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艦隊これくしょんー3号と呼ばれる提督ー

作者:末武克之
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第4話 誰かの為に

黒井は片腕をギプスで固定して部屋で書類を書いていた。

「あの、提督ちょっとよろしいですか?」

そう黒井に言って来たのは翔鶴だった。

「ああ、どうしたんだ?」

そう黒井は聞いた。

「あの、お昼ご飯を持って来ましたから食べますか?」

そう翔鶴は聞いてきた。

「ああ、そんな時間か」

そう黒井は書類を書き終えて言った。

「ほらお昼ご飯持って来たわよ」

そう瑞鶴は少しツンツンで言った。

「瑞鶴ダメよ!提督にそんな態度は」

そう翔鶴は言った。

「だって、」

そう瑞鶴は黒井を見た。

黒井は気にせずに飯を食べようとしていた。

片手で。

しかし黒井は利き手じゃないから上手く掴めなかった。

「あ!提督ダメですよ!私達が食べさせますから」

そう翔鶴は言った。

「すまないな」

そう言って黒井は箸を止めた。

「それじゃあ瑞鶴、提督にご飯を食べさせてあげて」
そう翔鶴は言った。

「なっ!何であたしがこいつにご飯を食べさせないといけないのよ!翔鶴姉え!!」
そう瑞鶴は言った。
「瑞鶴、黒井さんは前の提督と違って優しくて思いやりがある人よだからいつも助けられてばかりいたらダメな気がするの」

