FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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ドラゴンスレイヤーズ
前書き
シェリアが第三魔法陣解放しましたね。彼女は第二魔法陣すら解放してないのに、いきなり第三魔法陣なんて解放して魔法を使えなくなっちゃうとは・・・
このままシェリアはフェードアウトしちゃうのでしょうか?それはそれで悲しいけど、二次創作的にはシェリアを自由に動かせるからありっちゃありなのでしょうか・・・?
ただ、こんなに感動的にシェリアが敵を倒したのに、その数話あとに魔力復活させるのもなんか気が引ける・・・
何事もなく魔力復活してくれないかなぁ?なんて思ってみる。
ウェンディside
「波動砲・・・斬の章!!」
カミューニさんの波動の剣がジルコニスの体を完璧に捉えます。
「その程度では効かんといっておるだろう!!」
「ぐっ!!」
しかし、やはり滅竜魔法じゃないからなのでしょうか、ほとんどダメージを受けているようには見えません。ジルコニスは払うようにカミューニさんを地面へと叩き落とします。
「大丈夫ですか!?カミューニさん!!」
「心配すんな。お前はお前のやれることをやってくれ」
脇腹から出血しているカミューニさん。治癒の魔法をしようと思いましたが、彼は片手でそれを制し、ジルコニスへと向かい合いました。
「私も手伝うわ」
「ミラさん!!」
後ろから私たちと並ぶようにミラさんがやってきました。さっきまで動けなくなっていましたが、どうやら回復したみたいでもう大丈夫みたいです。
「三人ならいけるかねぇ?」
「わからない。でも、大丈夫だと思うわよ」
カミューニさんの問いにそう返したミラさんは振り返ると腕を振るいます。そこには小型のドラゴンが迫ってきていて、間一髪のところでミラさんが倒してくれたみたいです。
「こいつらがいなければ・・・ね」
「それは言えてる」
苦笑いにも似た表情の二人。ジルコニスだけでも大変なのに、ここには小型がたくさんいてかなり厳しい戦いを強いられています。
「なんでこんなに小型が多いんでしょうか?」
「わかんねぇ。けど、何か意図があるような気はすんなぁ」
他の場所にもたくさん小型はいるのでしょうけど、それにしてもここは多いように感じます。それがなぜなのか全然わかりません。でも、カミューニさんの言う通り、何か狙いがあるのはわかります。
「よそ見するなんてずいぶんと余裕だな」
「「「!!」」」
私たちが小型に気を取られていると、ジルコニスが腕を降り下ろしてきます。私たちはギリギリではありましたが、なんとか避けることが出来ました。
「デカブツだけでも面倒なのに、ちっこいのもいるとやりづらくてしょうがねぇ」
カミューニさんはそう言うと、自身の後ろに迫ってきていた小型の頭を掴みます。
「波動砲・・・小型の章!!」
「えぇぇぇぇぇ!?」
なんとカミューニさんは掴んだ小型を波動と共にジルコニスへと打ち出します。なんて使い方してるんですか!?
「ふん!!」
ジルコニスは波動で加速した小型を凪ぎ払います。地面に叩きつけられた小型は、粉々になって散ってしまいました。
「うわぁ・・・」
味方なのにあんな風にしちゃうなんて・・・私はあまりのことに固まってしまいます。
「やっぱ小型は大したことなさそうじゃナァイ?」
「それに、別に仲間って考えでは無さそうね」
カミューニさんとミラさんは今の攻撃で何かを確信した様子です。確かに小型はジルコニスたちとは違い、滅竜魔法でなくても倒せるみたい。それに、翼があるわけでもないから空を飛んでいくこともありません。彼らは倒すのはなんとかなりそうですね。
「もう一人くらい戦える奴がいると、なんとかなんだけど・・・」
「今はリリーも疲れてしまってて戦えないんです」
餓狼騎士団の皆さんや王国軍の皆さんとの戦いの疲労で現在エクシードで唯一戦うことができるリリーは、セシリーとシャルルと一緒に見ていることしかできません。アースランドに来てからは巨大化するのに魔力を多く使うって言ってたから、たぶんそのせいなんでしょう。
