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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第九章 全ての始まり
  第2話 過程

 
前書き
まだ設定みたいなものです。頭が痛くなるような内容ですが、是非最後まで見てください。 

 


魔法科学専門研究所付属学校。

そこが、神代柑果が送られた場所だった。

本来なら九年分の基礎教育の内、六年分の教育課程を終えて、かつ十二歳以上であり、かつ入学試験に合格した者のみでしか入学出来ないのだが、未来の原石とまで言われた柑果は八歳だったが特別枠として入学することになった。

何故このような入学制限が用いられているのか。

理由はいくつかある。

まず第一の理由に勉強量が関係している。

魔法(今では魔術と呼ばれている)には魔法式というのが存在する。

それは文学、数字などが規則的(ごく稀に不規則的に)並べられていて、それを理解するのにはかなり高度な理解力と情報処理力必要となる。

さらにオリジナルの魔法を作ろうと思えばこの世の物理法則や化学反応、神話や歴史を参考にして考える必要がある。

そのため文学、理論、理科、社会の分野において優秀な成績を納めなければ魔法を学ぶことすら許されない。

まだ八歳になりたての柑果にそんな知識はほとんど持ち合わせていないのだが、″この幼さで魔術を使える″という事実だけで入学させられたのだ。

先程記述した通り、魔法式を理解するのには高度な理解力と情報処理力が必要となる。

この幼さでは普通ならばそれほどの力が無い。

その理解力が芽生えるのが、これが第二の理由にもなってくる。

十二歳になれば自分の性格の把握、反抗期、性欲、男子なら声変わりなど、肉体的にも精神的にも変化が訪れる。

それは脳も例外ではなく、成長がピークになるこの時が一番魔法を学ぶのに適していると言われているのだ。

理解力が低く、脳がまだ小さいこの頃は普通なら魔術に芽生えるはずが無い。

なので、彼女は″未来の原石″と呼ばれた。


しかし、それは事実と少し異なった。



柑果は魔法が使えるが、″魔法式″を理解しているわけではない。

あくまで、″感じ取って″頭の中に浮かんだ『象形』を創り出したにすぎない。

だから。




始める時点で、既に食い違いが発生していた。



感じ取るのと理解するのではまるで意味が違う。

柑果はこの日から苦労することになった。




ーーーー
ーーー
ーー




才能というのは、時に残酷だと思う。




魔法の才能があった彼女には魔法を使うことができても魔法を理解することはとても難しかった。

文字列の把握、計算、逆算。

それを紙も何も使わずに頭の中でしなければならない。

″感じ取る″ことができた柑果には必要のないことなのかもしれないが、予期せぬ事態が起こった時に、対処しようと思えばどうしても魔法式の逆算が必要となる。

魔法式を読み取り、どこか不明瞭な場所を見つけ、書き換える。

それが″普通″のやり方だ。

もちろん柑果にもそういうやり方で教えられる。

しかし、″感じ取る″ことができる柑果にはそれはまるで意味を成さなかった。

その理由は、なぜ柑果が感じ取ることが出来るのか、に繋がってくる。





共感覚とサヴァン症候群





柑果は、この二つの感性間知覚を所有していた。

共感覚とはある刺激に対して通常の刺激だけでなく異なる種類の感覚を生じさせる一部の人に見られる特殊な知覚現象。

例えば文字や音に色を感じたり、形に味を感じたりする。

同様に数字を色や物で感じることができ、計算する時も、例えば7+8だとすると、7の色と8の形が合わさって15の模様が見えるから答えは15だ、といった風に計算式を書かなくてもそれを一瞬で判断し、計算することができる。

サヴァン症候群は、ごく特定の分野に限って優れた能力を発揮するもののことを指す。

この症状には様々な例があるが、柑果の場合は膨大な量の書籍を一回読んだだけですべて記憶し、さらにそれを逆から読み上げる、という常軌を逸した記憶力を持っている。

勿論覚えることが出来るだけで理解はできない。

単語は知ってるけど意味は分からないというのと同じことだ。

しかし、その知識があるだけで理解するのに時間は掛かりにくい。

ゆえに柑果は″感じ取る″ことができるので、全ての単語を理解する必要もない。




だけど。

つまり。

彼女は理解はしなくとも。

文学、計算、理論、そして実践。


全てにおいて、ずば抜けた能力を発揮したのだ。



ーーーー
ーーー
ーー




三年後のある日。

年に一度の実践発表会が行われた。

内容は至ってシンプルで、自分で考えた理論のもと、オリジナルの魔法を発表するというものだ。

参加は自由。学校生活で一度も参加しなくても卒業は出来る。

それに多くの会社の企業のお偉いさんが見に来るので(プレッシャーや緊張からか)殆どの生徒は参加しない。

ただし、参加すれば実力が評価されるし、直接魔法を見ているので自分の企業の研究に役立つ生徒を見つけやすい。

よって生徒にとっては仕事先も見つけやすい。

それに、最優秀者には海外留学の権利も得られる。

今年の参加者は計17名。全校生徒が479名なので全生徒の約3.5%しか参加していない計算だ。

それでもオリジナルの魔法を作るというのはかなり難しく、さらにこの場に立つ度胸がある者を除けば17名というのはそこそこ多い計算になる。

イメージとしては中高一貫の学校で生徒会に立候補するようなものだ。




そこに、


神代柑果は参加していた。



「次、神代柑果さん」

「はい!」

マイク越しに元気のいい返事が聞こえる。

そこはまるで西洋の闘技場のような場所で、ドーム状なので囲むように人が観客席に座っており、下は土、上は開放感ある青空になっている。

その中心には柑果、審査員と観客は安全のために防御魔法を審査員と観客を囲い込むように貼られている。

生徒に職員、企業の人達も合わせれば500人以上いることになる。この中で、最年少の柑果が参加すると噂になり、過去最高の入場となった。

『では、まず今から使う魔法の詳細を』

マジックとは違い、まず初めにトリックの説明から始まる。

それなら驚きが半減してしまうのでは?と思うかもしれないが万一魔法が予期せぬ反応をした場合、対処をしなければならないため、予め知っておく必要がある。

勿論、それは柑果でも例外ではない。

柑果「えっと、私の魔法は……変だと思われるんですけど……」

『何でもいいから早く』

柑果「あ、はい!……私の魔法は、全ての魔法を打ち消す魔法で……」

言って、辺りが静まりかえった。

その時まだ十一歳の彼女は無言のプレッシャーに押し潰されそうになり、縮こまってしまう。

数秒後、辺りが騒めきだした。

ここを仕切っていた人も困っているようだった。

『それは一体……どういう』

柑果「多分、見てもらった方が早いです」

そう言いながら魔法で作り出した炎、水玉、氷などこの学校に通っている者なら誰でも使える基本的な魔法を上空に作り出した。

それが。




柑果に目掛けて襲いかかってくる。





対して。

柑果は右手を上空に掲げるだけだった。

炎や水玉は柑果の右手に一直線に向かう。

『っ!?危ないっ!!』

思わず声を上げるが時すでに遅し。

しかし。




窓ガラスが割れるような音が響いたと思うと、炎や水玉は一瞬の内に消え去ってしまった。







『……へ?』

柑果「これが、私の創り出した魔法です」





後に。



これが。



『幻想殺し』と呼ばれるようになる。






 
 

 
後書き
次話か、その次くらいにとある人物が二人登場します。一人はここまで読んで知らない人はいない人物であり、もう一人は……オリキャラでは無いんですが、まだ未登場のあの人です。察しのいい人は分かるかも……? 
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