黒猫のこともお話します。
「当時黒猫は労咳除けになるって言われてたんだ」
「それでなんだ」
「沖田さんも飼ってたんだ」
「そうだったんだ」
「けれどどうやら」
 先生はご自身の予想をお話しました。 
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