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隣は魔女

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第七章

「その飴は」
「甘いぞ」
「そうなんだ」
「砂糖に蜂蜜を入れておるからのう」
「だから甘いんだ」
「大きな鍋でぐつぐつと煮て作ったのじゃ」
 魔女のあの鍋で、というのだ。
「そうして作ったのじゃ」
「あの鍋で」
「そうじゃ、どうじゃ?」
 飴を一つ取り出してだ、長い爪の指で摘んで見せてみての問いだ。
「一つな」
「じゃあね」
 子供達はそれぞれコインを出してだ、そしてだった。
 それぞれ一粒ずつ口の中に入れて舐めた、その感想はというと。
「美味しい」
「甘いし」
「喉もすっきりしていて」
「いいわよね」
「そうだよね」
「これは効くぞ」
 喉にとだ、カテローゼがまた言った。
「風邪の時もな」
「そうなんですね」
「いい飴なんですね」
「甘いだけじゃなくて」
「喉にも」
「風邪になればな」
 また子供達にこう言うのだった。
「飲むのじゃ」
「はい、じゃあその時は」
「また買わせてもらいます」
「それで他の魔法の売りものも」
「お金があれば」
「買わせてもらいます」
「そうさせてもらいます」
 こうカテローゼに言うのだった、そして実際にだった。
 子供達はお金があるとよく彼女に店に入ってものを買った。占いをしてもらう女の人のお客さんも多くてだ、店はいつも賑わっていて。
 休日にはだ、カテローゼはヴォルフガングの店で彼に笑って言った。
「よいのう」
「お店が?」
「いやいや、子供達が来てな」
 それでというのだ。
「それも毎日な」
「そのことがいいんだ」
「わしは子供が好きじゃ、魔法と同じだけな」
「そうだったんだ」
「そうじゃよ、これでも子供の時は保母さんになりたいとも思っておったのじゃ」
「魔女じゃなくて」
「魔女にもなりたかったがな」 
 それと共にというのだ。
「保母さんにもなりたかったんじゃ」
「そうだったんだ」
「それで保母さんの資格も持っておるが」
「魔女になったんだ」
「そうじゃ、それで子供達が店に来てくれることは」
 このことがとだ、カテローゼは店のカウンターでヴォルフガングの両親が淹れてくれたコーヒーをチョコレートケーキと共に楽しみつつヴォルフガングに話したのだ。
「嬉しいことじゃ」
「そうなんだ」
「そうじゃ、冥利に尽きるわ」
「魔女として?」
「うむ、そうじゃよ」
 コーヒーを飲みつつだ、カテローゼはヴォルフガングに答えた。
「まさにのう」
「魔女って子供好きなんだ」
「というか子供に魔女だからといって人気になるのがな」
「いいんだ」
「お伽話の魔女みたいにな」
「悪い魔女じゃなくて」
「いい魔女としてな」
 そうした意味での魔女として、というのだ。 
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