ハイスクールD×D~黒衣の神皇帝~ 再編集版
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転生天使にラブソングを
リアスの私物整理&処理×サーゼクスの宝物である記録映像集
前書き
DX.1での究極お兄ちゃん仮面をこちらでアレンジさせました。
とある日の放課後の旧校舎にて、オカルト研究部であるグレモリー眷属+俺・ヴァーリ・シーグヴァイラ・レイヴェル・イリナが部室にて集まった。顔出しのつもりだったが、悪魔稼業について相談事として今日は部室にいた。悪魔稼業に関して基本ノータッチだが、今後俺らが手伝う可能性もあるからだ。基本的にオカルト研究部の部長であるリアスの元、今後の予定について話し合ってた。
「とりあえず、先月と比べると契約の割合が若干低いわ。特に中高年へのサービスに努めて頂戴」
リアスは資料のデータに目を落としながら言っていたが、白音が手を挙げて意見を出していた。
「・・・・テレビで見たのですが、とある電器店は地域密着をしつつ中高年のお客さんと心から打ち明ける事で、割引率の低い値段でも商品を売る事が出来たそうです。今ではそのお店をも店舗数を増やす事が出来たとか」
「つまり改めて人間との信頼関係の構築が重要って事ですわね。基本ですけれど、悪魔のお仕事をしていると忘れがちになりますわ。一誠さんからは何かありますか?」
白音の言葉に朱乃が続いて言うが、悪魔の仕事とは人間の願いを叶える代わりにそれ相応の代価を頂く事だ。最近だと命まで代価支払う人間がいないが、何時の時代も欲を持つ者が絶えないから悪魔も仕事が続けられている。俺は蒼い翼CEOをしているし朱乃の母親である朱璃さんは蒼い翼本社社長秘書をしているので、このような展開になると俺らからも意見が欲しいようだ。
「まだ若いお前らだから命以外の代価を得られているが、随分前まで命を代価にしてまで叶えたい願いがある者もいた。ま、それは置いといて白音が話した事は事実であるけど人間と悪魔とのコミュニケーションが大切だと思うよ」
「確かにそうですが、長年の経験がある一誠さんの言う通りですね。私としては人間界で活躍してないので、余り口出ししてなかったのですが今後の参考としてですね」
「悪魔稼業をしていない我らにとって、グレモリー眷属の悪魔稼業は大事だと思います」
「ん?何やら家からの連絡で人間界本家に客人が来たから俺らは帰らせてもらう。明日はグレモリー領にあるケルディムの城に行くんだったが、何やらヴェネラナから手伝いがあるそうだが俺らも呼ばれている」
そう、明日は休日だがヴェネラナから冥界グレモリー家の屋敷に招かれている。それを話すと何やらリアスがマズそうな雰囲気だったが、恐らくリアスに関連する事なのだろうな。俺らが人間界本家へ戻るとゲストルームにいたのは、最強の『女王』とされているグレイフィアだった。丁度ソーナも帰宅していたので、俺とシーグヴァイラと一緒に座っていた。
「グレイフィア、話とは何だ?明日冥界にあるグレモリー家の屋敷に呼ばれてるんだが」
「急な訪問で申し訳ありませんが、話と言うのは他でもありません。明日の事なのですが、ちょっと困り事が発生しているのです。主にお嬢様に関してなのですが」
「リアスに関してですか・・・・明日行く事と何か関連がありそうですね」
「確かヴェネラナ様からのお呼ばれでしたけど、リアスさんの部屋は見た事がないと言ってましたよね?ソーナ」
そう言うとソーナも唸っていたが、もしかしてアレかと言うので何だと思えばリアスは日本で買った珍しい物を屋敷に送っているそうだ。無駄に買い込んだ物を整理してないのか、処分方法が分からないと言っていたな。確かに処分方法はあるが、どう考えてもオークションで出す物まであるとか。
「以前一誠様は、アーシアさんに送られてきたチケットやバッグなどを買い取り専門と知り合いだと聞きました。明日見て処分よりも買い取って頂く品物があるなら、今すぐにでも見てもらってから整理と処分をお願いしたいのです」
「なるほどな~確かにリアスは日本好きだし、想像だけだと部屋中に運び込まれた品々で占拠されていそうだな」
「ちなみにこれがリストなのですが、買い取れますか?」
「武者の鎧に新撰組の羽織と言う骨董品から、東京スカイツリーのミニチュア模型まであるな。それと珍しい鉱石や日本の名物と名産品があるけど、これに関しては実際見た方がよさそうだな。グレイフィア、今からグレモリー家の屋敷に行っても構わんか?それと数がかなりありそうだし、ソーナ達も手伝ってほしいんだが」
