ソードアート・オンライン~共鳴の宴舞台~
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SAO:アインクラッド〜共鳴しあう絆の中で〜
雪山探索編
前書き
一行でわかる前回のあらすじ
フォルテがノックアウトしてアスナにばれて作者がリセットした(°_°)ナニモナカッタデス
第55層フィールドダンジョン《西の山》にて
真っ白な雪が世界を覆うこのフィールド。
その純白の中を、二つの影が歩いていた。
「寒い!ただひたすらに寒い!!」
「もっと着るもの持ってくるべきでしたねー」
「いやなんでフォルテはそんな格好で寒くもなんともないのよ!」
「氷結耐性のレベル8持ってますから」
「そんなパラメーターあったっけ?」
「無いです」
「ふんっ」
「グォハッ!?」
……あれ?前回読み込んだ時と違う気が?
まぁいいや。
ん?いまフォルテ殴ったのになんでリズベットのカーソル緑のままなんだろ?ツッコミだからかな?
特に危なげなく進むフォルテとリズベット。
雑談を交わしながらも順調に進んでいた。
「どーよその武器。そこそこの性能でしょ?」
「うーん……まぁ、そうですね……」
「おいなんだその反応」
「いやっ、あのっ、なんでもないっす」
フォルテの武器は、前回の戦闘で壊れてしまっている。
その為今日はリズベットの方からお金を払って借りるという形で武器を調達したのだ。
だが、フォルテは武器を選ぶ際、「あること」にこだわらなくてはいけないのだ。
それは。
(この武器は音が響かない……)
叩いた時、音が響くかどうか。
フォルテのユニークスキル、《共鳴棍》の一番のメリットは味方への付与や敵への状態異常。さらには《範囲内の敵への攻撃》という特異性にある。魔法のないアインクラッドでは、チートと言われても仕方ないほどの性能だ。
だがデメリットとして武器自体の『音が響くか』によって威力が大幅に変化するのだ。
モノによってはほぼゼロダメージになることすらあるほどに。
そして今回の武器は。
(贅沢を言いたいわけじゃないけど、これじゃ共鳴棍は使えないな……)
どうやら、彼のお眼鏡にはかなわなかったようだ。
もともと棍棒は、打撃武器という点では音を鳴らすのに適しているが、どちらかというと太鼓を叩くバチのような役割としての使い方になってしまう。
その場合、叩いた相手。つまりはモンスターが音を鳴らすことになるのだが……それができるのはギリギリゴーレム型のモンスターくらいだろう。
そのため、《共鳴棍》の力を最大限に引き出すにはまず音が響く武器を探すところからだが、強い棍棒になるにつれて重く、固くなってしまうため、その両立がとても難しいのだ。
ちなみにフォルテは忘れているが、まずリズベットが居る時点で共鳴棍は、と言うよりユニークスキルなんてものは使えない。
それに最前線で戦うフォルテからしたら、10層以上低いこのダンジョンではもともとの《片手棍》のスキルだけでも普通に戦えるレベルの敵しか出てこない。
「てなわけでドーーン」
「うぉー飛ぶねー」
「現実では野球を少々……」
「やってたんだ」
「やってません」
「…………」
「あの、いっそ暴力的な反応してくれた方が助かるんですけど……」
モンスターを吹っ飛ばしながら二つの意味で空気が寒くなるフォルテ。慣れない癖にボケようとするから……
とかまぁそんなこんなで(どんなだ)頂上付近までやってきたフォルテ達。
あれだね。この話書くの久しぶりすぎて申し訳ないけど書き方覚えてない節がありますね。
「よい、しょっと……」
「着いたねー」
「うぉお……!」
「すごいでしょ?」
「はい……!」
雪山の頂上の景色。
(自分の功績でもないのに)自慢げなリズの隣でフォルテは否応なしに目を奪われていた。
真っ白な地面に突き刺さったような巨大な水晶。
夕暮れ色に染まった空を写した水晶が大きくそびえる姿は、穏やかに萌える炎をも想起させた。
その景色に魅せられたフォルテが、キョロキョロと落ち着きなく見回しながらゆっくりと進んでいくと。
突然。
とんっ。
「え?」
「じゃ、頑張ってね」
「え?ちょ、え?」
リズに、背中を押された。
と言っても、思いっきりつきとばすようなものではなく、2、3歩前に出る程度だ。
だが、時にその2、3歩が決定的な違いとなる時もある。
こんな風に。
モンスターのPOP領域に足を踏み入れる場合においては。
振り向いて、リズの方を向いていたフォルテの丁度後ろ。
つまりはフォルテの進行方法だった方から、「あいつ」が現れた。
フォルテからしてみれば、真後ろに出てきたわけだから、なんとなく感じるだけ。言ってみれば気配だ。
そしてフォルテがおっかなびっくりもう一度振り向いてみるとそこには……
「––––––––––––––––––––––––––!!!!」
周囲の世界に溶け込むように真っ白な、ドラゴンの姿があった。
突然いろいろあってついに固まったフォルテはとりあえず一言だけ呟いた。
「わーきれい……」
その言葉と穏やかな微笑みを浮かべる表情とは裏腹に、彼は心でしっかり泣いていた。大号泣だった。ドバドバでてた。
そしてそんなことお構いなしにドラゴンは攻撃を始める。
一度仰け反るような体勢になると、それを一気に戻して思いっきり、侵入者に氷のブレスを浴びせる。
ブレスとは名ばかりの、巨大な氷柱のような攻撃がフォルテに襲いかかる。
(避けることは簡単だけど……)
通常のブレスの特徴は、広範囲な攻撃と防ぎにくい点。ついでに状態異常だ。
だがこのように一点特化のような形であれば、飛距離は伸びるだろうが、二つの利点を潰してしまっている。
だが。
(後ろにはまだ、リズさんが……)
そのため、フォルテの行動は。
「せいっ!!」
バギィ!!
