ロココの真実
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2部分:第二章
第二章
「そして私達はその文化をね」
「生み出していますね」
「その一人ですね」
「エウロパの漫画は連合の漫画を越えるのよ」
カトリーナは今遥かな頂を見た。そのうえでの言葉だった。
「そしてその為にもね。エウロパの誇り高きロココ文化を描いてみせるわ」
「では及ばずながら私達も」
「アシストさせてもらいます」
アシスタント達も応える。しかしだ。
ここでアシスタントのうら若き美女達がだ。こうカトリーナに尋ねた。
「それにしても先生って貴族なのに喋り方とか普通ですね」
「かなりざっくばらんですよね」
「私達にもそうした喋り方ですよね」
「貴族の優雅な喋り方もできるわよ」
それはできるとだ。カトリーナも答える。集中線を描きながら。
「けれど漫画家って汚れるじゃない。トーンは貼るしベタ塗るし線は描くし」
「だから、ですか」
「そうした喋り方になるんですか?」
「汚れてて優雅な喋り方もないでしょ」
それでだというのだ。
「インタヴューとかの時は優雅に喋るけれど描く時はね」
「くだけた喋り方ですか」
「そうなるんですか」
「漫画に貴族も平民もないでしょ」
貴族だがそれでもだ。カトリーナはこう言った。
「連合を越える漫画を描くだけよ。わかったわね」
「わかりました。では誇り高きエウロパの文化を」
「私達で創り出しましょう」
アシスタント達はカトリーナの漫画に対する情熱も見た。そのうえで描いていくのだった。
カトリーナは結婚した。相手は勿論貴族だ。その直前に描いていた格闘漫画を終わらせ新婚旅行の後でそのロココの漫画をはじめた。しかしだ。
カトリーナは早速だ。頭を抱えながらアシスタント達に述べた。その述べた言葉は。
「困ったわね」
「ええ、そうですね」
「これはかなり」
「やばいですよ」
アシスタント達もだ。困っていた。それは何故かというと。
まず衣装を描いていた。ロココの貴族の衣装だ。これがだった。
「何これ。滅茶苦茶描き込まないといけないじゃない」
「しかもトーンもかなり使いますよ」
「CGも入れてって」
「淑女のドレスも大変ですけれど」
「殿方の服も」
「どれも滅茶苦茶描き込まないといけないですよ」
ベタもトーンもフルに使う。とにかくだ。
当時の貴族の衣装は細かい。描き込むことが実に多い。しかもだ。
大変なのは衣装だけではなかった。それは髪型も同じだ。カトリーナはその当時の髪型を描きながらだ。アシスタント達にこう言ったのだった。
「服はね。今の時代も着てるわね」
「はい、舞踏会の時とかですね」
「貴族の人着てますよね」
「そう。だから確かに描くのは大変でも知ってるのよ」
知ってるからだ。描けることは描けるというのだ。
だが髪型についてはだ。こう言うのだった。
「異様よね」
「殿方はこれ鬘ですか?」
「あの左右にカールのモーツァルトみたいなのだけじゃなくて」
「この長い鬘も描くの大変なんですけれど」
「描き込むこと多くて」
まずは男の髪型にだ。頭を悩ませる。この時代の貴族は舞踏会等では服はバロックやロココのままだ。しかしその髪型はこの時代のままであるのだ。
だが当時の髪型はだ。どうかというとだ。
「こんな描きにくい髪型ばかり」
「先生カール苦手だったんですか?」
「そうだったんですか?」
「誰でも得手不得手はあるわよ」
かなり嫌そうな顔でだ。カトリーナは答えた。
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