戦国異伝
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第二百四十三話 信長の読みその十三
「夜はですな」
「暗くよ見えぬ」
「特に目が慣れていなければ」
「敵もそれがわかっていて」
「夜に来ますな」
「夜明け前に」
「そうじゃ、そうしてくるからじゃ」
だからだというのだ。
「ここはな」
「あえてですな」
「真夜中に起きて目を慣らせて」
「そして、ですな」
「敵が攻めてきてもすぐに反撃する」
「そのうえで倒しますな」
「そうする」
信長はまた言った。
「よいな」
「では」
「日が落ちる前に」
「飯を食いましょう」
「それもたらふく」
「飯はたらふく食え」
信長はこうも言った。
「皆な」
「ですな、飯はたらふく食って」
「戦の為に力をつけましょう」
「そして次の戦では」
「あの者達を散々に破ってやりましょうぞ」
「敵は妖術を使う」
このことも間違いないとだ、信長は言った。
「そうしてくるぞ」
「ですな、次は」
「奴等が攻めてきますし」
「ここぞという時にです」
「仕掛けてきますな」
「絶対に」
「そうしてくる、だからな」
それでというのだ。
「ここはな」
「その妖術もですね」
「破るのですな」
「果心居士殿が渡してくれたあの呪文で」
「それで」
「そうだ、破ってだ」
そして、というのだ。
「奴等の切り札も潰したうえで勝つぞ」
「わかり申した」
「ではもう少ししたら飯を食い」
「そして休みましょう」
「戦に備えて」
家臣達も応える、そうしてだった。
信長は兵達に早い晩飯をたらふく食わせそのうえでゆっくりと休ませた。そうして夜明け前からの戦に挑むのだった。
第二百四十三話 完
2015・9・9
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