ドラゴンクエストビルダーズ:アレフガルドを復活させられてます(新リュカ伝)
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第1章:メルキド編
1:新任ビルダー現る
前書き
原作のシステムでは、二段以上の壁とドアと明かりがあれば屋根が無くても部屋認定されますが、
流石に屋根無いのって問題あると思うんですよね。
なので、新リュカ伝のDQBでは、基本的に屋根も存在するのが部屋とします。
メルキドガーデンの様な特殊な建築物等は屋根無しでも大丈夫だとは思いますので、
全てに屋根標準装備ではありませんが、作中に書かなかったからと言って屋根無し物件って訳じゃありません。
(メルキド平原)
精霊神ルビスの導きにより、薄暗い穴蔵から脱出したリュカ……
久しぶりの開放的青空を期待していたのだが、その想いは打ち砕かれる。
「何だこの世界は!?」
少し小高い丘の上に立つリュカの眼前には、広い草原と薄暗い空が広がっており、各所にはスライムやドラキーといったモンスター達も蔓延っている。
『リュカ……ここはメルキドと呼ばれた地です。かつては城塞都市とも呼ばれており、人々が生み出したゴーレムによって守られていた町でした』
「ゴーレムが守ってたのに滅ぼされちゃったの?」
『その通りです。従って当面の貴方の役目は、メルキドの町を復活させる事です』
ルビスの説明に多少の不満が滲むリュカ。
「滅びた町なんか復活させないで、新しい町を作り直せば良いじゃん」
『別に何でも良いんですよ町の名前なんて。メルキドでも、アリアハンでも、グランバニアでも好きな名前にして下さい。私がお願いしてるのは、町の有った場所に町を再建して欲しいって事です』
「解ったよ。怒んなよ、そんなに。取り敢えず如何すれば良いのかぐらいは教えてくれよ」
『……貴方にはこれを渡しておきます』
そう言うとリュカの手の中に、粗雑な造りの旗が現れた。
「うぉ、何だコレ!?」
『それは希望の旗……その旗をメルキドの町の跡地に立てると、その周囲を私の放つ光で照らし出せます。そうすれば散り散りなった人々が集まり、貴方と共に町の復興を手伝ってくれる……はず』
「“……はず”って、何で自信なげなんだよ!」
『町を復興するキーマンのビルダーが、貴方でなければ自信持って言えるんです。貴方は人を怒らせる天才ですから……集まった人々を怒らせて、また散り散りになってしまうかもしれないでしょ!』
「お前……勝手に連れてきたヤツが、そういう事を言うか? ……ってか“ビルダー”って何だ?」
『ビルダーとは貴方の事です。貴方は伝説のビルダーなんです。……と言うか、伝説はこれから作られるんですけど』
「お前……何か格好いい事言ってやる気出させようとしてるけど、やる気なんて出ないからな……基本的に! まぁやる事はやるけども、やる気はないからな!」
『アレフガルドを復活させる事が出来るのなら、やる気がなくても良いです。もう貴方の魂を使うって決めた時点で、面倒事になるって覚悟してましたから、アレフガルドさえ復活させてくれれば良いです』
「なんちゅー言い草だ」
『ほらほら……早く復興に取りかかって下さいよ。貴方の正面に光の柱が見えるでしょ……アレがメルキドの跡地です。そこに希望の旗を立てれば、全てのスタートとなります』
「はぁ……やれやれだな。何の報酬も無く、お偉いさんに扱き使われるなんて、まるで奴隷時代に戻ったみたいだ」
『貴方は奴隷ではありません。伝説のビルダーですよ。自信を持って下さい(笑)』
「笑いながら言うな」
『失礼しました……それと言い忘れましたが、貴方は勇者でもありません。その事を忘れないで下さい』
「昔から自分が勇者だと思った事なんて一度もねーよ」
リュカは姿の見えないルビスに悪態を吐くと、遠くに見える光の柱へと歩き出す。
伝説のビルダーとして、大きな一歩を……
(メルキド跡地)
リュカSIDE
取り敢えず穴蔵を抜け出してここに来るまでに、幾つか解った事がある。
まず、生前の容姿で復活した事……つまりイケメンだ!
そして肉体年齢は17~19歳くらいって事。
しかも奴隷時代の傷は無くなってた。
そんな事を道中の水たまりで確認してると、スライムが俺に向かって襲いかかってきた。
手持ちの武器が檜の棒だったけど、この肉体年齢頃の身体能力なども復活してた為、全く危なげなく撃退出来た。
しか~し問題が無いわけでもない。
何と……魔法が使えないのだよ!
遠距離からバギをスライムに浴びせようとしたんだけど、発動しなかった。
つまりホイミ系も使えなければ、ルーラも無しと言う事になる。
ルーラくらい残してくれても良いと思わねぇ?
ホントに使えないよね、あの貧乳女神は!
