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魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
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第2章:埋もれし過去の産物
  第30話「とりあえず」

 
前書き
気が付けば30話...早いものですね。
 

 






   ―――...ねぇ、■■■。

   ―――なんだ?■■■■。

   ―――私...ホントに■■■の傍にいていいの....?

   ―――何言ってるんだ。当然、いてもいいに決まってるじゃないか。

   ―――....でも、私、■■■になってしまったし...。

   ―――...もしかして、他の奴らを気にしてるのか?

   ―――.....うん。皆、私を怖がってる...。

   ―――まったく、あいつらは...。
   ―――元はと言えば、■■■■が■■■になったのは僕らの落ち度だと言うのに...。
   ―――後でしっかり言っておくよ。

   ―――そ、そんな...!そこまでしなくていいよ...!

   ―――僕と■■■■は幼馴染だろう?その程度、遠慮しなくていいよ。

   ―――...でも、私時々暴走しちゃうのに...。

   ―――気にすんな。いつでも僕が止めてやる。
   ―――それに、オリヴィエやクラウスだって協力してくれるさ。

   ―――......うん.....。









       =優輝side=



  全員が情報を整理できたのか、大体落ち着いてきたようだ。

「...一応、自己紹介しておくか。僕は志導優輝。」

「私は妹の緋雪だよ。...まぁ、皆分かってるみたいだけど...。」

「私は聖奈司...って、私が一番、皆から見れば過去の人間だから知ってるよね。」

  実質、自己紹介が必要ない僕らから紹介する。

「私は草野姫椿よ。優輝の式姫...まぁ、使い魔みたいなものよ。」

「あたしは薔薇姫椿!かやちゃん...椿ちゃんのユニゾンデバイスだよ!」

「ユニゾンデバイス...!?珍しい....。」

  次に、司さんは知らない椿と葵が自己紹介する。
  司さんはやっぱりユニゾンデバイスが珍しいのか、葵を珍しそうに見ていた。

「最後は私達ですね。私はハイディ・アインハルト(E)ストラトス(S)・イングヴァルトと言います。」

「(ん?どっかで聞いた事あるような...?)」

  主にイングヴァルトの部分で、懐かしい響きに聞こえた。
  ...気のせいだな。

「えっと、私は志導ヴィヴィオです!」

「「「「「.......え?」」」」」

  ....イングヴァルトさん以外全員がその言葉に固まった。
  なにせ、名字が僕らと同じだったからだ。

「(そういえばさっき僕の事をパパって....待て待て待て!僕は13年経っても満24歳!見た所彼女は今の僕らと同い年くらいだ!なら....え?中学生で子持ち?んなバカな。)」

  ...あ、ヤバ。混乱してきた。

「ヴィ、ヴィヴィオさん、もう少し付け加えないと皆さん、混乱するのでは...?」

「えっ?えっと、えっと...何を?」

「あー、えっと...僕らと同じ名字?」

  二人のポワポワした会話で何とか混乱せずに済んだ...。

「あ、うん!私、パパの家族だもん!」

「....養子って事か?」

  というかそうであってくれ。中学生で子持ちとかシャレにならん。

「そうだよ!...えへへ、小さい頃のパパと話せるなんて新鮮!」

「よ、養子か....よかった...のかな?」

  司さんが人知れずホッとしている。
  ...まぁ、司さんの事を“ママ”と呼んでいる=僕と司さんの子って勘違いするよな。

「....あの、未来の事って話したらダメなのでは...?」

「あっ.....。」

  イングヴァルトさんが気付いたのか、そう言ってヴィヴィオもハッとする。
  ちなみにヴィヴィオだけ呼び捨てなのは家族と言う事らしいので、呼び捨てでないとむしろ失礼だと思ったからだね。
  単純に自分の名字をさん付けで呼ぶのに違和感があったのもあるけど。

「多分、大丈夫だろう。」

「えっ?」

「事件が解決した後、何かしらの記憶操作があるんじゃないか?」

「そ、そうなの!?」

  確実と言えるような根拠が一つもないが、多分そうだと推察する。

「未来...僕らがいた時間にて、僕はつk..聖奈さんと親しくなっている。...で、聖奈さんが今起きている事件を覚えているのなら何かしらの素振りがあるはずなんだ。」

