おぢばにおかえり
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第二十三話 入学テストその五
「どっちかにする?」
「お好み焼きにしない?それとも王将?」
「何処がいいかしら」
「ドーナツや回転焼きはもう随分食べてるしね。それに今甘いもの食べる気分じゃないし」
「そうよね。今はそれよりも」
「しっかり食べたいわね」
「そうそう」
皆でそう話していきます。
「じゃあ。ラーメンかしら」
「がっつりにしない?あっちにラーメンもあるじゃない」
「それもそうね」
がつうり亭はラーメンもあります。けれど皆がよく頼むメニューはカツとか唐揚げとかです。どうしても揚げ物を頼んでしまうような気がします。
「じゃあそれ?がっつり?」
「お好みもいいけれど」
一人お好み焼きにこだわってる娘がいます。おぢばのお好み焼きは大阪風です。それで広島出身の佐野先輩が寂しがっておられたのをよく覚えています。奥華も広島の人が多いのでそれで大阪風か広島風かでいつもかなり論争になったりします。男の人達がお酒を飲みながら。
「やっぱりがっつりかしら」
「お腹一杯になりたいならそれでしょ」
「そうよね。それじゃあ」
「けれど。下手したらね」
ここで一言入りました。
「下手したら?」
「柔道部の子とかラグビー部の子とかいるわよ」
天理高校は野球部や吹奏楽部で有名ですけれど柔道部やラグビー部も有名なんです。ラグビー部のあの白いユニフォームが好きです。
「あの子達かなり食べるし」
「何か女の子の行くお店じゃないってこと?」
「少なくとも世間様はそう見るかもね」
これは実感ができます。女の子ってやっぱり周りから独特のイメージで見られますから。特に天理高校の女の子はそうみたいです。
「天理高校の女の子がって」
「じゃあ私服で行く?」
「半被着用だから同じよ」
外出時は絶対に半被。これが決まりです。
「だって半被に天理高等学校ってでかでかと書いてるじゃない」
「ああ、そうだったわね」
「あれはね」
「だからすぐにばれるわよ」
考えてみれば本当に変なことができないです。何処の人かすぐにわかるので。けれどこれがいいんだっていうこともわかってはいます。
「要注意よ。いいわね」
「そうね。じゃあラーメンにしておく?」
「お好み焼きにしない?」
どうもお好み焼きにこだわっている娘がいます。
「大阪風でね」
「っていうかここ広島風ってあるの?」
「さあ」
あまり見たことがないです。ですから奥華の広島の人達が困っているのであって。私としてはやっぱり大阪風がいいと思うんですけれど。あとところてんは黒蜜です。
「ないんじゃないの?」
「聞かないわよね」
「それにここにいる娘って皆関西人じゃない」
おぢばが奈良県ですからやっぱり関西の娘が多いんです。それで関西弁の女の子が可愛いっていう言葉もよく聞きます。佐野先輩なんかはその広島弁で随分人気があったそうです。広島弁っていいますと一人称が絶対わしってイメージがあるんですけれど。
「大阪でいいわよ、大阪で」
「それもそうね」
「とにかく。何食べるの?」
食べ物の相談は続きます。
「がっつり?ラーメン?」
「それともお好み焼き?」
「お腹空かない?」
これが一番重要でした。
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