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貰った特典、死亡フラグ

作者:一方逃避
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自分の流儀を貫いて
  8話:原作開始。そして謎出現

 
前書き
サブタイに“フラグ”と入れられなくなってきた。 

 
こいつか……」

 飛空挺フッケバイン、居住区自室(一応)。

 つい先程、ヴェイロンが“ディバイダー”と“リアクター”を研究所から奪ったとされる少年に会いに行って、帰ってきた。たぶん、原作主人公のトーマだろうな。マンガのセリフと同じこと言ってたし。そして、サイファーが確かめたいことがあるそうで、地上に降りていった。

 この日原作が始まるまでの3か月間、人をたくさん殺した。民間人も犯罪者も管理局員も。もう慣れてしまって、なにも抵抗はなくなってしまった。逆に殺しに行くことが、面倒だと思ってしまう始末。もはや、ただの作業。もう、親に顔向けできないな。

『べ、別にアンタと一緒に戦場に出たい訳じゃないんだからね!』

「うわー、ツンデレかぁ」

 俺が今やっているのは、PCゲーム“ビッグブレイカーズ!”。この世界にもPCゲームがあったのか! と感動したのを今でも覚えている。ちなみに、恋愛ゲー。テーマは戦場での友情と絆、そしてそこで生まれる愛。そういえば、ソフトとパソコン買う金が無いから、管理外世界の犯罪者のアジトを1つ潰しに行ったんだっけ。

『アンタのマグナムなら受け取ってあげないこともないわよ? 感謝しなさいよね!』

 今の場面は、誕生日プレゼントをヒロインに渡すシーン。誕生日プレゼントに銃あげないだろ、普通。しかも、マグナム。エロいな……。

 ちなみに、俺はツンデレが好きというわけではない。どちらかと言うと、苦手。一番好きなのはクーデレだ。クーデレのヒロインは一番に攻略した。泣いたなぁ……。最後死にそうになるんだもん。

 俺が泣いていると、ステラがティッシュで涙を拭いてくれた。その優しさにさらに泣いた。だって、皆俺が泣いてると引いた目で見んくるんだよ? ひどいよね。

「やる気なくなるなぁ、このヒロインは」

『キャー! なに見てるのよ、今防弾チョッキ着てるの! 覗かないでよ、変態!』

 色気もなにもないシチュエーション。キャラによってここまで雰囲気違うのか……クーデレの娘はもっと、可愛かった!

→『いや、事故なんだ!』
『覗かれてしまう、その油断が戦場では命取りだ!』

 この場合、どっちがいいんだ? どっちも地雷だろう、戦場だけに。

「じゃあ、油断が命取りの方を」

『だまれ、変態! この鉛玉でも喰らって、反省しろ!』

ズギュゥン!

『ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』

『ユーアァー、デェッド!』

 画面に表れるのは、“But End”の文字。ヒロインに銃で撃たれて、死んだ。なにこのゲーム、クーデレヒロインの時はこんなことなかったはず。選択肢間違ったか? ならば……

『事故なぁぁぁぁぁぁぁっ!』

 言い終わる前に銃で撃たれ、死亡。どっかで選択肢間違ったな。前の選択肢に戻らないと。

「セーブデータはっと、げっ、ねぇ!」

 どうやら、セーブし忘れていたらしく、今までの、このヒロインを攻略したデータがなかった。なんたる、不覚!

「最初からやんの、めんどくせぇ……」

 あの選択肢まで、かなり長かった。それなのに、なぜセーブしていなかったのか。しかし、過去はもう取り返すことはできない。

「でも、やるしかな……お、ステラ、どうした?」
 
 俺の座っている横には、いつの間にかステラがいた。全然気づかなかった。隠密とか得意なのだろうか?