「私でよければ構いませんよ。それにリアスの部屋を見るのは最近だと見せてくれないので、手伝いと言うのならレイヴェルとイリナも呼んだ方がいいと思います」
と言う事で俺とソーナとシーグヴァイラとイリナとレイヴェルは、グレイフィアの転移魔法陣で一気に城まで来た。久しぶりに来たが相変わらずデカいが、人間界本家よりも小さいがまあいいか。グレイフィア先頭で向かうのはケルディムとヴェネラナがいるダイニングルームだ、今の時間はちょっとした夫婦の時間として使っているそうだ。
「失礼します・・・・一誠様以下五名を連れて来ました」
「おー、一誠君か。夏休み以降だけど、相変わらず元気そうだな」
「お久しぶりですね一誠さん・・・・と言う事で貴方も一緒に来て下さいな。明日来るリアスの為でもありますが、処分方法が分からない事で一誠さんを呼ぶ事となりましたからね」
「分かってるよヴェネラナ。リアスの事だが、私に似て金の使い方までとは思わなかった。と言う事で一誠君、リアスの部屋にある品々を頼むよ」
俺は了解と言いながらも一緒に来たグレモリー夫婦であるが、俺の後ろにいたのかソーナとシーグヴァイラが来た事に関しては知らない様子だった。娘の部屋を見せたくないが、ソーナとシーグヴァイラにとってからかいがありそうだな。そんでリアスの部屋に到着後、俺は持ってきた端末をオンしてから部屋に入った俺らは想像を超えていたな。
「・・・・まさかここまでとは思わなかったな。しかも同じ物が何個もあるが、そこら辺はどうなってる訳?」
「無計画に買う癖が付いているので、お金の使い方を直さないまま人間界に住んでいますからね。人間界での契約で得た物が地下の宝物庫にあるので、時間は掛かりますがお願いしてもいいですか」
「任せろ。その為にソーナ達を連れて来たのだからな、同じ端末を渡すから各部屋にあるリアスの私物全て写真を撮ってくれ。一枚撮影すると自動的に買い取り専門業者に送られてリスト化されるが、何か質問が後々あるのなら通信機にてな」
「分かりました。この端末を操作に関してはレイヴェルから教わりましたので、大丈夫だと思いますが何かあれば通信機で」
「私は主に一誠様付近にいるので、ケルディム様らは戻っても構いません」
各員で処分予定のを写真で収める作業を各部屋にて分かれたが、グレイフィアは主に俺のとこに居て同じ端末を操作してもらってからチェック等をしていた。リアスの部屋以外で宝物庫は、いくつものエリアに分かれていて地下最下層丸々一区域として宝物庫となっている。
広さだけなら東京ドーム何個分だそうで、ソーナ達でさえ手が余るのでメイドや執事に頼んで手伝ってもらった。すると地下宝物庫から通信が来た事で、俺は何か問題でもあったのか?
『一誠様、宝物庫に曰く付きのがあるのですがこれはどうされますか?』
「曰く付きとはどう言うのだ?『何やらお札が貼られています』それって呪いの人形じゃねえだろうな」
「確か日本で誰も欲しがらない品があった為、お嬢様が引き取ったと聞いております」
『こっちにも似たような箱がいくつもありますが、簡単に触れる事は出来ませんね』
リアスの部屋は終了したので、俺とグレイフィアは宝物庫に向かうと曰く付きの箱を集結させてた。中には日本人形があったが、髪が伸びきっている不気味なのもあるな。それと封印されている箱や開けてはいけないような代物まであるが、リアスの趣味はどこまでなのか分からないな。
「しょうがねえから俺が全てお祓いしてやるんで、全員この部屋から出ろ。お祓いが終わったら通信機で呼ぶから」
「畏まりました一誠様。では私達は他の宝物庫を見てきますが、グレイフィア様はどうしますか?」
「私は部屋の外におりますので、皆さんは作業を続けて下さい」
「怨霊やら心霊現象がある代物ばかりだ、俺が終わるまで部屋に入るなよ?」
全員部屋を出た事で大天使化した俺だったが、祓うにしても力が必要なので神召喚をする事になった。神召喚とは神仏問わずに、我が呼ぶ神仏を下界に降ろさせると言う事だが降霊術に近い。
「異世界または異空間にある神界よ、我の声を受けて参上されたし、来い!」
金色の魔法陣にて呼ばれたのは一応この外史にもいる神仏だが、異世界異空間にいる帝釈天と四天王の容姿はこことは大違いの容姿だからな。
「わーい、お兄ちゃんお久しぶり~」
