艦娘達の長い一日
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はじまり
ひしゃげた車が揺れる。
額から血を流した叢雲が、
ドアを蹴破り、のそりのそりと這い出てきた。
叢雲「ひどくやられたわね、
暁!白露!無事!?
呻き声が潰れた車から聞こえる。
叢雲「しょうがないわね」
車の天井を掴むとバリバリ音を立てて、
天井を引き剥がす。
血を流し、呻き声をあげる暁と白露がそこに居た。
見通しの良い海沿いの道路
叢雲「しっかりしなさい、敵は待ってくれないわよ!」
腕を引き、無理矢理車から引きづり出す。
激しい叫び声が響き渡る、
がモタモタしてられない。
2人を引っ張り路肩の茂みに入る
甲高い落下音、
その後、後方から爆音と衝撃が走る。
振り向くと先程の車が黒煙と炎をあげていた。
叢雲「間一髪ね」
茂みから外の様子を見る。
暁「レディに対する礼儀がなってないわ」
白露「いたた、、」
傷を庇う2人
白露「艤装も武装も壊れちゃてるよぉ!これからどーするの!?」
破損した足の艤装を外しながら白露が言う。
暁「私の武装はまだ使えるわ。叢雲は?」
叢雲「私は靴だけ無事、後はおじゃんよ」
車の方を指差し、鼻を鳴らす。
叢雲「敵はまだ私達が生き残った事に気が付いてないわ」
茂みの中から、敵を見る。
暁「それでも、見つかるのは時間の問題よ」
白露「えぇー!!」
白露の声に敵が振り向く。
シィー!!
人差し指を口に当てた
2人から注意を受ける。駆逐イ級「グギギ、、、?」
戦艦ル級「イマノコエ、、シラベロ、、」
駆逐イ級が海岸に上陸し、ゆっくりと茂みに向かい歩く。
暁「っ!?
こっちに来るわ!」
一同に緊張が走る。叢雲(どうすればいいの、、)
冷や汗が額から顎にかけて流れる。
怪我に汗が染みズキズキと痛みが蘇る。
こちらは車の事故で、皆負傷している。
相手は戦艦を旗艦とした、艦隊
戦力差は歴然
戦えばすぐに全滅するのは目に見えてる。
暁が何かゴソゴソと服を探っている。
白露(暁、、!見つかっちゃうよ、!)
小声呟き暁の手を引く。
叢雲はお前が言うなと思ったが、
今はそれどころではない。
何とかこの場をやり過ごさなければ、、
頭をフル回転させ考える。
「にゃ〜〜お」
叢雲「!?」暁はのびのびとした声で鳴き、
小石を少し離れた茂みに投げた。
駆逐イ級「、、、ネコ」
駆逐イ級は肩の力を抜き、海の方へ帰って行った。
それを見送った後、
暁は胸に溜まった息を吐き、
地面にへたり込んだ。
暁「ふぅ、うまく行ったわ」
叢雲「ふん、やるじゃない」
安堵の笑みを浮かべ、その長くしなやかな銀髪を払う。
白露「すごーい!これでもう安心!」
ぴょーんと跳ねる。
叢雲「ちょ、ちょっとあんたは静かにしなさいよ!」
慌てて敵の様子を確認するも、
気付かれてない様だ。暁「いたたっ、今更だけど怪我が疼いてきたわ」
痛そうに足を抑える。
叢雲は暁の足を軽く触る。
叢雲「折れてるわ」
近くにあった木の棒を折り、
当てがい、破った服を巻きつける。
暁「、、ありがとう」
叢雲は優しく微笑み「礼には及ばないわ」と言った。
白露「これからどーするの?」
叢雲「進行方向から察するに、敵の狙いは、、、町の方?
町を襲撃するつもりなの!?、とりあえず基地に連絡を」
叢雲は右耳に人差し指を当て、ブツブツ話した。
暁「暁達も出来ることをしましょう。
街に戦闘が始まる事を通達するの」
応急処置した足をかばいながら立つ。
白露「車壊れちゃったし、街に行けないよ?」
丁度その時、複数のバイカーが遠くから走ってくるのが見えた。
暁「あの人達に頼みましょう」
暁は大きく手を振りバイカーを止めると、事情を話した。
バイカー「そういう事なら、俺のバイクを使いな」
ライダーの1人が自分のバイクを貸してくれた
暁「いいの?」
バイカー「嬢ちゃん達にはいつも守って貰ってるからな」
髭面のバイカーはガハハハと豪快に笑った。
暁「ありがと!」
暁もニッコリ笑う。
バイカー「そっちの嬢ちゃんにもバイクを」
通信を終えた叢雲が向き直る。
叢雲「私は大丈夫よ、コレがあるわ」
足を出し、よく使い込まれたブーツを見せる。
白露「暁は怪我してるから、私が運転するね!」
元気良くバイクにまたがると、
アクセルを吹かす。違法改造されたネイキッドバイクは、
悪魔的な唸り声を上げた。
叢雲「分かった、じゃあ暁をお願いね」
ブーツの調子を確認する。
叢雲「時間がないわ、先に出るわよ
私は川を伝って行くわ
街で合流しましょう」
そう言うと、海に駆け、水飛沫を上げながら行った。
白露「1番は私のものだからね!
対抗意識を燃やす白露
ついハンドルに力が入る。
白露「早く乗って、暁!」
暁「う、うん」
躊躇しつつもバイクの後ろに乗る。
白露「しゅっぱーつ!」
勢いでバウンドし、
タイヤを弾き鳴らしながら猛スピードで走り出す!
バイカー「気をつけてな〜」
手を振るバイカーに別れを告げ、
白露と暁は街を目指す。
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