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『最低な女』

作者:零那
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『逃げ場』



未桜は、蒼という旦那が居て、孝史と不倫中。
更に陸とも逢っていた。

陸は、旦那と不倫相手の2人に対する不安や不満など解ってくれている唯一の存在だった。

暫く2人で逢ってるうちに未桜の気持ちが孝史から陸に持っていかれた。
陸が優しいから、ついつい未桜は素の自分で向かっていってしまう。

陸の友達も一緒に遊んだりした。
皆と居るときは普通の10代の子がするような遊びをした。
久々に鉄パイプや木刀を握ったりもした。
本来の子供になったみたいで楽しかった。

子供の頃する機会がなかった遊びを、今一生懸命してしまってる。
皆が楽しそうに遊んでくれる。
それが素直に嬉しくて...。

夜中に、駐車場で縄跳びしたりバドミントンしたり、キャッチボールや鬼ごっこもした。
クラスで鬼ごっこをしてる子を見て、馬鹿にしてた未桜。
其れを今この年でやってる。

知らなかった感覚を知ってしまった。
『普通に遊ぶ』って楽しいなって気付いてしまった。

一般的に不幸と言われる家庭に生まれ、不幸な家庭環境で育つことになり、一般的に悪いと言われることをやってきた。
そんな未桜でも、大事な仲間は出来た。
大事な経験もした。
でも『普通の子』が通る道は通ってなかった。

其の『普通の道』を今一生懸命踏みしめて行けばいいと、思う存分楽しんでいいと...こんな未桜を陸は受け止めてくれた。
時間が許す限り皆でいっぱい遊ぼうって...。

孝史と別れることが出来たのも、陸や皆のおかげ。
陸の友達も言ってくれた。
不倫そのものじゃなく、孝史の人間性を否定してた。

未桜は、蒼と1からやり直そうとかは思わなかった。
理解し合える仲には成りきれないと諦めていた。
だから、陸や友達と遊んでいると楽しくて仕方なかった。

育児も息詰まっていた。
育児ノイローゼ状態で情緒不安定で娘に悪影響なのは自覚があった。
このままだと、虐待の連鎖を生むだけだと怖くて怖くてたまらなかった。
マダマダちいさい娘を見て、虐待する自分を想像するだけで悲しくなって情けなくなって...自分を殺したくなった。
未桜は、そんな自分と娘から逃げ出した最低最悪な奴だ。


 
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