「これ毘沙門天、我が主から離れなさい『良い、帝釈天』はっ・・・・改めてですがお久しぶりでございます我が主」
「帝釈天と四天王を呼んだのは他でもないが、この部屋にある呪われたブツや霊的現象のあるブツがあるのでな。祓う力を貸してほしくてな」
「にいにの言った通り、この部屋には一杯あるよー」
そう言う事で五芒星を描き、この部屋にある全ての物にお祓いをした事でお札を取っても何も起こらなくなった。そんで感謝すると言ってから帝釈天らを戻させてから外にいるグレイフィアを呼んだが悪魔でも触れるようにしたので大丈夫そうだ。そんで改めてリアスの部屋に行き、何個もある物も全て処分予定とされていたので纏めて祓ったのだった。
「リアスの部屋にある品物は全て売れるそうだぞグレイフィア。宝物庫に関しては人手が足りないから、手が空いてるメイドや執事が手伝ってるらしいな」
「先祖代々受け継がれてきた宝物の置き場所となっておりますが、他の名家にも似たような部屋があると思います。ここは終わったようなので、お茶をどうぞ一誠様」
「ありがとグレイフィア。各端末にて色々とあるが、ほとんど売れそうな品物ばかりのようだ。ソーナ達が撮った画像がこっちに送られて来るが、宝にランキングされて各ジャンルに仕分けられているとはな」
「眷属が契約で得た物とは言え、お嬢様が得た物はグレモリー家の資産や財産へなります。先程の日本人形もそうですが、日本では物一つずつに命が宿ると聞いてますが」
「それに関しては問題ないよ、異文化の日本に感化される事が悪いとは言えねえが冥界に住んでるヴェネラナにとってはどれも同じ物に見えるだろうよ。明日が楽しみだなー、リアスの悲痛な叫びをする事に関して」
全てのリストにある曰く付きを祓った後、人形に命が宿ったブツに関しても祓ったので問題無く買い取り可能。宝物庫にあったブツは加工業者や金品財宝専門に伝手がいるし、詳細はソイツに一任する事となった。
明日は一度人間界本家に集合後、一気にグレモリー家の玄関に行くのでそれぞれ特化した業者全員が集合した所で向かう俺ら。グレモリー眷属は既に整理と処分をしようとしていたが、手を触れてはいけないと言う指示を出したので俺らが来るまで部屋前で待機となっていたようだ。
「ようリアス。俺達が何故ここに来たか知っているだろう?」
「・・・・こう言う状況だから、皆には見せたくなかったけど一誠は知っている口のようね」
「リアスが無駄に買い込んだ物を整理なり、処分なりして欲しい所を一誠さんに頼んだのは私とグレイフィアですよリアス」
「俺は昨日の内に見させてもらったが、全て買い取り可能だそうだ。それとリアス、金の使い方に関して後程ヴェネラナから小遣いを今後検討したいらしいぜ。と言う訳で買い取り業者と運搬専門の者達よ、昨日送ったリスト通りにして運搬を頼んだぞ」
『おー!』
俺が呼んだ業者はリアスの部屋に入ると、まず地下宝物庫からやる事となったので金剛石やらルビーの原石を運ぶ事となった。金銀財宝に関しての運搬に関してデリケートとされているのか、業者も静かに運び出すがグレモリー眷属と言うよりリアス以外の者らはこれの整理と処分をするはずがやる事なくなった。
「一誠様、この木彫りの熊は何体かありますが一個で充分ですよね?」
「うむそうだな『ま、待って一誠!その子達は一つ一つに名前があって、大切な・・・・』一つあれば充分だろう、なあヴェネラナ」
リアスの言葉を遮って俺が言う事で、ヴェネラナも頷いていた。その母親に物言いをするリアスだったが、キッパリと言うのだった。
「し、しかし、お母様!日本では、モノには命が宿ると言いまして!」
「リアス、異文化の日本に感化されるのは悪い事ではないけれど、それはそれ、これはこれです。どれも同じ熊の置物ですし、既に一誠さんが祓ってくれたので問題ありません。母である私が命じますが、運んでも構いませんから」
「いやーーーーっ!ボブ!大吉丸!レオォォォォンっ!」
ヴェネラナが昨日俺と同じセリフを言った事で、木彫りの熊を持って部屋を出て行く業者。それを見たリアスは悲痛な叫びを上げていたが、随分と国際色豊かな名前を付けてるんだな。
人間界本家に来た時は優雅に振る舞うお嬢様・お姉様なリアスだが、実家では俺らの知らない反応を見せてくれたのが新鮮過ぎてしまう。今のやり取りに関してもだが、全てに関して小さく笑っていたしソーナやシーグヴァイラにとってはからかいがあるらしい。