「...私もそう思うかな。未来の事知ってたら、隠せる気がしないし。」

  司さんも同感なのか、そう言う。

「さすがに既視感は感じるみたいだけどね...。」

「あ、そうなんだ。....ところで志導君、さっきから私の事名前で呼びかけてるけど、未来での呼び方と同じでいいよ?」

  司さんの言葉に少しありがたいと思う。
  慣れた呼び方を変えるって少し難しいからね。

「....いざとなれば僕が記憶を封印する魔法を作ればいいし。」

「えっ!?作れるの!?」

「さすがパパ!...と言いたいけど、記憶を封印ってなんかヤダ~。」

  ...確かに効果だけ聞くと怖いと言うか気味が悪い。
  ちなみに作れるかどうかかと言えば...作れる。
  解析魔法の応用で記憶を解析して部分的に封印とかできそうだし。

「と、とりあえず、アースラで話を―――」

「っ.....!」

  司さんがそう言おうとした瞬間、僕はリヒトを剣に変え、司さんに向かう。
  見れば、葵もヴィヴィオ達の方へ走り、椿は緋雪の方へ御札を投げる。

「ギッ.....!?」

「....え?」

  そして、リヒトの穂先が、葵のレイピアが、御札の炎が、それぞれ司さん、ヴィヴィオ、緋雪の背後に迫っていた妖怪っぽい奴を消し去る。

「全員背中合わせに固まれ!!」

「かやちゃん!」

「ええ、分かってるわ!」

  魔導師組にそう呼びかけ、戦闘経験が一番多い椿たちは僕達を護るように立つ。

「椿、一応聞くけど今のは...。」

「妖よ...。尤も、本物よりは全然弱いけどね。」

  気配は結構漏れてたからよかったけどこれは....。

「数が多い...。まさかよじ登ってくるとは...。」

「空を飛ぶ妖もいるわよ。厄介ね。」

  大量の小さい魔力反応が今いるビルの屋上を囲っている。
  ....どうしてこうなっているんだ?

「...あれは....!」

「どうしたのかやちゃん?...って、あれは!」

「二人共、何かあったのか?」

  片手間に襲い掛かってきた妖を倒しながら、下の様子を見た椿と葵が声をあげる。

「百鬼夜行・大首....!」

「....なんだそいつは?」

  百鬼夜行はともかく、大首は知らないな...。

「群れをなしている妖よ。....一掃しなければ増えるばかりね。」

「倒しても倒してもなかなか数が減らない、厄介な奴だよ。」

「そうか...。」

  二人が厄介と言うならば...。

「この妖の群れも、そいつが原因か?」

「...多分ね。」

「...なら、全員でそいつを叩きに行く。ここで防衛していても何の意味もない。」

  幸い、妖自体の強さはそこまでないらしい。
  さっきから魔力を適当に込めて両断するだけで倒せる。

「イングヴァルトさんとヴィヴィオは戦えるか?」

「もちろん!パパに鍛えてもらったもん!」

「行けます。...それと、私の事はアインハルトで構いません。」

  そう言って二人はそれぞれぬいぐるみを掲げ、

「セイクリッド・ハート!」

「アスティオン!」

「「セーットアーップ!」」

  二人してバリアジャケットを纏.....あれ?

「大人になってる...?」

「あ、はい。子供の体だと、体格差によるリーチで不利になりますから。」

「なるほど...。」

  僕の場合は特に不自由がないけどな...。

「近接主体はこのまま敵陣へ、遠距離が扱えるのはここから支援してくれ。あ、それと緋雪は一掃するために魔力を溜めておいてくれ。」

「分かったよ!」

  見た所、椿以外で遠距離向きなのは司さんだけ...か。
  ヴィヴィオとアインハルトは格闘系っぽいし。

「じゃ、先攻するわ。司、あなたも砲撃魔法をよろしく。」

「分かったよ。」

  司さんが槍を、椿が弓をビルの下にいる妖に向けて構える。

「“弓技・火の矢雨”!」

「“ホーリースマッシャー”!」

  白色の砲撃と、燃え盛る矢の雨が妖の群れを襲う。

「行くぞ!」

  そして、砲撃魔法が開けた群れの穴に僕達を降り立つ。

「椿と葵曰く、そこまで強くはない!油断せず、焦らず倒せば大丈夫だ!」

「でも数は多いから気を付けてね!」

  僕と葵の言葉に従い、ヴィヴィオとアインハルトが格闘技で妖達を倒していく。
  ....軽く無双してないか?僕らもだけど。

「...って、本当に数が減る気がしないな!」

〈実際に魔力反応は減ってませんね。〉

  無限湧きかよ!ゲームみたいだな!
  そんな事を叫びつつ、リヒトで目の前に現れる妖を斬る、斬る、斬る!
  偶に攻撃が来る素振りを見つけると、その妖の後ろに回り込み、薙ぎ払いの一閃。

     ―――ドスッ!