「なら、私がなんとかします」
すると、お姫様をアルカディオスさんと一緒に守っていたユキノさんが、一本の鍵を取り出しました。
「開け、天秤宮の扉・・・ライブラ!!」
大魔闘演武のバトルパートで現れたライブラさん。彼女は召喚されるとすぐに重力の魔法を使い、小型たちを地面に伏せさせます。
「ミラジェーン!!お前もあっち行ってくれ!!一人じゃキツいだろう!!」
「わかったわ」
カミューニさんは三人でジルコニスに挑むよりも、ユキノさんとミラさんで小型を、私と彼でジルコニスを倒すという選択肢を選んだようです。
「はああああ!!」
小型の元へと突撃したミラさんは、一気に数匹の小型を切り裂きます。
「あっちはあっちに任せて・・・いくぞ!!」
「はい!!」
カミューニさんはミラさんとユキノさんで大丈夫だと確信を持ったようで、ジルコニスへと視線を戻しつつ私にそう言います。
「波動砲・・・」
「天竜の・・・」
弓矢を魔力で作り出し、それを引くカミューニさん。私は彼の隣で空気を吸い込み、頬を大きく膨らませます。
「弓の章!!」
「咆哮!!」
ほぼ同時に放たれた私たちの魔法。初めての連携だからでしょうか、シリルたちみたいに交わりながら向かっていくということはありませんが、真っ直ぐにジルコニスへと向かっていきます。
「小賢しいわ!!」
「「!!」」
しかし、ジルコニスはそう叫ぶと、カミューニさんの魔法を横に弾き、私のブレスを相殺してしまいました。
「なっ・・・」
「そんな!?」
私の魔法はドラゴンに最も効果的にダメージを与えることができる魔法。対してカミューニさんは元聖十大魔道だけあって早く、そして力強い魔法を使います。
ただ、滅竜魔法ではないため、ジルコニスに大きなダメージを与えられません。しかし、私たち魔導士にならそれは大きな衝撃になります。ジルコニスはそれを知り、カミューニさんの魔法を弾いて私の魔法を打ち消してきたのです。
「マジかよ・・・手助けに来て足手まといになってんじゃねぇか!!」
カミューニさんは悔しそうにそう言います。確かに私だけが攻撃していれば当たったかも知れませんが、たぶんジルコニスならあっさり避けることもできたのではないかと思います。結局、私とカミューニさん、二人で連携しながら戦わないと、絶対に勝つことなんてできません!!
「カミューニさん!!私が突撃しますから、後方から援護してください」
「!!大丈夫なのか!?」
私がそう言うと、驚いた表情のカミューニさん。私は遠距離型の魔法はブレスしかありません。他の攻撃魔法はほとんど近距離タイプ。それに、ブレスだって近ければ近いほど威力が増します。遠距離も近距離も対応できるカミューニさんがいてくれれば、きっと戦いやすいはず。
「大丈夫です!!絶対倒しますから!!」
私がカミューニさんを真っ直ぐに見据えてそう答えると、彼はニッと口角を上げます。
「わかった。ぶちかましてきな!!」
「はい!!」
彼の言葉に返事をし、一気にジルコニスへと突撃します。
「嬢ちゃん一人でくるのか?我をどうやって―――」
ジルコニスは一瞬私に意識のすべてを向けかけていましたが、すぐに何かを感じてカミューニさんの方へと視線を向けます。
「波動砲・・・球の章!!」
彼の頭ほどある巨大な魔力の球体。カミューニさんはそれを足を高々と上げて、大きく踏み出しながらジルコニスへと投げ込みます。
「ぐっ!!」
かなりの速度で波動の球体がぶつかり、ジルコニスは後方へと押されます。その隙に私はジルコニスへとジャンプして頭上に到達しました。
「天竜の・・・鉤爪!!」
「ぐおっ!!」
私の蹴りを受けたジルコニスはさらに押し込まれ、頭を振るい意識を保とうとしています。
「いいじゃナァイ!!ウェンディ」
「カミューニさんの援護のおかげです」
着地した私は後ろにいるカミューニさんにそう答えます。それに、まだ倒すほどのダメージは与えていない。気を抜いてしまったら、すぐにやられてしまう。
「そろそろ遊ぶのにも飽きてきたなぁ。もう少し本気になるとするかのぉ」
ジルコニスは首をコキコキと鳴らしながら私たちの方へと視線を向けます。やっぱり防御力も攻撃力もかなり高い・・・でも、