「複数あるブツに関しては全て一つで充分だ、いくら持ち主であっても既に許可を貰っているからどんどん持ってけ」
「流石一誠様が呼んだ業者さんですね、一つずつ梱包してから運んでいらっしゃいます。私達はしばらくグレモリー家を探索して来ますが、一誠様はどうしますか?」
レイヴェルに言われたが暇になってしまったので一緒に行こうと思ったら、この付近にサーゼクスがいるので俺はそちらに行く事にした。と言うか、実家に帰っているのなら一言言えよな。
「何だサーゼクス?」
「うむ。折角一誠君がグレモリー家に来てくれたからね、時期的に頃合いだし見せたい物があるのだよ。付いて来てくれても構わないだろうか、一誠君」
見せたい物とは何だろうと思いながら、各業者の司令塔をヴェネラナに一任した。既に売れると判断したので外に運ぶだけなのだが、何やらリアスから反発を買いそうなのでな。地下から抜け出て、移住区域を進むが無駄に広い屋敷なのは人間界本家も次元の狭間本家も変わらないな。だが迷う程ではないけど、ここは来た事がない所だな。
『グレイフィア、俺はサーゼクスに連れられて私設劇場のような所にいる。何かあれば来てくれるか?』
『我が主も困った事ではありますが、承知致しました。もし何か困らせ事がありましたら、何時でも良いので呼んで頂ければ幸いです。それに作業のほとんどを業者がやってるので、お嬢様は悲痛な叫びをして他の者らはそれぞれ運ばれるモノに興味があるそうで』
「ここだよ、一誠君」
「一見すると豪華な造りとされた両開きの扉前だな・・・・俺に何を見せてくれるのやら」
一応グレイフィアに報告させてもらってから見ると巨大スクリーンがあり、映画館のような施設なのか席は二階まであるし舞台や照明も設置されている。サーゼクスは二階中央席に腰を下ろした事で、俺は隣の席に座ったがここは何だ?と質問すると答えるサーゼクス。
「ここはお招きした御来賓の方々に楽しんでもらう場所で、主に我々グレモリー家の者が何かしらの発表をする時に使われる。数年に一度使うかどうかの設備となっているのだよ」
「要するにホームシアターのようなもんか・・・・数年に一度とは無駄に豪華な場所とされているな。金持ちの感覚は分からんが、人間界本家にはリビングのテレビで見るからな」
で、サーゼクスは隣に置いてあったアルバムを開き出し、覗き込むと様々な紋様プレートが一ページに何枚も収められている。それに悪魔文字で書かれているからか、読めないのでグラサンを翻訳モードにすると『リアス、初めてのお風呂』と書かれていた。
「これは冥界特有の映像記録媒体で、古い時代から伝わってる代物だ。今の冥界では人間界のビデオカメラの方も流通してるし、七十二柱の上級悪魔の家では冥界特有の方を使う事が多い。伝統と言った所だけど、撮影器具も今とはだいぶ人間界のビデオカメラに作りが近くなっているね」
「今で言うとブルーレイやDVDみたいなもんか、ビデオカメラも小型になったしSDカードで保存となったからな。で、俺に何を見せてくれるんだ?」
「一誠君ら人間界本家に住んでる者は、何かと記録を付けていると朱乃君から聞いたのだよ。皆の成長記録もいいが、私が持ってるアルバムにはリアスの成長を収めた内の一冊だよ。丁度一誠君が復活前のリアスを知りたくはないかい?幼少時代の記録映像がどういうのかをね」
「・・・・それはそれで知りたいな。確か授業参観の映像も俺らの家で保管してあるが、リアスが小さな頃と言うのは非常に興味がある」
取り出した一枚を手元の魔法陣展開後、転移されて行ったが劇場が暗くなりスクリーンに映写されていく。劇場全体が魔力で動いているし、俺が眠っている頃のリアスの映像アルバムを見せようとしてここに連れて来たようだ。他の眷属と一緒じゃダメらしいが、多分リアスには知らない映像が残ってるんだろうな。
「そうだろうそうだろう?では見てみようか」
「リアスの成長アルバムをヒトに見せたくて仕方がない顔だが、それに関しては同意するが怒られても俺は知らんぞ。ま、ヴェネラナが司令塔してるから大丈夫だろう」
「ハハハ、私と一誠君の仲だから怒られたくはないのだよ。今から映し出される映像は仕事に赴く私をリアスが見送ってくれると言う映像だよ」
「家族の微笑ましい風景だが、リアスから聞いた話と違うらしいな」
多忙なサーゼクスが実家に帰ってきた時、よく見送りをしていたそうだが俺が聞いた話と今から見る映像が違うと知ったのはグレイフィアからな。リアスの思い出兄妹編では確か・・・・。