「お、さすが椿。」

  後ろから迫っていた妖に対処しようとして、それをやめて別の奴を斬りに行く。
  すると、その瞬間に妖は上から飛んできた矢に貫かれて消滅した。

『お兄ちゃん!魔力溜め終わったよ!充満してる魔力も十分!いつでも行けるよ!』

「『了解!』全員!ビルの上に撤退!緋雪が一掃するぞ!」

  皆が戦闘を中断し、ビルの屋上へと撤退する。

「大気を漂いし魔の力よ、今こそ爆ぜよ!」

〈“Zerstörung(ツェアシュテールング)”〉

  撤退する際、緋雪の詠唱を聞き、それが終わった瞬間。



     ―――ドォオオオオオン!!!



「えげつねぇ....!」

  大爆発が起きた。
  ...いや、詠唱した方が威力が上がるってのは知ってたけど...。

「...跡形もないね。」

「これが“破壊の瞳”の本領...!」

  爆発に巻き込まれたビルが崩れるので、急いで葵は椿とユニゾンして皆が空中に浮く。

「ごめーん。結局溜めた魔力は少ししか使わなかったよー。」

「あれで加減してたのか!?」

  充満した魔力だけで妖の群れを全滅...か。

「....終わったね。」

「...あまり手応えを感じませんでしたね。」

  司さんのがそう言い、アインハルトは手応えのなさを呟いていた。

「とりあえず、皆アースラに来てくれる?」

「アースラ?」

  司さんがそう提案する。
  ヴィヴィオとアインハルトはアースラを知らないみたいだ。

「リンディさんが提督をしている艦だ。」

「へー!」

  13年もすると色々と変わっているんだろうな。だからアースラも知らない..と。

「...そういえば、過去と言う事は小さい頃の皆様に会えるんですね...。」

「まぁ、そうなるね。僕らからすれば数か月前って程度だけど。」

  二人からしてみれば13年前の世界だ。

「なのはママや奏ママもいるんだねー。」

「.....えっ?」

  ヴィヴィオの呟きに、再度アインハルト以外が固まる。

「...えっと、ヴィヴィオ?」

「どうしたの?パパ。」

「その...“ママ”って一体何人いるんだ?」

  恐る恐る聞く。既に三人と聞いている。....この時点で多すぎないか?

「え?うーん...いないよ?」

「あれ?」

  いや、でも司さんとかを“ママ”って...。

「あー、えっと、私ね、つい何かと親しくしてくれる人を“ママ”付けで呼んでしまうの。これでもだいぶマシになったんだけど、呼び慣れた人のは直せなくて...。」

「...私も最初は、色んな人を“ママ”と呼ぶのには驚きました...。」

  ....つまり、愛称みたいなものか?

「あっ!でも、“パパ”はパパだよ!」

「えっ...?」

  だが、どうやら僕だけは違うみたいだ。

「だって、“家族”だもん!」

「....そっか。」

  ヴィヴィオのいる時間の僕は満24歳。父親と呼ばれるのにはまだ若いけど、純粋な彼女の事からすると、断れなかったのだろう。
  ...現に今の僕も断れないしね!

