ナザレの女
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第四章
結婚前に着ていたナザレの服だった、だが。
結婚前は長かったスカートがだ、今は。
膝の上の長さだ、短い七枚のスカートをはいている。そのスカートを見てだった。ルイージは妻に笑顔で言ったのだ。
「そちらの服もね」
「そう、それは何よりよ」
「ただね」
「ただ?」
「スカートが短いから」
だからというのだ。
「脚が見えているから」
「あなた以外の人には」
「見せたくないね」
それは、というのだ。
「どうもね」
「ああ、そういうことね」
「その服は見せたくないよ」
自分以外の人間にはというのだ。
「本当にね」
「そう言うのね」
「結婚する前はそうは思っていなかったけれど」
結婚してからのナザレの女の服のことも知っていた、だがというのだ。
「結婚して君がその服を着たらね」
それならというのだ。
「よくないよ」
「ううん、それじゃあ」
「着る時は」
まさにというのだ。
「僕の前以外ではって思うよ」
「この服は」
「そう、家の中とかね」
「また難しいこと言うわね」
「それは我が儘かな」
「そう思うけれど」
しかしともだ、また言ったルイージだった。
「仕方ないかな」
「これが結婚した人の服だから」
「そこは割り切ってだね」
「ええ、そういうことでね」
アメリアは微妙な顔の夫に笑顔で言った、そして。
自分から彼の手を取ってだ、こう言ったのだった。
「じゃあ今からね」
「今日もね」
「ミサに行きましょう」
「それじゃあね」
その短い七枚のスカートの服でというのだ。ルイージはその服を着ている妻と共に街に出た。すると外では彼女と同じ服の人達がいてだった、また言ったルイージだった。
「確かに皆だね」
「じゃああれこれ言ってもね」
「仕方ないね」
「そう、同じだから」
自分もと言うアメリアだった、そしてそのスカートをひらひらとさせつつ二人で教会に向かった。奇麗な脚も出しつつ。
ナザレの女 完
2016・2・24
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