近くにあった手頃な大きさの(それでも十分大きいが)水晶を、根元から砕き割る。
それをそのまま倒して、即席の盾にしたのだ。
「大丈夫ですか!リズさ……」
とっさに後ろに振り返り、自分を囮にしたリズの安否を確認しようとするフォルテ。
するとそこには。
「いねぇじゃねえかっ!?」
誰もいなかった。
ルインみたいな口調になりながら毒づく、常に敬語で通しているトッププレイヤー。
遠くにピンクの髪が見え隠れするから多分無事ではある。
「あんの人は本当に……」
ぶつぶつ呟きながらも、今度はちゃんとドラゴンと向き合い、武器を構える。
水晶の盾の向こうで、ドラゴンも「あ、終わった?」みたいな感じでフォルテを見据える。優しい。
一瞬の静寂。
直後の爆裂。
フォルテがいたところに、雪煙が舞う。
筋力値重視のフォルテにとっては、走るよりも地面を蹴って跳ぶように移動する方が早い。
その分直線的にしか動けないが、このフィールドはいたるところに水晶が生えている。足場には困らない。
ドラゴンの斜め後ろあたりまで移動し、水晶から全力でジャンプ。弾丸のようにドラゴンへと飛びかかる。
が。
「おぉぉおおお!?」
フォルテが空中で一気に減速。翼で弾かれそうになり、咄嗟に棍棒を盾にする。
空中で減速した理由はいたって単純。
進行方向と逆向きの力がフォルテにかかったから。
そしてその力とは。
「風力……!そうですよねドラゴンなんだから飛べますよねそりゃあ!」
ドラゴンが羽ばたいたことによる風。
そして羽ばたくということは、同時にドラゴンが空を飛びはじめることである。
ルインやヒナのような斬撃系の武器であったなら防御時に羽根を切ってそれを阻害することもできたかもしれないが、打撃系武器の棍棒では無理に決まっている。
「ああ、くそっ!共鳴棍使えたらまだいいんですけどね!」
空中に逃げられると打つ手はない。
もちろん、投擲系の武器を使ったり、フォルテ自身がどうにかジャンプして攻撃を与えることは可能ではある。
が、投擲武器が届くまでに移動されれば意味はないし、ジャンプしたとしたら逃げ場はゼロになる。
ので。
「秘儀、逃げる!」
今度はリークさんみたいなことを言って逃げる、頭脳派トッププレイヤー。
まぁ、間違ってはいない。
もちろんドラゴンとしては、ずっと飛んでいればいつかは勝てるだろうが、プログラムはそれを許さない。
だってSAOだし。
そのうち降りてくるでしょ。
ってことで、ちょっとの間回避に専念する。
はずだったが。
「やばいやばいやばいやばい」
翼に弾かれ、落とされた場所が。
水晶の一際大きいものの、ほぼ頂上。
簡単に言えば。
「ここすっごい滑るんですけど!?」
水晶を滑り台みたいに落ちていくフォルテ。
かなりのスピードで、滑っていくフォルテに、ちょうど前方からドラゴンのブレスが襲いかかる。
水晶の根元のあたり、フォルテの少し前のところに。
フォルテは、持っている棍棒の持ち手の部分を水晶に叩き込み、少しでも歯止めをかけようとする。
結果。
「ぁぁぁぁあああああ!?」
フォルテの少し前方あたりにブレスが直撃。爆風がフォルテを押し返した。
滑っていた水晶を、逆戻り。
今度は水晶をスキージャンプのように飛び出す。
ものすごい勢いで、夕暮れ時の寒空を突き抜けるフォルテ。(諦めた目)
の、先に。
(忘れかけてた)あの人がいた。
ピンクの悪m……リズベットさんが。
「ん?」
「ぁぁぁぁああああああああ!!!」
おみごと!ストライク!
とか言ってる場合でもなかった。
普通ならここでリズさんがなにすんのよって怒るだけで終わったかもしれない。
ただ、場所が悪かった。運も悪かった。
ここで思い出して欲しい。
リズベットは、なにをしにここにやってきたのか。
簡単に言えば、クエストの内容。
龍の巣穴に潜り、鉱石を取ってくる。
龍の巣穴は、地面に穴を掘って作るタイプ。それもとんでもなく大きな穴だ。
リズさんは、その穴に潜ろうとしているところを、フォルテに突撃された。
うん、もう簡単に言っちゃおう。
龍の巣穴、とてつもなく大きな穴に。
フォルテとリズベットは、落ちたのだ。
重力という当たり前の力が、二人の命に牙をむく。
後書き
今回はフォルテが奇跡を起こしました。
フ「奇跡っていうならもっといいものが良かったですよ……」
さて次回は、ちょっと作者も忘れてた!あいつの出番です!
フ「僕は覚えてましたよ」
それでは次回のお話も!
フ「耳を傾けていってくださいね」
ばいばい〜
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