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第三章
「ビールは一缶だけよ」
「飲み過ぎるからか」
「そう、自棄酒は身体に悪いから」
「それもそうだな、じゃあな」
「そう、とりあえず落ち着いてね」
「落ち着いたさ、いつものことだしな」
こう言いつつ最下位が決定したことを嘆いてもだ。
ミレディーにだ、こう言った。
「まあそれでもな」
「これからもなのね」
「応援はするさ」
「六年連続最下位でも」
「それで落ち込んでもな」
それでもと言うのだった。
「俺には他にはないからな」
「サッカーのチームは」
「まだするさ」
その応援をというのだ。
「これからもな」
「そうするのね」
「ああ、これからもな」
こう言うのだった、そして。
実際に彼は応援を続けた、最下位になってもだった。
シーズンオフも新聞やネットでチェックするのは最初は絶対にチームのことだった。それでいつもこうしたことを言った。
「また怪我か」
「主力の選手が?」
「ああ、まただよ」
こう言って項垂れるのだった。
「また怪我人が出てな」
「来年不安になってきたのね」
「これからもっと伸びるって思ってたのにな」
その選手がというのだ。
「よりによってな」
「本当に怪我人の多いチームね」
「練習で気を抜き過ぎなんだよ」
苦い顔での言葉だった。
「だからな」
「怪我をするのね」
「そうなんだよ、やる気がないんだよ」
練習でもというのだ。
「どうにもな」
「やる気もないのね」
「試合観てもわかるさ」
チームに士気がないことがというのだ。
「個人の成績は見ていてもな」
「それが年棒にもなるから」
「ああ、そうした練習はしているさ」
「自分自身の為の」
「それでもだよ」
「サッカーは十一人でするものよね」
「そうだよ、そうした練習をしていないんだよ」
彼が応援しているそのチームはというのだ。
「だから弱いんだよ」
「そういうことね」
「チームプレイが出来ないからな」
「それじゃあとてもね」
「勝てない筈さ、そしてその練習もな」
自分自身の年棒の為だけにするそれもだ。
「気が抜けてるから」
「怪我が多いのね」
「監督もコーチ陣もな」
難しい顔でだ、また言ったシャルルだった。
「しょっちゅう交代してるのもな」
「それもよくないのね」
「育成や戦術がいつも変わるからな」
「それが定まらないから」
「チームも迷走するからな」
「よくないのね」
「フロントが全然わかってないんだよ」
シャルルは今度はフロント批判をはじめた。
「サッカーがな」
「サッカーチームを運営してるのに?」
「サッカーチームを運営している奴が絶対にサッカーを知ってるかっていうとな」
それはともだ、シャルルはミレディーに話した。
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