『それでは魔王領に戻るよ、リアス』
『はい、お兄様。行ってらっしゃいませ』
『うむ。今度帰ってきたらセフィロムと天使についてお話しよう』
『はい、よろしくお願いしますわ』
と、このような感じであったし厳格な上流階級の会話であったが、映像を見ると今と変わらないサーゼクス。屋敷の門前で、大勢の使用人を伴ったサーゼクスとヴェネラナが映し出されていた。今と昔も変わらんが、悪魔は見た目を好きに変えられるからか。ま、俺も似たようなもんだし初めて会った時と違うが恐らくリアスが生まれてから容姿そっくりなのだろう。
『それでは母上、魔王領に戻ります』
『ええ。冥界の為、お勤めを果たしてきなさい。ところで一誠さんは何時頃復活されるのやら』
『我が師範である一誠君は、三大勢力戦争から対ドウター戦にて消滅してしまいました。ですが神は不老不死だと聞いてますので、もうそろそろ復活するかと思いますが母上の容姿変更された事に関しては知らないと思いますよ』
『初めて会った時とだいぶ違うけど、声と気だけで分かる一誠さんだから大丈夫でしょ』
出かける前の挨拶だったが、俺が復活前の事だったので初めて聞いたな。容姿変更した事に関してもだが、復活後の人間界本家が完成後に会っても普通に挨拶した覚えがあった気がする。小さい頃のリアスが出てこないけど、何やら可愛らしい声が聞こえてきた。
『おにーたまー!』
熊のぬいぐるみを抱えたチビリアスがサーゼクスに駆け寄って行くが、愛くるしい可愛さでもあるけど『おにーたま』か。映像のサーゼクスは笑顔でチビリアスを抱いたようだが、話と全然違うようだ。
『どうしたんだい、リーア?』
サーゼクスが優しく語りかけてるが、チビリアスは可愛らしい顔を涙でくしゃくしゃにしていた。
『おにーたま、リーアにご本を読んでくれるって約束してくれたのに・・・・いっちゃうの?』
『ゴメンね、リーア。急なお仕事が入ってしまったんだ。これから魔王領に戻らなくちゃいけないんだよ』
『じゃあ、リーアもついてく!』
『困ったな』
少し困った感じのサーゼクスにチビリアスが抱き着いて、困った表情しながら微笑んでいるサーゼクス。それをヴェネラナがチビリアスを引き離そうとしていた。
『リアス、お兄様を困らせてはなりませんよ。サーゼクスは冥界の重要なお役目を担う者なのです』
『やー!おにーたまはリーアのおにーたまだもの!』
『ハハハ、リーアは甘えん坊だなぁ』
嫌々しくしてチビリアスはサーゼクスにしがみ付いていたが、その風景が眼前に展開した事で明らかに以前聞いた内容と真逆じゃん。上流階級の会話ではなく、兄大好きっ子が大暴れしている様子を見たヴェネラナは的確に告げた。
『サーゼクス、鼻血が出ていますよ。・・・・全く、貴方ときたらリアスを甘やかしてばかり・・・・一誠さんが復活した時にはぜひ説教をしてもらいたいわ』
『そ、それだけはご勘弁を、母上。いずれ復活するかもしれませんが、その頃にはリアスも私もマシになっていると思います』
映像を見ている俺だったが、この時を知らないサーゼクスとヴェネラナなので俺は改めてこれを見終わる頃になると説教でもしようかな。
「この頃のリーアたんもきゃわいいなぁ」
「サーゼクス・・・・もしその時期に復活してたら確実に俺はお前を説教していたぞ」
「いやはや申し訳ない、小さな頃のリアスは私の後ろを常に付いて回って来てね。おにーたま、おにーたまと何時だってどこだって甘えて来てくれたんだ。一緒に寝んねもしたし、風呂だって入ったのだが、小さい頃のリーアたんが一番良かった時期だったのかもしれない。この頃に戻せないのが残念であるが、映像に残っているだけマシだと思いたいね」
「今のリアスだって、お前目線では素敵なレディに育ったからそれでいいんじゃんか。それにしてもこの頃から兄バカだったとは、今のお前を映像に残したら末代まで恥だな」
『母上、リーアたんを連れて行っても・・・・』
『ダメです。何を言ってるのですか・・・・貴方からも一つお願いします。魔王となった息子がこれでは冥界の皆様に何てお応えして良いのやら・・・・』
ヴェネラナ目線がカメラ目線となっていたが、この風景を撮影していたとはな。そんで俺の耳に聞き慣れた声をしたケルディムだったが、明らかに様子が違う声音をしていたな。
『・・・・リーアたん。我が儘な顔もまた、いい!』
「ああ、この時父上は鼻血をお出しになられながらリアスの姿に号泣していてね」
