| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

エイリアン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

1部分:第一章


第一章

                       エイリアン
 宇宙の遥か彼方でだ。彼はこう指示を受けていた。
「いいか、ネンデルカ=グリーザよ」
「はい」
 髪は金髪で目は黒い。顔は彫が浅く鼻が低い。服は銀色のブレザーに似た上着にズボンだ。靴も銀色でネクタイも同じだ。その格好の彼がだ。
 肘を畳んだ敬礼をしてだ。自分の前に立つ男に応えるのだった。
「これから地球に入りですね」
「そうだ。地球人を見てくれ」
 ぞの男はグリーザに対して告げる。
「どういった者達かな」
「これまで調べたところでは外見は我々とですね」
「そうだ、殆ど違いがない」
 男もそうだと彼に述べる。この彼は金色でセットにしている。やはり髪は金髪で目は黒い。そしてその顔の彫は低く鼻も低いものだ。
 その彼がだ。こうグリーザに述べる。
「その彼等を調査してだ」
「逐一ですね」
「噂ではかなり好戦的だという」
 男は危惧する顔になり述べた。
「そしてだ」
「はい、さらにでしたね」
「残虐だとも言う。若しそうした者達が宇宙に出れば大変なことになる」
「だから今のうちに調べてですね」
「対策を講じたい。それではだ」
「わかりました」
 グリーザは再び敬礼をして男に応えた。
「今から地球に潜伏し調査をはじめます」
「頼んだぞ」
 こうしてだった。彼は地球に潜伏したのだった。その場所はというと。
 日本のだ。大阪という町だ。その町の調査も事前にしたうえで潜伏したのである。
 大阪の天下茶屋という場所のアパートに入りだ。彼はその大阪で好まれている服を着た。それはラフなジーンズに豹柄の上着だ。その派手な柄の上着を着てみてだ。彼は畳の上で首を傾げさせて言うのだった。
「これが地球の服か。随分変わっているな」
 そう思いながらも外に出てだ。仕事に向かう。潜伏しかつ生活費を手に入れ地球、地球人の調査の為にだ。仕事に就いたのである。
 仕事はうどん屋だった。うどん屋に入ると白い服の親父に言われた。
「じゃあ今日も宜しくな」
「はい、わかりました」
 敬礼と共に応える。しかしだった。
 親父は彼のその敬礼を見てだ。苦笑いと共に言うのだった。
「おい、名前は」
「トム=スタンカといいます」
「そうだよな。で、スタンカさんよ」
「何でしょうか」
「確かアメリカ海軍にいたっていってたけれどな」
 経歴はそうしたことにしているのだ。地球に潜伏する為であるのは言うまでもない。
「その敬礼は止めてくれよ」
「では地球の礼で、ですね」
「頭下げてくれるだけでいいから」
 親父は実際に頭を下げる動作をして彼に話す。
「こうしてな。それだけでいいからな」
「それでいいのですか」
「ああ、いいぜ」
 笑みでだ。親父は彼に話す。
「それじゃあいつも通りな」
「はい、うどんを茹でてですね」
「調理してくれよ。しかしな」
「しかし?」
「あんたアメリカ人なのにうどん茹でるの上手な」
 地球潜伏にあたって地球というよりか大阪の文化を学んでだ。そうしたことも身に着けたのである。もっとも色々と学び抜けたこともある様だが。
「見所あるぜ。日本が好きか」
「はい、まあ」
 事実を隠して答える彼だった。
「ですからここにいます」
「そうか。日本語も上手いし頑張りなよ」
「そうさせてもらいます」
 こうしたやり取りをしつつだ。彼はうどんを茹でる。そうしてだ。
 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