ラブライブ!~μ’s feat.me~
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LIVE12 彼女の為に
朝6時、俺が起きて穂乃果を起こしに行くとその姿はなかった。雪穂に「穂乃果は?」と聞くと「知らない。練習にでも行ったんじゃない?最近やる気がすごいし…」
と返してきた。たしかに言われてみればそうだ。あの合宿以来、穂乃果を筆頭にμ’s全員がラブライブ出場を目標に毎日頑張っている。だが、俺は何かに捲き込まれているとしか考えられなかった。その理由は合宿の時に赤い月を見たからだ。それは俺達を不幸、混沌に導く月……
(お願いだから、何にも捲き込まれるなよ……)
そう思いながらμ’sの朝練の場所である神田明神に行った。だが、そこにも穂乃果の姿はなかった。
「あ、刹那君だにゃ。おはよう!」
目の前に急に駆け寄ってきた凛に戸惑いながらも挨拶を返す。
「お、おはよう……」
「ちょっと、穂乃果は?」
またしても急ににこが質問してきた。
「あー……ちょ、ちょっと喧嘩してな……まぁ、練習しててくれ……」
俺は停止している脳を出来る限り働かして通せもしない嘘をついた。
「はあ?喧嘩?そんなんでアイツが練習に来ないの?バカじゃないの‼」
本気で怒鳴ってきたにこに俺はたじろいでしまった。にこが本気で怒鳴る理由も良くわかる。たかが喧嘩で練習に来ないなんてにこの目指しているアイドルへの冒涜なのだから。だが、俺にはそんなことを気にしている暇は無かった。
「お、俺、調子悪くなってきたから帰るわ……」
また通せもしない嘘をついて走って逃げた。後ろから「ちょっと待ちなさいよ‼」と聞こえてきたが聞こえない振りをした。ごめん、にこ……
家に帰ってきても思った通り穂乃果の姿はなかった。
結局、学校でも穂乃果に会う事はなかった。そして海未とことりもいなかった。これは流石におかしいと思ったのかμ’sの全員が俺に質問を投げつけてきた。だが、俺は何も答えなかった。答えられなかったと言うべきかもしれない。俺と同じ境遇であろう獅子神と白夜、俺の3人とμ’s(2年生抜く)の間に数分間の沈黙が訪れる。このままでは何も解決しない、何かを言ってこの話を止めさせないと、と思った瞬間、
『黒薙白夜、高坂刹那、獅子神隼人の3人は理事長室に来てください。繰り返します……』
その放送を聞いて俺達は一目散にその場から逃げ出した。今はこれで良い。その場しのぎにしかならないだろうが言い訳は理事長の話を聞きながら考えられる‼そう思い、理事長室に入った。すると、中には理事長と見知らぬ男3人がいた。その男3人はこっちを見ると立ち上がり、近づいてきた。
「黒薙白夜君はどちらでしょうか?」
中央の男が白夜を指名してきた。俺にはやけに言葉が丁寧ということが気になるんだが……
「ぼ、僕ですけど……」
「そうですか。では、1つ質問させてもらいます」
白夜が何も答えないのを確認すると、相手はそれを肯定と受け取ったのか話を続けた。
「黒薙白夜君。貴方は、能力に見合わない待遇を受けている人が相応の立場になろうというとき、それを邪魔しようと思いますか?」
案外真面目な質問に白夜は眉1つ変えずに答えた。
「思いません」
「よいお返事です。その言葉、後々忘れないように」
そんな言葉を残して男3人は理事長室を出ていった。
「何だったんだ?」
「さぁ……さっきの質問の意味も分からないし……」
「少なくとも裏に何かありそうだけどな」
獅子神の言葉で一旦話を止めて理事長と話す。
「で、用事って何ですか?」
「そこに座ってちょうだい」
理事長がいつになく真剣な顔で話してきた。白夜と獅子神もそれを感じ取ったのか真剣な眼差しを向けていた。
「これを見てちょうだい」
「「「…………っ⁉」」」
理事長に渡された紙を見ると衝撃の事実が書かれていた。
『高坂穂乃果、園田海未、南ことりの身柄を確保した。取り返したくば指示する場所に1週間後に来い。そこではデスゲームを開催する。ルールは当日に説明する。戦える物を持って来い。』
「これは………⁉」
「誘拐、か………」
「よくも………‼」
「これはさっきの男3人から渡されたものよ」
さっきの男3人だと⁉
「これを受けるかどうかは貴方達しだいよ。考えて___」
「受けるよ」
こんなもの、受けないはずがない。こっちは彼女を盗られてるんだから。
「なら、お願いがあるわ。これは理事長として教育者としてではなくことりの親としてのお願い。絶対に助けて……‼」
俺達に願いを頼む時の理事長の眼からは涙が流れていた。恐らく、不安と娘を失ってしまう恐怖でいっぱいなのだろう。
「了解」
「分かった‼」
「僕がことりを連れ戻す!絶対に!」
それぞれが言葉を残して理事長室を出ていった。
理事長室を出るとμ’sの皆がいた。
「話、聞かせてもらうわよ」
「「「誘拐⁉」」」
俺達は部室に戻り理事長室であった出来事を嘘偽りなく正直に話した。
「でも、刹那は穂乃果と喧嘩をしてたんじゃ……」
「それは嘘だ。咄嗟に思い付いたことを言っただけだ。すまん……」
「じゃあ、穂乃果達はどこに居るか分からないってこと?」
「あぁ……」
「でも、指定された場所に行けば居るんやない?」