「興奮している様子を捉えたケルディムだったけどさ、どう見てもリアスの我が儘は二人の影響だろうよ」
補足説明してくれるが、正直言って我が儘な所はケルディムとサーゼクスに似過ぎだろう。使用人ら一斉に苦笑しているし、アルスとマルスも『やれやれ』との事だった。
『・・・・ウチの男性陣はどうしてこうなのかしら?一誠さんが復活次第、貴方とサーゼクスを説教してもらいたいわ』
『そ、それは困るヴェネラナ!頼むから、一誠君には聞かせたくはない』
とここで映像が止まるが、何故あの時俺はまだ復活してなかったのだろうか。チビリアスを見たとしても、俺としては溺愛する程でもない。俺はこの時点で復活が早ければ説教していたと言うと、サーゼクスは苦笑いでそれは勘弁と言っていた。アルバムから新たな記録プレートを取り出して、魔法陣で転移させてからスクリーンの映像が切り替わる。
「次はソーナと遊んでいる時に撮ったものだ」
「ほうソーナとね、昔の事に関しては何も知らんからな」
婚約者であるが、生憎昔の事に関して話してくれないし見せてくれない。ソーナ曰く姉妹だけの秘密にしておきたいと言ってたが、スクリーンに映し出されたのはチビリアスとチビソーナだった。
『やー!このくまのステラはリーアがおにーたまにもらったものなのー!』
『リーアちゃんのけちんぼ!ちょっとぐらい貸してくれてもいいのにー!』
熊のぬいぐるみを取り合っていたが、ここで予想通りの惨事が巻き起こった。ビリッと引き裂かれた音と共に、熊のぬいぐるみの耳が取れてしまった。壮絶な取り合い合戦で犠牲が出たらしいけど、アレはちょっとした事で修復可能だな。その状況を呆然と見つめていたチビリアスとチビソーナ。
『あー・・・・ステラのお耳が取れちゃった・・・・』
『ぐすっ・・・・おにーたまがくれたステラの耳が取れちゃったぁぁぁぁっ!』
『うわーん!ゴメンね、リーアちゃぁぁぁぁんっ!』
『『うえぇぇぇぇぇぇええんっ!!』』
一拍空けたチビリアスが泣き叫ぶ事で、それを見たチビソーナも泣きながら謝り出すが二人同時に泣いてそれぞれの身内に抱きかかえていた。その二人と言うのが、サーゼクスとセラフォルーである。
『ハハハ、泣いちゃダメだぞ、リーア。あとでメイドさんに頼んでお耳を付けてもらおう』
『あらあら、ソーたんも泣いちゃダメなのよ?ちゃんとゴメンね出来たのだから、仲良くしなきゃ☆』
二人は妹を抱きかかえながら泣き止もうとしていたが、サーゼクスとセラフォルーは笑っていた。
『お互い、妹には甘いようだ』
『ええ、これでも躾は十分だと思うのだけれど』
『それを言うならウチのリーアも躾には厳しいぞ?』
『いえいえ、ウチの方が・・・・』
映像の中で静かに言い合いが始まる二人の現魔王だが、泣き疲れたチビリアスとチビソーナをベッドに寝かしつけると舌戦が再開された。
『セラフォルー、どうやら一度ハッキリと決めた方がいいようだな?』
『ええそうね、サーゼクスちゃん。私も決着を付けないといけないと思っていたの』
『ウチのリーアたんの方が可愛いっ!』
『いいえ!ウチのソーたんの方が可愛いものっ!』
『こちらに来てもらおうか!リーアたんが初めてお歌を披露した貴重な映像が残っている!』
『こっちだって家から「ソーたん初めての一人でお着替え」の映像を持ってきているし、ここぞとばかりに見せちゃうんだから!』
妙な迫力と覇気を放ちながら、二人が叫んでいた。そんで互いの記録映像のアルバムの見せ合いをしながら、二人の兄バカ姉バカ全開で睨み合いを続けていた。サーゼクスとセラフォルーはこんな事もしていたようだが、前魔王と現魔王のイメージが全然違うかのように思えてきた。
ルシファー達が表舞台に立たせたら、是非前魔王であるルシファーから説教を受けてもらおうかな?と思ったら映像にてヴェネラナが登場した事でその考えを無くした。
『貴方達!何をしているのですか・・・・?』
『は、母上・・・・これはその・・・・リアスとソーナについて語っていたと言いますか・・・・』
『お、小母様!決して喧嘩をしていた訳では・・・・』
『・・・・魔王が二人して妹自慢で喧嘩などと、それで冥界を双肩に担えると思っているのですか!?サーゼクス!こちらに来なさい!今日と言う今日は許しませんが、セラフォルーも来なさい!貴方のお母様と私は学生の頃からの友人ですから、娘も同然なのでサーゼクスと共々反省してもらいます!』
『は、はい・・・・』
『はい、小母様・・・・』