「....ん?」

〈クロノから通信です。〉

  転移魔法をしようとしていた司さんが、クロノからの連絡を受ける。
  僕らにも見えるように、映像を映し出す配慮をしてくれた。

「クロノ君?どうしたの?」

『すまない、至急はやての所へ向かってくれ!なのはとフェイトにも頼みたかったが、あの二人はそれぞれ偽物と戦っている最中だ!』

「っ!分かった!とりあえず、クロノ君、次元漂流者...になるのかな?そんな人達を保護したから、今から送るね!」

『分かった。こちらで手配しておく。』

  クロノは僕らを一目確認してから通信を切る。

「そう言う事だから、ゴメン!私は同行できない!」

「...分かった。僕らだけで対応するよ。未来では会った事あるからね。」

「そうなの?じゃあ、送るよ!」

  そう言って司さんは転移魔法を使い、僕らをアースラへと転移させた。

「...頑張って、司ママ。」

「....!うん、頑張るよ。」

  転移する直前、ヴィヴィオの言葉に少し驚いて司さんはそう言って微笑んだ。







       ~アースラ~



「...慌ただしいな。」

「さっきの通信と関係があるんじゃない?」

  アースラに転移したのだが、局員が廊下を行ったり来たりしているのが見える。
  椿の言う通り、僕らも巻き込まれている事件に関係があるのだろう。

「次元漂流者の方達ですか!?すいません、管制室へこのまま案内します!」

  現れたのは金髪のツインテールで、活発な雰囲気を持つ少女。
  ...アリシア・テスタロッサさんか。

「もしかして、アリシアママ!?」

「えっ、えっ!?」

「ヴィヴィオ、混乱するから大人しくしてくれ...。」

  過去の皆を見て興奮するのは分かるが、時と場所を考えてほしい...。
  ...未来の僕、そこら辺ちゃんと教えてやれよ...。

「あー、とにかく、案内してくれないか?」

「あ、うん。りょーかい!」

  そうして、僕らはテスタロッサさんについて行く。
  ...ヴィヴィオとアインハルト以外、知ってるんだけどね。





「連れて来たよー。」

「...来たか。」

  管制室に着くと、まさに仕事中だった。

「アリシア、状況に変化があったら伝えてくれ。僕が彼らから事情を聞く。」

「任せて!」

  クロノはそう言ってから僕らに向き直る。

「緊急時故にこの場で簡潔に話す事になって済まない。僕はクロノ・ハラオウン。時空管理局執務官だ。」

「...志導優輝です。こっちは妹の緋雪。」

「私は草野姫椿よ。...耳と尻尾については私が使い魔みたなものだからよ。」

「あたしは薔薇姫葵。ユニゾンデバイスだよ!」

「わ、私は志導ヴィヴィオです。」

「ハイディ・E・S・イングヴァルトです。アインハルトと呼んでください。」

  簡潔に自己紹介を済ませる。

「先に行っておきますと、僕らは未来から来ました...というか、飛ばされてきました。」

「未来から...だと?」

  根掘り葉掘り聞かれても困るだけなので、先に伝えておく。

「僕らはこの時間から四か月程、ヴィヴィオとアインハルトは13年後からです。」

「ちなみにクロノ君はお兄ちゃんと友達になってたよ。」

「...にわかには信じ難いが、嘘をついている様子も、メリットもないな。」

  さすがクロノ。話が早くて助かる。
  ...これならタメ口でいいだろう。

「...っと、これは本題じゃないな。僕らは未来から飛ばされてきた。それも、“何かに巻き込まれて”だ。これ自体は今起きている事件と関係があると思っている。」

「....十中八九そうだろうな。これほどまでの異常事態だ。ロストロギアなら、あってもおかしくはない。...滅多にない件だがな。」

  ロストロギア...なんかとんでもない事は大抵使われる便利な言葉みたいになってるな。

「...そう言えば、司さんが明らかにおかしい次元渡航者がいたって...。」

「.....その通りだ。僕らは彼女らを追ってきたんだが....まさか、偽物が大量に発生する状態になっているとは思わなかった。」

「...今起きている事件の内容。知っている限り僕らにも教えてくれないか?」

  元々僕らは情報が欲しかったからな。こうなったからにはクロノに聞いた方がいい。

「あまり分かってはいないが....。」





「―――..と言う事だ。」

「なるほど...。」

  まとめると、
  ・アミティエ・フローリアンと名乗る無断次元渡航者を追いかけて地球に来た。
  ・その時、地球では魔導師の偽物が大量に発生する事件が起きていた。
  ・次元渡航者を探すついでに偽物の対応も現地の魔導師で行っている。
  ...って所だな。