「それは確実にない。これを仕掛けてきたのがプロの殺し屋だったらわざわざ指定したところに人質を置くような真似はしない。俺だったら確実にそうする」
「じゃあ、そのデスゲームが開始されるまで穂乃果ちゃん達に会えないっていうことなのかにゃ⁉」
「そういうことになるね」
「じゃあ、貴方達は一体何するつもりなの?」
俺達が何をする?それは決まっている。
「「「修行だ‼」」」
穂乃果達は1週間後にならないと会えない。なら、俺達に出来ることはアイツらに勝つために少しでも力をつけることだ‼
「なら、私たちは……」
「手伝うのよ……」
「えっ、にこっち⁉」
「手伝うのよ‼」
希の問いに怒りを混ぜて言ったのは不機嫌度MAXのにこだった。なんでも、日記を無くしてしまったとか……
「手伝うって具体的に何をするのよ?」
手伝うことに甚だ遺憾を感じている真姫が対抗する。
「決まってるでしょ!料理とか色々よ!コイツらも食べるものがないと修行に集中出来ないでしょ!」
「それもそうね。刹那達は良いかしら?」
「そうしてもらえれば助かるけど、絵里達は受験勉強とか学校とかはいいの?」
「私は別に問題ないわ」
「ウチも大丈夫やで」
「このにこ様に任せなさい!」
三年生は大丈夫だな。けど、1年生は……
「お前らは大丈夫なのか?」
オッ、獅子神ナイス。
「凛は大丈夫にゃ!」
「わ、私も大丈夫です」
「私も協力するわ」
おぉ、いつも素直じゃない真姫がこうもすんなりと。
「じゃあ、決定だな。よろしく頼む‼」
こうしてデスゲームへ向けた修行が始まった。
翌日の朝……
昨日、それぞれの家に帰りμ’sのメンバー(絵里を除いて)は適当に家族に嘘をついて、穂乃果達を誘拐された家族、雪穂と付き合いの深い絵里の妹:亜里沙にはそれぞれが正直に話した。
ここからは3つのグループに分かれて修行することになる。
刹那グループ:絵里、希
白夜グループ:にこ、真姫
隼人グループ:花陽、凛
*刹那の姉ちゃん:鳴神風夏は学校の授業の為、居ません
《刹那サイド》
「修行するって言っていたけどどこでするのかしら?」
「ここだ」
絵里と希を連れてきたのは山奥にある立派な建物である。因みに俺の別荘。
「刹那君、何度も聞くけど変な物とかないよね?」
希が珍しく標準語で聞いてくる。よっぽど怖いんだろう。
「心配すんな。昨日キレイにしといたから」
「もう掃除したん?」
「当たり前だ。いくら仲間とはいっても手伝ってくれるのが女子なんだぞ。虫とかいたら嫌だろうが」
(あぁ、穂乃果は良い旦那さんを持ったわね。)
(イケメンや……)
なんだろう?なぜかあの二人が遠くなっていくような……
「というか、朝飯まだだったな。作るか?」
「いや、それは私たちがやるから良いわよ。刹那は休んでて」
「刹那君、ウチのおっぱい枕使う?」
「誰が使うかぁぁあああああ!」
希が魅力的な提案をしてくる。使いたいのは山々だよ⁉けど、俺は修行をしないといけないんだ‼
「じゃあ、まず朝イチの修行してくる。朝飯の用意は任せた」
「いってらっしゃい」
「刹那君、あまり無理したらいかんよ?」
「心配すんな、俺は倒れたりしねえよ」
一気に飛んで夜9時……
俺は両方から二人の発育しすぎな部分に挟まれて寝ていた。この二人からは良い臭いがする。あぁ、ダブルおっぱい枕もなかなか良いもんだな。
《白夜サイド》
夕方5時……
僕はまた真姫の別荘を借りて近くの海での修行を終えてシャワーを浴びていた。
「白夜、ご飯出来たわよ!」
にこの声が聞こえて僕はすぐに返事した。なぜなら、ものすごく腹が減っていたからだ。
「分かった、すぐ行く!」
僕がすぐに着替えてテーブルに着くと目の前には僕の大好きな料理が並んでいた。ざる蕎麦に天麩羅に焼き魚、どれも僕の大好きな料理だ。
「前、ことりが言ってたのよ。白夜はそれが好きだって。」
「うん、大好きだよ!」
「それなら毎日作る?」
「それは勘弁してほしいな……」
大好きだって言っても毎日は飽きるよ……
「それじゃ食べましょ、いただきます」
「「いただきます」」
《隼人サイド》
夜7時……
俺は腹が減って死にそうだ。何でかって?それはな、
「凛はラーメンが食べたい‼」
「絶対に白米‼」
さっきからこの調子なんだ。俺が止めようとしても「静かにしてて!」と言われて俺の意見を聞いてくれない。
「「隼人君はどう思う!」」
おぉ、これは俺の意見が通る絶好のチャンスじゃないか。よし、ここで一発……
「あのなー、どっちかを明日にすれば済む話だろ?」
「「(゜ロ゜)」」
おい二人とも、今気づいたみたいな顔してんじゃねえ!こっちがどんだけ待ってたのか分かってんのか!
「そ、そうだよね……別に今日だけじゃ無かったからね……」
「思いっきり忘れてたにゃ……」
「よーし、分かったなら早く作るんだ」
俺が作ると食べ物じゃ無くなるからな。前、刹那と白夜に言われた。
こうして3人の闘い、デスゲームは近づいていた。
《???サイド》
「理事長、今、ターゲットが着いたとの事です」
「御苦労、これであの方が企てた計画を実行できる」
ふふ、待っていろ。すぐに貴様らの希望を打ち砕き闇へ堕としてやる。
「プロジェクト ザ リバース開始だ」
私の狙いはただ1つ。首を洗って待っていろ高坂刹那、いや、鳴神刹那。
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