ヴェネラナの登場により、サーゼクスとセラフォルーが体を強張らせていた。言い淀む二人であるが、ヴェネラナの迫力オーラを纏わせながら拳を震わせていたがもし俺もいたら同じ気持ちでいただろう。いい歳した二人をヴェネラナに連行されて行くが、冥界の今後を担う魔王だとしてもヴェネラナには敵わないようだ。
「ハハハ、私もセラフォルーもこの時は母上に頭が上がらなかったよ!」
「もしも俺がこの時に復活していれば、自動的に俺に頭が上がらないとは思わないか?」
「・・・・そうだね、一誠君は私にとって師匠と言うべき存在だからもし映像内に母上と一緒にいたら覇気と怒気が混ざり合っていたかもね」
「今だと頭が上がらない存在は俺とグレイフィアかもな、最強の師範と最強の妻だからか」
豪快に笑っていたが、サーゼクスの妹自慢はこれからが本番と言う感じであった。一応劇場外にグレイフィアを配置させているので、困り事が発生次第来てもらう手筈となっている。ヴェネラナからの中間報告によれば大きいブツは全て運ばれたので、残りは小さな品物や名物やら名産品をどうするかで迷っているそうだ。
『きょうは、おあつまりいただき、まことにありがとうございます』
チビリアスが舞台で緊張の面持ちでぎこちない挨拶をしていたが、記録映像は俺らがいる劇場を舞台としたチビリアスのピアノ演奏会を見ていた。サーゼクス曰くリアスの初めてのピアノ演奏会で、各御家の方々を招待してピアノを披露したとか。
兄バカの解説が続いていたが、俺は黙ったままだが我が弟子がリアスの成長記録を見るとシスコン魔王が笑ったり泣いたり表情豊かに熱く語っている事で反応に困った俺である。
「サーゼクス、妹を絶賛するのもいいが少しは自覚を持った方がいいぞ。シスコン魔王か兄バカ魔王と呼ばれても俺は知らんからな」
「それに関しては嫌な二つ名だね・・・・おっともうこんな時間となってしまったからこれ以上ここにいると皆に怪しまれる」
「あちらはもうすぐ片付けが終わるそうだ・・・・今回の売買でグレモリー家には資産が戻ってくると言うのもいいのでは?」
サーゼクスが懐から如何にも高そうな高級時計を取り出すと、時間を確認していたが俺も時計を見ると結構な時間経過していた。映像を止めてから戻ってきたプレートをアルバムにしまうが、俺は一つ提案した事でサーゼクスも承諾させてからプレートの中身を人間界でも見れるように外付けHDDに入れた。すると悪魔文字で秘密と書かれていたので質問した。
「サーゼクス、それは何の映像が入ってるんだ?」
「これかい?これは・・・・そうだねー」
サーゼクスは説明を止めてからしばらく考えていたが、師範に隠し事は良くないと随分前に教え込んだのでプレートを転送して再びスクリーンに映像が流れた。内容は幼いリアスの寝顔であり、ベッドで熊のぬいぐるみと一緒に寝ていた。
「・・・・サーゼクス、これはリアスの寝顔だけを集めた記録映像か?」
「うむ。このプレートにはリアスの寝顔だけを集めた記録映像なのだよ。リアスの成長と共に撮り溜めしていた寝顔映像集でね、編集して時間を掛けたのだがこれは一、二を争う程の宝物とされている。一応、幼い頃のは撮れたのだが、流石に大きくなったリアスの寝顔は撮れない環境となってしまった。記録が途切れてしまうのは残念な事だが、これに関してはしょうがない」
そりゃ幼い頃のリアスなら撮り放題だったけど、人間界で言うなら高校生でありながら眷属の長としているからな。それに今勝手に撮影すると盗撮と同じような犯罪となってしまうし、迷惑行為になってしまうからな。
「一応言っとくが、俺にリアスの寝顔を撮る係とかやらせるなよ?俺らはリアスと暮らしてないし、もし寝顔撮影をするのなら全力を持ってお前をグレイフィアに突き出すからな」
「アハハハ、それは分かってるさ・・・・一誠君は私の師でもあるし一度グレイフィアの寝顔を撮ろうとしたら死にかけたからね」
「それはそうですよサーゼクス。寝顔撮影と言うのは盗撮と同じような事なので、変態と同類されますからね」
「その声はグレイフィア!『そうだろうと思ってな、劇場外にグレイフィアを待機させといた』流石は一誠君、私を止める者はグレイフィアと一誠君だけだよ」
寝顔撮影とは、若干後ろめたい感情を抱きつつ、そろりそろりと忍び足で近付いて部屋に侵入。そんで可愛く寝息を立てるアイドルか女優、愛しの女性に気付かれる事なく撮影する事に意義があるとオリジナルではそう書かれている。熱弁されても変質者の行動であり、身内が変態的な行動されると女性は気味悪がられてキレる。