「私たちなら、きっと倒せますよ」
「いい顔だ」
戦いの構えを取り、ジルコニスを見据える私とカミューニさん。それに対し、ジルコニスはこちらに猛スピードで向かってきます。
「早い!!」
あまりの速度に反応が遅れてしまいました。避けようにもジルコニスの腕がもう目の前まで迫ってきていて、とてもじゃないけど交わせない。
「波動波!!」
「おっ!?」
攻撃を受けてしまうと思っていた私の目の前に、後ろで援護してくれていたカミューニさんが現れジルコニスの手をはじきました。
「このガキが!!」
「どわっ!!」
「カミューニさん!!」
私を守ってくれたカミューニさんを怒ったジルコニスが凪ぎ払います。カミューニさんは飛ばされてしまい、地面はと叩き付けられてしまいました。
「仲間の心配などしている場合か?」
「!?」
カミューニさんに視線を向けていた私。ジルコニスはそれを見落としませんでした。彼の太い腕が、振り向いた私を叩きつけます。
「きゃっ!!」
カミューニさんと同じように地面を滑るように飛ばされてしまう私。その痛みで、なかなか立ち上がれません。
「嬢ちゃん。お前は服を消さずに食い殺してやろう」
ジルコニスはそう言うと、大きな口を開けてヨダレを垂らしながら、私の方へ飛んできました。
「「「ウェンディ!!」」」
シャルルたちの声が聞こえる。だけど、さっきの衝撃で動けない・・・もうジルコニスは目の前まで来ている。今から立ち上がっても避けられない。
「水竜の・・・咆哮!!」
「「「「「!?」」」」」
もうダメだと思ったその時、どこからか放たれた水の波動が、ジルコニスの顔を横から捉えました。
「ぐううう!!」
完全に不意を突かれたジルコニスは、今の攻撃で軌道がズレ、私の横を抜けるように通りすぎます。
「顔面パーンチ!!」
「ごはっ!!」
そのままシャルルたちの方にいってしまうかと思われたジルコニス。しかし、その先には金色の綺麗な髪をした、顔立ちの整った少年が待ち構えており、ジルコニスの顔に拳を入れます。その威力は凄まじく、少年の何倍もの大きさのあるドラゴンを弾き飛ばしてしまいました。
「今のうちに・・・」
私が呆気に取られていると、後ろから何かの光が私を照らします。その光を浴びたら、次第に全身に及んでいた痛みが和らぎ、傷も徐々に薄れていくのを感じました。
「なんかヒーローみたいな登場だな、俺たち」
「かなりありがちな展開だけどな」
私の前にそういいながら、水色の髪をした男の子と先程ジルコニスを殴り飛ばした金髪の少年がやってきます。
「なんで・・・」
なんでここにいるのかわからない・・・だって、彼らも街で戦っているはずなのに・・・
「貴様ら・・・」
金髪の少年に殴られ、倒れかけていたジルコニスが忌々しそうに私の目の前にいる二人の少年を睨み付ける。
「あれ!?ジルコニス!?なんで!?」
「友達?」
「いや・・・そういうわけじゃないけど・・・」
一度目の前の敵を見たことがある水髪の少年は驚愕しており、隣の少年は何を勘違いしたのか、ジルコニスを彼の友達と思いそんなことを言っていました。
「ウェンディが無事でよかったぁ。急いで来たんだよ、あたしたち」
「ラウとハッピーで連れてきたんだぁ!!」
私に治癒の魔法をかけてくれた赤紫髪の少女がそう言い、ぎゅっと抱き締めてくれる。その暖かさに、どこか安心感を覚えた私は、思わず頬を緩めました。
「まぁ、敵が誰でも関係ないか!!仲間に手を出す奴はみんな敵だ!!」
「だな!!」
シリルとレオン。そしてシェリアとラウル。大切な友達であり、仲間である彼らが助けに来てくれた。勝利の光が、目の前に差し込んでくるのを感じました。
第三者side
シリルとウェンディ、二人の滅竜魔導士が同じ場所に集まっていた頃、ある場所では味方同士であるはずのものたちが険悪な雰囲気に包まれていた。
「ジェラール」
「ミリアーナ・・・」
エルザの手を取り、彼女が立ち上がるのを手伝おうとしていたジェラール。そんな彼らの前に現れたのは、エルザの仲間であり、ジェラールを憎んでいる者でもあるミリアーナだった。
エルザは怒りに満ち満ちている彼女の表情を見ると、ジェラールの手を振り払い彼女に視線を向ける。