そう翔鶴は瑞鶴に言った。

「でも翔鶴姉この男は普通の人間とは違うんだよ!この力で私達を裏切るかもしれないんだよ!」

そう瑞鳳は言った。

「それでも私達の恩人に変わりないでしょ」
そう翔鶴は言った。

それを聞いて瑞鶴は仕方なく頷いて黒井に昼食を食べさせた。

「ほら、あーんして」
そう瑞鶴は黒井に言った。

黒井は何も言わずに口を開けた。

そしてご飯を食べ終えて黒井は本を読みながらうたた寝をしていた。


ーーーー


目を開けた黒井はふとベットの下を見た。

掛け布団の横の方で翔鶴と瑞鶴が眠っていた。

黒井は二人に毛布を被せて二人が起きるまで本を読んでいた。

昔の自分の罪を忘れないでいるために黒井はただ戦うしかなかった。

カイザを殺しこの手には数えきれないほどの罪があった。

「ん?」
翔鶴は黒井の服を掴んだ。

黒井は何も言わずに本を置いて二人を見た。

今の自分が戦うのは彼女達を守るためだと。

そして失わない為に戦うのだと。

「俺は必ず君達に平和な日常を与えてみせる」

そう言って黒井は腕に力を入れた。

痛みを忘れ今の自分の腕の骨を治した。

腕に巻いていた包帯を解いて片手をグーにして痛みが無いか調べた。

しかし痛みは無くなった黒井は起き上がり服を着替えて外に出た。

そして二人の頭を優しく撫でて歩き出した。


ーーーー


瑞鶴は夢を見ていた。

そして目の前には仮面ライダー3号が立っていた。

3号の足元には一人の人間が倒れていた。

3号はトライサイクロンに乗り走り出した。

瑞鶴はそれを見て黒井響一郎の罪が消える事はないと。


ーーーー


目が覚めた瑞鶴は自分に掛けられた毛布を見た。

そして黒井が居なくなった事に気づいた。

「翔鶴姉!起きて!」

そう瑞鶴は翔鶴を起こした。

「どうしたの?瑞鶴?」

そう翔鶴は瑞鶴の方を見た。

そして翔鶴はベットで寝ている筈の黒井響一郎が居なかった。

それに驚いた翔鶴は辺りを見ていた。

「とりあえず翔鶴姉!探そうよ!」

そう瑞鶴は翔鶴に言った。

「そうね!」

そう言って翔鶴は走り出した。


ーーーー


黒井はトライサイクロンの点検をしていた。

「戦えばまた誰かが死ぬ、戦わなければ誰かが傷つく」

そう言って黒井はポケットに入れていたカイザフォンを片手に持ちながら言った。

「あっ!いた!」

そう瑞鶴は黒井を見るなりそう言った。

「どうした?そんなに慌てて」

そう黒井はカイザフォンをポケットに戻した。

「どうしたじゃありませんよ!なんでベットから起きて車の整備をしてるんですか!」
そう翔鶴は黒井に言った。

「俺はいつでも戦えるようにするためだよ」

そう言って黒井は手拭いで汗を拭いて立ち上がった。

「一つだけ聞きたいんだけどあんたはどうして私達をそこまで守るために戦うのよ」

そう瑞鶴は黒井に聞いた。

「俺は仮面ライダーだから人間と艦娘の自由と平和の為に戦うと誓っているんだ」

そう言って黒井は歩き出した。

悲しみと罪で染まった手を拳にして二人を後にした。


ーーーー


黒井はおはぎとコーヒーを飲みながら書類を書いていた。

「あの、司令官さん書類が書き終わったのです!」
そう暁型四番艦の電は黒井に言った。

「ああ、すまないな今日は瑞鶴の当番なのに」

そう言って黒井は戸棚から饅頭を電に渡した。

「あの、よかったのですか?」

そう電は黒井に聞いた。

「ああ、気にせずに食べてくれ」

そう言って黒井は電の頭を撫でてデスクの上に置いていた写真を見ていた。

そこには黒井響一郎と本郷猛と一文字隼人の三人で写っていた。

「お友達の写真なのですか?」

そう電は黒井に聞いた。

「ああ、昔からのな」

そう言って黒井は書類を書き終えて間宮に向かうことにした。



ーーーー


翔鶴と瑞鶴は片手に弓を持ちながら訓練をしていた。

「二十㎝ずれたわね」

そう翔鶴は言った。

「どうしたの翔鶴姉調子が悪いの?」

そう瑞鶴は翔鶴に聞いた。

「いいえ、ただあの人の言葉の意味が心に残っているだけよ」

そう言って翔鶴は黒井の台詞が頭から離れなかった。

ウーウーウー

いきなりサイレンが鳴り始めた。

翔鶴と瑞鶴は走り出した。



ーーーー


「今回の出撃艦は正規空母からは翔鶴と瑞鶴。重巡洋艦からは最上。駆逐艦からは吹雪と電と夕立以上だ!」

そう赤城は六人の艦娘に言った。

「頑張って下さいね!」

そう赤城は言った。


ーーーー


抜錨した艦娘達は海を走りながら敵の機動部隊に向かった。

「翔鶴姉」

瑞鶴は翔鶴を呼んだ。

「どうしたの?瑞鶴」

そう翔鶴は瑞鶴に聞いた。

「何か嫌な予感がするんだ」

そう瑞鶴は翔鶴に言った。

「ん?」