「一誠様、今回の事については・・・・」
「今回は有意義なモノを見せてもらったが、ここにある記録媒体をこちら側でダビングしといた。それと『秘密』と書かれたのもだが、人間界本家で保存しといた方がいいだろうな」
「流石は一誠君、仕事が早いだろうけどもし今後リアスが泊まりに来たら寝顔を撮影してほしいのだ」
「俺とお前の仲だが、貸しだからなサーゼクス。もし見つかってもサーゼクスがやらせたと言えばいいもんだ」
と言う事で俺ら三人は劇場から出て、先程リアスらがいた区画まで戻ってくると宝物庫も部屋も随分とスッキリしていた。当のリアスは悲痛過ぎて寝込んだようなので、グレモリー眷属はフォローとして部屋の中にいた。ダイニングルームでは俺を待っていた黒神のメンツらであるが、後ろにいたサーゼクスとグレイフィアがいた事で少々驚いていた。
「一誠さん、リアスの部屋にあった物と宝物庫がスッキリしたから呼ぼうとしていた所よ」
「おう、そりゃよかった。グレモリー家の資産として戻ってきたのか?リアスの無駄遣いから」
「合計金額を言いますと、お嬢様が今まで無駄に使ってきた額よりも、プラスとして戻ってきましたのでその一部を蒼い翼冥界支社に送っておきました」
「謝礼金と言う事か?それとも寄付金か?それなら有難く使わせてもらうよ、ヴェネラナで思い出したが京都のお土産を渡すのを忘れていた」
ダイニングテーブルに空間から取り出したお土産を置いたが、京野菜の漬物や日本酒に八つ橋などの和菓子と日本茶の茶葉をな。オリジナルでは、サーゼクスと主人公がリアスの寝顔を撮る為にバットマン擬きのようなコスプレ姿となるサーゼクス。
撮影用カメラには困難打破するためにいくつか機能を搭載されているらしく、催眠魔力やらがあるそうだな。そしてあと少しでバレて『リーアたん寝顔を撮り隊』隊長、お兄ちゃん仮面と名乗るがグレイフィアを呼ぶとの事ですぐに謝罪した。
「あらあら、こんなに買ってきてくれるとは思わなかったわ。その中にはリアスの部屋にあった名産物があったけど、賞味期限が切れてたから捨てちゃったわ」
「日本酒とつまみはケルディムに、和菓子と茶葉とリクエストしていた京野菜の漬物は主にヴェネラナだ」
「おやおや一誠君、私の好きな物を知っているとは何時知ったのだね?」
「何言ってんだよケルディム、お前との仲は江戸時代からの付き合いだ。土産の好みを知らないで何が友か、せっかくだから日本茶と茶器もあるので一緒に飲むか?」
そう言ってダイニングテーブルの上には、用意していた茶器と茶葉を入れてからケルディム夫婦とサーゼクス夫婦にな。ソーナ達にも茶器に入れた日本茶を飲んでいたが、これは普通に入れるのと俺が入れるのとでは味が違うと言っていた。そりゃ俺が料理すると作り手によって味が違うようになるし、お茶を普通に入れたとしてもいつも入れるお茶や紅茶よりも美味しいと言われてしまう。
「うん・・・・この八つ橋も美味しいけど、一誠さんの家にある茶葉も美味しいけどアレは結局どこのブランドなの?」
「ウチにある紅茶のか?アレは人間界本家で家庭菜園やっているから、普通の売り物じゃないのさ。売るとしたら蒼い翼オリジナルブレンドとして発売されるけど、今の所どこにも売る気はなかった。だからグレモリー家と人間界本家しかないぞ」
「そうですね、紅茶の茶葉は私達専用ですから売り物として出回ってませんからね」
「そろそろ一誠さんから仕入れた紅茶の茶葉が無くなるから、売ってくれないかしら?」
「俺達は高級茶葉としてグレモリー家限定で販売しているから、交渉権はそちら側にあるから欲しいなら蒼い翼に言ってくれ。そしたら納品してこちらで発送するから」
ヴェネラナもだがグレイフィアもあの茶葉に関してどこの商品か知りたかったらしいが、作り手が前魔王ルシファーだし次元の狭間本家で作ってるからなのか。茶葉もどの高級茶葉メーカーにも負けない味とされているが、他で情報漏洩しないようにしてるし出回らないよう頼んだからな。
用件も済んだから俺ら黒神は撤収したけど、後日グレモリー家から発注が来たと蒼い翼から連絡が入ったので、次元の狭間本家に行って商品用のパッケージに非売品と書かれた事を確認してからグレモリー家に発送した。
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