もう一つ解ったのは、モンスターを倒すとアイテムを落とすって事だ。
スライムは青い液体を落としたんだが、勝手に腰の袋に入っていったと思ったら、頭の中に“青い油”とアイテム名が浮かび上がった。
ルビスのお手伝いその3かな?
さて……ぼろっちい希望の旗を持って、ルビスの指示するメルキド跡地に辿り着き、町の中央まで来ると目印にしてた光の柱が消え去り、そこには石で出来た作業台と旗を立てる為と思われる祭壇があった。
「ここに旗を立てれば、ルビスの加護の下に町造りが出来るのかな」
あまり役に立たない加護だろうけど、このままじゃ人々も寄りつかないだろうし、言われた通りに旗を立てる事にする。
「よっこいしょ」(ゴスン!)
精神年齢(魂年齢?)は超高齢の為、旗を立てる為に祭壇に突き刺すのにも掛け声が要る。
掛け声の有無は兎も角、旗を立てた途端……その旗から暖かい光が広がり、かなりの範囲を覆ってくれた。
「これが町造りのスタートか……」
『その通りですリュカ』
「うぉ、ビックリした! いきなり話しかけるなよ。居たの、ずっと?」
『居ますよ、そりゃ……』
姿は見えないのに、声だけは聞こえる。何か監視されてるみたいで嫌だなぁ……
『この光の中で、貴方が物作りを集まった人々に見せれば、次第に物作りの能力を人々が取り戻すはずです。そうすれば町の復興を手助けしてくれる事でしょう』
「ふ~ん……」
『“ふ~ん”って、随分な反応ですね。何か不満でもありますか?』
「いえ別に……不満は無いですよ。やる気も無いですしね」
勝手に生き返されて“お前の責任なんだから何とかしろ”と言われ、“よっしゃぁぁ!やってやるぜぇ!”ってなるヤツは居ない。
『……良いですよ、それでも。アレフガルドを復興してくれるのなら、貴方のモチベーションは気にしません。それよりも町の名前は決まったのですか?』
「はぁ、町の名前? 何で俺がそんな事を考えなきゃならないんだよ」
『貴方がビルダーとして作り出す町です。貴方が名付けなくて如何しますか!』
「……めんどくせーなぁ。じゃぁ良いよメルキドで!」
元々はメルキドって名前の町だったんだから、頭捻って変える必要無いよね。
『何だ……結局そのままですか』
「お、何だ! 文句あんのかコラ!」
『いいえ、お好きにして下さい』
「じゃぁボソッと因縁付けんな」
『はいはい……それより、無駄話をしてる間に、町人候補が来ましたよ。きっと貴方のモチベーションも上がる町人候補が……』
何処で見てるのか分からないが、何かを見つけたルビス……
言われるがまま俺も周囲を見渡す。
「ここは何だ? この旗は何なんだぁ?」
俺の視界に入ったのは、歳は16~17くらいの黒髪の可愛い少女。
俺が立てた旗と、他とは違う空間が気になり、新生メルキドの町にやってきたのだろう。
モチベーションが上がるって、そう言う意味かぁ!
うん。確かに上がるね!
物作りも、町造りも……そして子作りも頑張れるね!
「やぁお嬢さん、初めまして。この旗は僕が立てた物なんだよ。そしてこの暖かい空間は、この旗を立てた事により発生した新しいメルキドの町(予定)なんだよ」
「君がこの旗を? ここが新しいメルキドの町? ……一体君は何者なの?」
「僕の名前はリュカ。女神ルビスの導きで、異世界よりアレフガルドを復興する為にやってきたビルダーだ。先ずは手始めに、このメルキドを復興する予定なんだ」
『先程まであんなにやる気が無かったのに、アッサリ気分が変わるんですね』
「うるさいよルビス。やる気になったんだから良いじゃんか!」
小うるさい女神のチャチャに文句を言い黙らせる。
すると……
「ルビス? 私の名はピリンだよ。それに貴方一人で喋ってるのに、うるさいって如何いう事?」
「あ、あれ? ルビスの声が聞こえなかったの?」
如何なってんだ? 俺……独り言言ってる事になってるの?
『リュカ……私の声は貴方にしか聞こえません。人前で私と会話すると、大きい独り言を言う危ない人にしか見えませんよ(笑)』
笑ってんじゃねーよ! そういう事は最初に言わなきゃダメだろ。
「大丈夫リュカ……何か危ない人っぽいけども?」
「あ、危なくなんてないよぉ」
気を付けよう……人前でルビスとは会話しない事にする。
話しかけられても無視だ!
「ふーん……でもさぁ、メルキドを復興させるって如何やって?」
「如何やってってぇ……」
『リュカ……近くに扉だけが残された廃屋があるでしょう』
ルビスから話しかけられたが、俺は答えない。
でも言われた廃屋を目で探す。
……あれの事か?
