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きりがない

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第五章

「そうよ」
「食べるのは好きよね」
「嫌いな人いないでしょ」
「お風呂も毎日入ってるわね」
「趣味の一つよ」
「それで寝ることも」
「気持ちいいわね」
 愛実の全ての質問にだ、麗奈は即座に答えた。その返答を全て聞いたうえでだ、愛実は麗奈に言った。
「繰り返し、きりがないのが世の中」
「そのことはわかっていてなのね」
「特に思わないことよ」
「また同じことするとか」
「思っても仕方ないし」
「むしろ食べたりお風呂入ったりとか」
「楽しめばいいじゃない」
 その食いり返しをというのだ。
「やれやれって思うよりね」
「そうね、植物ならそこにずっといるだけだけれど」
「人間ならね」
「そう、普通によ」
 それこそというのだ。
「楽しくやればいいのよ」
「その繰り返しを」
「そういうことよ。それでね」
「それで?」
「麗奈のお家今日の晩御飯何?」
「秋刀魚よ」
 これまた即座にだ、麗奈は愛実に答えた。
「お頭付きを焼いてね、そこにすだちをかけておろし大根にお醤油をかけて」
「好き?それ」
「想像しただけで涎が出る位にね」
 まさにそれだけというのだ。
「好きよ」
「じゃあよ」
「その秋刀魚を食べることをなのね」
「楽しみならね」
「そのままなのね」
「いればいいから、じゃあ私は帰ったら」
 愛実は麗奈に微笑んで言った。
「まずはいつも通りゲームするわ」
「今は何してるの?」
「サッカーゲームよ、それやるから」
「いつも通りなのね」
「ええ、楽しみにしてね」
 今日もまた、というのだ。こうした話をしてだった。
 二人が別れるポイントに来た、それぞれの家に帰る為に。そこに来てだった、二人はお互いに小さく手を振り合って笑顔で挨拶をした。
「またね」
「明日ね」
 明日また会おうと言ってだ、朝のその繰り返しを迎えることを楽しみにして別れるのだった。


きりがない   完


                        2016・1・20 
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