「そして、今は状況が動き、はやて...彼女の所で一悶着あった所だ。」

  大きなモニターの一端に映る茶髪の少女を示すクロノ。
  そのすぐ傍には、桃色の髪の少女がいた。

「アミティエ・フローリアンの妹らしい。名前はキリエ・フローリアン。彼女は“砕け得ぬ闇”なるものを探しているそうだ。」

「“砕け得ぬ闇”...!?」

  それは、僕が覚えている“原作”の内容で、リヒトが記録していた文献にもあった...。

「そして、偽物とはまた違う、偽物....。」

  今度は高町さんとテスタロッサ妹さんとそれぞれのそっくりさんが映し出される。

「明らかに他の偽物とは逸脱した性格、魔法の運用から、他の偽物とは区別して捉えている。どちらも手強いが、容姿の元となった二人がそれぞれと今戦っている。」

「.....。」

  戦っている二人が映し出され、また八神さんの方が映される。

「クロノ大変!はやてが...はやてが負けちゃった!後、はやてのそっくりさんも!」

「なに!?くっ...司と神夜と奏はまだか!?」

「今、来た所!」

  状況が動いたらしく、あのクロノが慌てている。

「(...ところで王牙は?)」

  名前も出ないほど期待されていないのだろうか?
  もしくは、既に撃墜されて医務室にいるとか...。

「撃墜した奴は!?」

「っ...言い損ねていた事だが、おそらく“砕け得ぬ闇”だ...!」

「なっ.....!?」

  その言葉に、思い出されるのは文献にあった言葉。

   ―――砕け得ぬ闇が現れし時、世界は破滅を迎えるであろう。

「っ....ごめんクロノ!嫌な予感しかしない!」

「ちょ、お兄ちゃん!?」

「何をするつもりだ!?」

  驚く周りを無視し、僕は転移魔法を使う。

「“アレ”はこのままだと倒せない!何とか引き離して現場の皆を撤退させる!」

「君は...!くっ、無茶だけはするなよ!」

  後で叱られるのは覚悟の上。
  ....僕なんかでは攻撃の一つも通らないかもしれない。けど、囮になるぐらいなら...!















       =第三者side=





「......ここは?」

  どこかの空。そこに、一人の少女が佇んでいた。

「....街?人間がいるの?」

  下の景色を見下ろし、そう呟く。

「....アハッ♪誰か見ーつけた♪」

  そして、同じく空を漂っていた人物、高町なのは....その闇の欠片を見つける。

「ちょうど喉が渇いてたし、いただきまーす!」

  そう言って少女は一気に闇の欠片に接近し、

「....ッハァ....♪」

「っ、ぇ...ぁ....?」

  闇の欠片の心臓部を貫いた。
  その手には血の滴る、まだ脈動もする心臓が握られている。

「うーん...ただの魔力の塊かぁ...。ま、いっか♪」

  少女はそのまま腕を引き抜き、落下しながら消える闇の欠片を無視し...。



   ―――その心臓を喰らった。



「んー、おいし...!」

  悪魔のような、そんな行為をさも当然かの如く少女は行う。
  ....七色の宝石のようなものがぶら下がった羽を生やして。

「うーん...それにしても、ここどこだろう?記憶も曖昧だし....。」

  血で汚れた手と口元をそのままに、少女は呟く。

「ま、いっか♪....人間を殺せるなら、なんだっていい.....。」

  明るい声が一変し、暗く、震え上がらせるような声でそう言う少女。

「さぁ...楽しい虐殺の時間だよ♪」

  両腕を広げ、高らかに少女はそう言う。

「あは、あはははははははははは!!」

  笑い、嗤い、哂う。何もかもがおかしいように、狂ったように。

「まずは....アレからっ....!」

  そして、視界の奥の方に見つけた少年に向けて、彼女は飛んだ。











   ―――...狂気の影は、すぐそこまで迫ってきている....。











 
 

 
後書き
百鬼夜行・大首はでっかい生首みたいなのが無限湧きしてると考えてください。(きもいけど)
なお、作者自身もゲームの方では苦戦させられました。(三体同時に倒せって...。)

GODではクロノはこの時出張してますが、この小説では既にアースラごと地球に来ています。
優輝たちがアースラに行くまでは、アースラの中で指示を出したりと頑張ってました。
あ、ちなみに王牙は優輝の予想通り期待されてないうえに、出しゃばって撃墜されてます。 
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