吹雪は何かに気づいた。

それは深海棲艦が目の前に二十五体立っていた。

「何あの数」

そう翔鶴は言った。

「駆逐艦が五体、重巡洋艦が七体、空母ヲ級エリートが三体、戦艦ル級エリートが十体!」

そう吹雪は言った。

吹雪と電は奮えていた。

敵のありえない数に恐れていたのだ。

「こんなの私達で倒すなんて無理っぽい!」

そう夕立は言った。

「私達がやらないといけないわ!皆さん攻撃を開始します!」

そう翔鶴は弓を片手に持ちながら言った。


ーーーー


黒井は片手にカイザフォンを持ちながら沈んだ艦娘の墓標に立ちながら手を合わせた。

これからも彼女達を守ってくれと。

「提督!」

黒井に話し掛けてきたのは瑞鳳だった。

「どうした?」
そう黒井は瑞鳳に聞いた。

「深海棲艦が二十五体も出現しました、今翔鶴さん達が殲滅に向かいました。」
そう瑞鳳は黒井に説明した。

「わかった、俺が助けに行こう」

そう言って黒井は走り出した。


ーーーー


黒井は格納庫に到着して腰に付いているタイフーンに風のエネルギーを集めて仮面ライダー3号に変身した。

「行くか!」

そう言って3号は腕にトライブレスレットを付けて仮面ライダー3号サイクロンに変身した。



ーーーー


吹雪と電は十センチ連装砲で駆逐艦を四体轟沈した。

しかし上から艦載機が二人に弾丸を放った。

「電ちゃん大丈夫?」

そう吹雪は自分の心配より電の心配をした。

「大丈夫なのです」

そう電は言った。

今のところ翔鶴と瑞鶴は中破、最上は大破、吹雪と電と夕立は小破。

「このままだと負ける」

そう瑞鶴は言った。

そして翔鶴の真上から爆撃機が翔鶴に爆撃を仕掛けた。

その時。

ドカーン

何かが爆撃機に直撃した。

それは仮面ライダー3号タイプサイクロンだった。

「大丈夫か?」

そう3号は全員に聞いた。

「あ、はい」

そう翔鶴達は言った。

「ここは俺に任せろ!」

そう言って3号は深海棲艦にミサイルを一斉発射した。

ミサイルは駆逐艦と重巡洋艦に直撃した。

そして3号は戦艦ル級の大砲を拳で破壊した。

そして空母ヲ級は爆撃機を出撃させた。

3号は拳に力を溜めた。

そして重い一撃を戦艦ル級に打ち込んだ。

ル級は跡形もなく消し飛んだ。

「すごい」

そう瑞鶴は言った。

そして両手に力を込めて一瞬で空母ヲ級の半分を消し飛ばした。

3号の必殺技の一つ3号激昂乱れ打ちが決まった。

そして残された空母の数は三体と戦艦ル級が二体。

強さが全ての3号の前では深海棲艦はショッカー戦闘員クラスとしか考えていなかった。

「黒井提督!直上!」

そう翔鶴は言った。

頭上から弾丸の雨が3号を襲った。

3号は攻撃を全て喰らった。

そして体がボロボロになりながら頭上の小物をどうするか考えた。

3号は片手に持っていたカイザフォンを見た。

そしてカイザフォンを変形させてフォンブラスターに形状を変えた。

「墜ちろ!」
そう言ってトリガーを引いた瞬間爆撃機は全て破壊された。

「さてと潰すか」

そう言って3号は走り出した。

そして戦艦ル級を全て倒して空母ヲ級にライダーパンチを打ち込んだ。

最後の空母ヲ級に必殺技を使った。

「ライダーキック!」

キックを喰らった空母ヲ級は体が爆発した。

「すごい」

そう吹雪は言った。

3号は仮面を外して海を見ていた。

「黒井あんた大丈夫なの?」

そう瑞鶴は聞いてきた。

「ああ、俺は改造人間だからな」

そう言って黒井は鎮守府に向かった。



ーーーー


黒井はその日コーヒーを飲みながら月を見ていた。

「あっ!」
瑞鶴は提督を見るなり少し赤面していた。

「よう、どうしたんだ?」

そう黒井は片手にまんじゅうを食べながら聞いた。

「ただの暇潰しよ」

そう言って瑞鶴は黒井の隣に座った。

「ねぇ、あんたが犯した罪って一人の男を殺した事なの?」
そう瑞鶴は黒井に聞いた。

「ああ、償えない罪だ」

そう言って黒井は月を見ていた。

そして瑞鶴は黒井の頭を掴んで自分の胸に当てた。

「何の真似だ?」
そう黒井は瑞鶴に聞いた。

「私の胸の鼓動が聞こえる?」

そう瑞鶴は寂しそうな声で言った。

「ああ、聞こえるぞ」

そう黒井は言った。

「罪は償わなくていいと私は思うんだ!そいつがあんたに殺されても今は誰かのために戦ってるから償ってると思うよ」

そう瑞鶴は少し笑顔で言った。

「そうか、俺はまた一人で考えていたかもしれないな」

そう言って黒井は瑞鶴と一緒に間宮に向かった。

黒井は自分の罪を償いながら艦娘達を守ると誓うのだった。


続く 
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