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戦国異伝

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第二百四十六話 妖術破りその九

「このまま勝てる、ではな」
「その勝ちを確かにする為に」
「是非ですな」
「さらに攻める」
「そうしますな」
「そうじゃ、攻めよ」
 このままと言うのだった。
「よいな」
「はい、それでは」
「我等も」
「突き進め、最早後はじゃ」
 まさにとも言う信長だった。
「敵を叩くのみ、そして」
「この戦で」
「魔界衆そのものを」
「滅ぼすのじゃ」 
 信長はその目を強くさせて言った。
「敵の本陣までも近い」
「そこにです」
 羽柴がここで信長に言った。
「敵将達がおります」
「魔界衆の長老、そしてじゃな」
「十二家の棟梁達が」
「弾正はもうおらぬ」
 彼が十二家の棟梁の一人だったことはもう知っている、それは高野山や比叡山の奥にあった書にも松永家のことが書いてあってわかったことだ。
「残るは十一家じゃ」
「その十一家の棟梁達が」
「揃っておる」
 その彼等がというのだ。
「まさにな」
「だからですな」
「本陣を攻めよ」
 敵のそこをというのだ。
「よいな」
「そしてですな」
「褒美を手に入れよ」
 笑っても言う信長だった。
「思いのままぞ」
「ではそれがしは」
 褒美と聞いてだ、羽柴は笑みになってこうも言った。
「ここで手柄を挙げ」
「そしてじゃな」
「はい、褒美を頂きます」
「それを楽しみにしておれ」
「さすれば」
 羽柴は早速だった、馬を駆って。
 自ら攻めた、その中で。
 隣に来た秀長と秀次にだ、こう言った。
「魔界衆の棟梁達の首を取るぞ」
「そして、ですな」
「そのうえで」
「うむ、褒美はじゃ」
 それの話だった、二人に話すのだ。
「思いのままという、だからな」
「はい、それでは」
「ここで我等も手柄を挙げ」
「母上に茶器を差し上げてじゃ」
 羽柴は目を輝かせて言った。
「ねねにも服を駆ってやるぞ」
「兄上、土地は」
「うむ、欲しいことは欲しいがな」
 しかしというのだ。
「銭と茶器も欲しくてな」
「今はですか」
「そちらの方をですか」
「そうじゃ、母上とねねの為にじゃ」
 是非にというのだ。
「褒美として手に入れるぞ」
「叔父上はです」
 こうも言った秀次だった。
「より上を目指せるのではと」
「石高でじゃな」
「百万石でも」
「それはよい」
「もう石高はですか」
「充分じゃ、それよりもじゃ」
 むしろと言うのだった。
「母上とねねの為にな」
「茶器や銭をですか」
「欲しい」
 そう思うからこそというのだ。 
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