「待て!!ミリアーナ!!」
「いいんだ、エルザ」
「よくない」
今にも襲い掛かろうとしているミリアーナを説得しようとしたエルザ。ジェラールはそれを止めようとしたが、事情を知っている彼女は彼の言葉を聞き入れなかった。
「私は、ジェラールを許した」
それを聞いたミリアーナは怒りの表情から一変、驚愕のものへとなっていた。
「なんでジェラールを庇うの!?シモンを殺したんだよ!?」
かつて楽園の塔で共に過ごした彼女たちの仲間であり、人魚の踵のカグラの兄であるシモン。その男の命は七年前、ゼレフの亡霊に取りつかれていたジェラールによって奪われたのだ。
「許せない!!私は絶対に許せない!!ジェラールを殺してやるんだ!!」
「そんなことをしても何も残らん。何も得られんぞ!!ミリアーナ!!」
「だから許せっていうの!?間違ってるよ!!」
激しく口論しているエルザとミリアーナ。その二人のすぐ近くにいるジェラールは、自分の犯した罪のせいで仲の良い二人の女性が争っているのを見て、暗い顔をしている。
「そうね。間違ってるわ」
「「「!!」」」
すると、まるで図ったかのようにミリアーナの後ろからある女性の声が聞こえてくる。彼女たちがそちらを振り向くと、そこにはレオタードのような衣服に身を包んだ黒髪の女性、ウルティアか立っていた。
「ウルティア・・・」
意外な人物の登場に何も発せられなくなる面々。ウルティアはミリアーナの横に並ぶように、ゆっくりと歩を進める。
「そもそも、ジェラールを恨むこと事態、検討外れだわ」
「あんた誰?」
初めて会ったウルティアに何者なのか尋ねるミリアーナ。ウルティアはそれを聞くと、不敵な笑みを浮かべる。
「ジェラールを陰で操っていた女よ」
「!?」
ゼレフの亡霊に取りつかれていたジェラール。だが、彼を操っていたのはハデスによって命令されて動いていたウルティアだったのだ。彼女の洗脳によりジェラールは乱心。エルザを島から離し、ミリアーナたちに楽園の塔を作らせるなどの暴挙に出てしまったのだった。
「よせウルティア」
「私はそう言う女」
ミリアーナに怒りの標的を自分に向けさせようとしているウルティアを止めようとしたエルザ。だが、いつもの様子と違い、何やらプレッシャーを放っている彼女を見て、二人の女性は思わず体を強ばらせていた。
「やっぱりダメね。いくら正義の味方ごっこやっても。私は・・・きっと根が腐ってる」
「・・・何かあったのか?」
様子がおかしいウルティアにジェラールがそう聞くが、彼女は「別に」と答えただけで、詳しいことは何も話そうとしない。
「それより、こんなところでボサッとしてる場合じゃないわよ。小型のドラゴンが、まだうようよいる。手分けして倒しましょ」
半ば強引にではあるが、話題を変えようとしているウルティア。だが、彼女はまだ伝えなければならないことがあると、ミリアーナを横目で見る。
「それとね、猫ちゃん。シモンを殺したのは私。楽園の塔を作らせたのも私。恨みがあるなら生き残りなさい。後でたっぷり相手してあげる」
そう告げると、ウルティアは背を向けたままその場を立ち去っていく。ミリアーナは何が何なのかわからず、彼女を追いかけていくべきなのかどうか迷っていた。
「あいつも本当は被害者だ。幼い頃から正しいことを教わって来なかった」
「私・・・何がなんだか・・・」
「どうかしてるよ。この世界は」
「それでも生きていくんだ。私たちは」
そんな彼らの会話を岩の陰から聞いていた女がいた。女は憎んでいたジェラールが目の前にいることで、復讐をしようも刀を鞘から抜いていた。しかし、兄の仇であるジェラールが操られていたこと、そして操っていた女性も被害者なのだということを聞き、怒りが薄らいだのか、刀を鞘へと納め、浮かない表情をしていた。
後書き
いかがだったでしょうか。
ついにシリルとウェンディの共闘!!まぁ少しだけですけど・・・
そしてレオンが次の話でとんでもないフラグを立ててしまうかもしれません。どんなフラグかは想像つく人には想像つきます。
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