戦国異伝
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第二百四十五話 夜においてその七
「我等が勝ちまする」
「星もそれを教えてくれていますか」
「星はそれぞれの運命を表します」
「人のそれを」
「そして天下の」
「そして天下は」
「これからです」
元就は夜空を見つつ話し続ける。
「長く泰平となります、ただ外では」
「本朝の外では」
「戦となっています」
「では南蛮と」
「そうなるでしょう」
元就は氏康に確かな声で答えた。
「明はわかりませぬが」
「上様は明の領地には関心がありませぬな」
「そうです、明は明であり」
「本朝は本朝ですな」
「それ故に」
「明とはことを構えない」
「倭寇は征伐しても」
倭寇といっても明の海賊も非常に多い、実際に魔界衆にもそうした倭寇の者が数多く加わり戦っている。
「明は違う」
「国としてそこにあるので」
「攻めることはしませぬ」
「左様ですな」
二人で話して納得した、だが。
ここでだ、元就は氏康にこうも言った。
「本朝は琉球と交わりを深めです」
「美麗、そして呂宋ですな」
「南に進みますが」
「その辺りは国でなくとも」
「南蛮の者達がいます」
「それ故に」
「はい、南蛮の者達とはです」
彼等とは、というのだ。
「戦になるでしょう」
「そうなりますか」
「南蛮の者達は鉄砲と砲を持っています」
そもそもそうしたものも南蛮から伝えられた。種子島に来た南蛮の者達が持っていた鉄砲からはじまったのだ。
「ですが」
「我等もですな」
「持っています、そして」
「南蛮の船もまた」
「鉄甲船がそれです」
「それがあるからこそ」
「戦になろうとも」
美麗や呂宋、そうした島々を巡ってだ。
「我等は戦え」
「そして勝てる」
「そうです」
「では」
「はい、南蛮との戦があろうとも」
「先に進めますな」
こう二人で話す、そこにだった。
政宗が来てだ、二人に笑って言って来た。
「南蛮の者と戦い勝てば褒美は多いですな」
「では伊達殿は」
「その褒美を求められますか」
「ははは、南蛮や呂宋に領地を貰い」
そして、というのだ。
「百万、いや二百万石の大名になろうかと思っています」
「ほう、二百万」
「それだけの方にですか」
「そうです、どうも拙者は仙台だけでは満足出来ぬので」
だからだというのだ。
「南蛮の者達との戦に勝ち」
「南の領地を手に入れ」
「そうして」
「今以上の大身になろうと思っています」
「ふむ、伊達殿は戦がしたい」
「左様ですな」
「そう聞かれると違いますな」
政宗は元就と氏康のその問いにはこう返した。
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