(まぁ、俺が熱中し過ぎてただけだろうなぁ)

 ステラはわたわたと手を振りながら、口をパクパク動かしている。ステラはフッケバインが自動操縦中だと、思考・計算機能の大半を使用するから、言語能力と複雑な思考能力失ってしまい、日常生活には支障はないけど、しゃべれなくなってしまう。何を言いたいのか理解できるようになったのは、最近。それまでは、アルの通訳頼り。本当はステラ、饒舌で強気な性格。初めて見たときは、かなりビビった。

「えっと、『ご飯食べないの?』かな?」

うんうんと頷きながら、さらにジェスチャーを続けるステラ。

「うーん、『ダレンお兄ちゃん、食べてないよね? なくなっちゃうよ?』か……いや、俺今からゲームの続きをしようと思ってたんだけど」

 そう言うと、ステラは俺をグイグイ引っ張ってきた。必死になにか伝えようとしている。

「『ダメ、食べなさい!』って? でもなぁ」

 そう言っても、グイグイグイグイ。延々と続きそうだ。仕方ない。

 俺はパソコンを持って立ち上がり、

「わかったよ、行くよ」

 そうすると、ステラは笑顔になった。それを見て、思い出すのはマリの笑顔。俺のこの世界で初めての友達。そして、……いや、あれは違うか。

 俺は自分が今どんな顔をしていたのかはわからなかったが、きっと思い詰めていたような顔をしていたのだろう。ステラが「どうしたの?」とでも言いたげな顔をしていた。実際、しゃべることができたのなら、言っていたかもしれない

「大丈夫、早くいくか行くか。ほら、肩車~」

 ステラを肩車して、ダッシュ。前に一度、ステラにやったらお気に入りになったらしく、度々やっている。いつもより、高い所から見る景色と、流れていく風景が好きらしい。フッケバインの中だから、壁しかない。今度外でやってみるか。

 あぁ、来るべき“約束の日”には備えておかないと。

 しかし、最近マリのことをかなり思い出す。寝てもあの頃の思い出が夢として現れる。そして、最後は決まって血にまみれたマリの姿。やはり、あれのせいかな。俺がマリを殺した時の記録映像。

それは、1週間と3日前……








 いつかは乗り越えなければならないと思って見ていた、記録映像。今までで一番辛い過去。

 マリをこの手で殺したためか、俺はマリと同年代の女の子は殺せない。殺ろうとしても、あの光景がフラッシュバックして、手が止まる。民間人も管理局員も、例え犯罪者でもそれは変わらない。

 1ヶ月前は、この映像を見ると過呼吸になったりしていたが、今はましになってきた。悪くて、視界がチカチカするだけだ。

『ダレン!!』

『Start Up』

『がぁぁあぁぁぁぁ!!!』

『ダ、ダレン落ち着っ?』

 ここで、俺は目を逸らした。ここは何度見てもちゃんと見ることができない。

「あれ……」

 少しだけ見たときに、マリの口が動いた気がした。気のせいか?

「蒼、もう一度だ」

『Jud.』

 今度こそは、目を逸らさない!

『がぁぁあぁぁぁぁ!!!』

『ダ、ダレン落ち着っ?』

 マリが俺の方に倒れかり、俺も倒れる。やっぱり、マリの口が小さく動いていた。

「蒼、この部分を拡大して、音を拾え」

『Jud.映像拡大、音声を拾います』

『がぁぁあぁぁぁぁ!!!』

『ダ、ダレン落ち着っ?』

マリが倒れた。そして、

『ダ……わた……をこ……あ……う、だ…………』

 全て聞こえない。音が小さすぎる。

「蒼、もっとだ!」

『これ以上の拡大、不可能』

「くそっ!」

 マリが最後、何を言っていたのか。俺に対してかもしれないし、別の誰かかもしれない。俺に対してならは、恐らく俺に対する怒りだろう。殺戮衝動といえ、俺がこの手で殺してしまったのだ。何を言われようが受け止めなければならない。しかし、今はマリのその言葉でさえ聞くことはできない。マリはもう、この世にはいない。

「マリがさ、俺のことどう思ってたかは聞くことはできないけど、俺は守りたかったよ? 俺のこと助けてくれて、友達になってくれて、ほんわかしてたけど、ドジだったマリをさ……」

 それはもはや、叶わぬ夢。守りたいものを、この手で無くしまったのだから。








「おー、ダレン。飯か?」

「そうだけど、お前は食い過ぎだ、アル」

 思い出しながら歩いていれば、いつの間にか着いていた。犯罪者でも、家族なんだと時々思う。犯罪行為などしていなければ、ただの厳つい顔が揃った仲のいい家族に見えるかもれない。