『見つけましたね。その廃屋の壁と屋根を修理して、彼女に町造りの基本を見せるのです』
見せるって言われても……如何するんだ?
俺今、青い油と土しか持ってないんだけど。
『土を使って修復するんですよ』
え、マジで!?
土なんかで直すの?
とは言え、如何する事も出来ないので、言われた通りに土で壁と屋根を修復する。
修復と言ってもやってる事は単純で、元は白い石壁だった家の壁の穴を、手持ちの土ブロックで埋めて行く。屋根も土ブロックを隙間無く置けば、穴は無くなり雨風凌げる小屋の完成。
「わぁ凄い。それが復興させるって事なの?」
「まぁ、最初の一歩かな。当分はここに住むわけだし、雨風凌げる部屋がないとね」
本心を言えば、土での修復なんて嫌だけど、現状仕方ないので我慢する。
そんな事を考え修復した小屋を眺めてると、ピリンがズンズン小屋に入って行く。
修復したの俺なんだけど、俺より先に中入るかねぇ……
まぁ良いけどね……この娘可愛いから。
「う~ん……壁も屋根も穴だらけだった時よりはマシになったけど、やっぱり廃屋は廃屋ね。昼間でも中は暗くて動きにくい」
「あ、本当だぁ……」
小屋修復をした張本人の俺だが、何故か2番目に入室し、室内の状況を確認する。
そして思い知る……ピリンの言う通りだと。
暗すぎて何も見えないよ。
「何処かに松明でも落ちてないかしらね? ……って、松明は落ちてないか、流石に」
「そりゃぁねぇ。でも作れば良いじゃん」
「え、作る? 作るってなぁに?」
「……作るって事が解らないの?」
あ、そう言えばルビスが言ってたな。
“人々からは“物作り”の能力が失われ”って……
それって言葉を忘れただけなんじゃねぇの?
目の前で作ってみせれば、作り方を憶える(思い出す)んじゃねぇの?
「……………」
俺は直ぐさまピリンを石の作業台へ誘い、目の前で松明を作ってみせる。
作り方は簡単……太い枝とスライムからゲットした青い油を組み合わせ、摩擦熱で火を熾すだけ。
「うわぁ、すごい!? これが作るって事なの?」
「そうだよ。拾った物だったり、モンスターからゲットした物だったりを組み合わせ、新たな物を作り出す。僕はビルダーだから、誰に教わる事も無く出来るけど、ピリンだって作り方さえ解れば、出来るはずだよ」
俺は彼女にも松明の作り方を伝授する。
作り方を憶えたピリンは楽しそうに作り続けている。
それはもう、一心不乱に。
物作りを楽しんでるピリンを他所に、俺は自ら作った松明を、修復した小屋の中に設置しに行く。
これがあれば室内も明るくなって、生活環境が向上するだろう。
んで、気付いたね俺。
室内……草ボウボウ!
んも~う! 当分の間は彼女とこの部屋で甘い生活するんだから、ムードとか大事じゃん!
贅沢は言わないけど、草ボウボウは無いわ!
だから当然の如く、俺は手持ちの檜の棒で、室内の草を刈り取りました。
そしたらね、頭の中に“丈夫な草”ってワードと“白い花びら”ってワードが浮かび上がり、腰の袋にアイテムが追加されたんだ。
唯の草だぜコレ。
白い花びらは先刻穴蔵でルビスから貰って、傷薬に加工出来たけど、丈夫な草って何!?
こんな物までもアイテム扱いされてるの?
「如何したのリュカ? うわぁ、松明を部屋の中に置いたんだぁ。すご~い、これで住みやすくなったね」
俺が手に入れたばかりの丈夫な草に疑問符を叩き付けていると、松明作りに飽きたのかピリンが小屋に入ってきた。
「うん。これで、この部屋で生活出来るね、僕達」
「う~ん……野宿するよりはマシだろうけども……地べたに寝るのは……やっぱり……」
確かに。奴隷時代も、冒険者時代も、敷物も無い状況で寝た事はないなぁ……
如何すっかなぁ……草、あったほうが良かったかなぁ?
……………あ!
そうか。この丈夫な草を加工するのか!
俺は頭に思い浮かんだベッドのレシピを実行すべく、直ぐさま石の作業台へと向かった。
そして丈夫な草を加工し、藁のベッドを制作する。
そして出来上がった藁のベッド2つを、先程の小屋の中に並べて敷いた。
「凄い! ベッドまで作っちゃったのリュカ!?」
「当然さ、僕はビルダー。このアレフガルドを復活させる男なんだぜ。ピリンを地べたに寝かせるなんて事は出来ないさ!」
そう爽やかな笑顔で、出来立てのベッドへピリンを誘う。
松明という光源が野暮ったいが、致し方ない。
これ以降は、男の魅力で補うさ……
リュカSIDE END
後書き
早速ですよ……
リュカさん全開ですよ!
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