「お前も早く食わねェと、アルに前部食われちまうぞ」

「そう思うなら止めろよ、ヴェイ」

「うるせェ、俺が言ったって意味ねェんだよ」

 できれば意味がなくても止めてほしかった。体で。

「はぁ……食うか」

 とりあえず、ゲームをやりながら食べられる物。手が汚れないのは肉かな。骨の所にアルミホイル巻いて……。

「ダレン、まだそんなのやってんのかよ」

「いいだろ、別に。面白いんだから。やべっ、汁垂れた!」

「たく、そんなの買うためにあたし付き合わせやがって」

 アルが言った通り、犯罪者のアジトを潰すのに手伝って貰った。まぁ、感謝はしている。俺はまだ、未熟だから。ついでに、初回限定版買うのを手伝ってほしかったのだが、断られた。

「はいはい、ありがとうございました」

「まったくあたしにはわかんねェなー」

「俺もわかんねェ」

 2対1で俺の負けか? いや、まだステラがいる。

「ステラならっ……」

 結果、ステラどっか行った。

「まったく……そういえばサイ姉、バイクで行ったけど帰りどうやって連れてくるんだろう」

「は?」

「坊主とリアクトプラグ、バイクじゃ2人連れてこれないじゃん。背負うわけにもいかないし」

 そういえば、そうだっけ。それにあと1人追加するからまぁ、バイクで連れてくんのは無理だな。

「そんじゃ、迎えにいきますか」

「いってらー」

「お前も行くんだっつーの、男手も必要なんだよ」

「いや、俺はこれをやんないとっ! それに“約束の日”もあるから!」

 だって、シグナムとか居るでしょ。俺勝てないよ。あ、サイファーに倒されてるんだっけ。でも、行くと帰ってこれない気がする。

「いいから来い」

 抵抗むなしく、俺はアルに引きずられていった。








 第23管理世界ルヴェラの森(多分)。俺は今、絶賛迷子中。

 なぜなら、アルが1人で走って行ってしまったのだ。森はどこも同じに見える。簡単に迷った。

「あのやろーーっ!」

 管理局の人達の近くに出た時はビビった。捕まるわけにはいかないので、全速で逃げた。事件になってんのかよ。

「アールー、サイファー!……お、いたいた」

 やっと見つけた。暗い森の中は心細いことこの上ない。

「遅い! ダレン」

「だまれ、くそアマ。お前が1人で走って行くからだ!」

 足元には拘束されて眠らされている、主人公&ヒロインズ。ゴツいな、トーマの鎧。俺のより格好いい気がする。あとは、リリィとアイシスだったか。リアクトプラグと爆破魔さん。アルでもてこずるんだっけ。

「あぁそうだ、ダレン。私と殺り合った公僕の言っていたことだが」

「公僕?」

 シグナムのことだよな、多分。

「あの娘、どうやら行方不明らしいぞ」

「って、誰?」

 娘と言われても、誰も思い浮かばない。唯一マリだけだが……。

「お前と私が初めてあった場所。第14無人世界にいた、マリ・カーター」

「え?」

 いや、そんなはずはない。マリは俺がこの手で殺してしまった。行方不明なんて、そんな……。まさか、見つかってない?

「あの公僕、どうやらそこの連中とか関わりがあったようだ。色々聞かれたがな。お前のことも、娘のことも。そういえば、お前も行方不明扱いだったな」

「でも、マリはっ!?」

「私も知らん。死体になんぞ、手を出していないし、管理局が死体を見つけていなかっただけかもしれんが、まぁいい。早く行くぞ。管理局の連中が来れば面倒なことになる」

 サイファー達が歩いていくが、俺はそこから動けなかった。マリが行方不明? なぜ?

「ダレン、早く来い」

「あ……うん」

 まったく意味がわからない。なぜ、マリが行方不明なのか。生きてあるとは考えられない。生きていてほしいが、あの状況では絶対に無理だ。

 もしかしたら、管理局のやつらに話を聞く必要があるのかもしれない。 
 

 
後書き
ダレンがやる理由としては、
・暇だから
・マリのことを忘れられないから
です。

“約束の日”については多分次話で。
次は、対特務6課かなぁ。勝てないかも、ダレン 
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