新オズの腹ペコタイガー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十一幕その五
「だからよ」
「そうなんだね」
「だからそれから今までね」
「ずっと行っていなかったんだね」
「この道に足を入れること自体がね」
そもそもというのです。
「なかったのよ」
「そういうことなんだね」
「けれどね」
「うん、今からだね」
「行くわ、私も」
アンはもう決めていました、それが言葉にも出ています。
「これからね」
「僕達に何かあった時の為に」
「若し不愉快なことになろうとしたら」
「私が止めるから」
絶対にというのです。
「任せてね」
「うん、それじゃあね」
「そういうことでね」
また言ったアンでした。
「行きましょう」
「それじゃあね」
「そうしましょう」
こうお話してでした、そのうえで。
一行は冒険を適度に休みながら続けました、そして。
前からクルマー達が来ました、クルマー達は両手両足の車輪で煉瓦の道を進んでいます。その彼等のお顔を見れば。
にこにことしています、アンは彼等のそのお顔を見てすぐに彼等に尋ねました。
「いいことがあったの?」
「うん、とてもね」
「楽しい思いをしたよ」
「貴方達薔薇の国から来たのよね」
アンはクルマー達にこうも尋ねました。
「そうよね」
「そうだよ、あの国でね」
「凄く楽しかったからね」
「今僕達はこうしてオズの国を楽しく旅してるけれど」
「あの国でもね」
「楽しかったよ」
「あの国でなの」
怪訝な顔になって言うアンでした。
「楽しい思いしたの」
「そうだけれど」
「何かあったのかな」
「あんな不愉快な国ないわよ」
アンはクルマー達にも言うのでした。
「それこそね」
「いやいや、違うよ」
「もうそこのことはね」
「悪い人達じゃなかったよ」
「行ってもね」
「特に不快な気持ちはしなかったし」
「結構よくもてなしてもらったよ」
「私の言った通りでしょ」
トロットはここでアンに言いました。
「もうあの国もね」
「よくなったのね」
「確かに貴女が行った時はそうだったけれど」
「今は違うの」
「どんな国も変わるわ」
そうだというのです。
「それにあの国だってオズの国だから」
「私達と同じ国だから」
「そんなことはないわ」
「今はなのね」
「だからね」
「今は安心して行けばいいのね」
「気持ちはわかるけれどね」
アンが不愉快な気持ちになったそのことはというのです。トロットにしてもそのことを味わったので言うのです。
「それでもね」
「今回は安心して」
「行きましょう」
「それに僕もいるよ」
モジャボロは微笑んで名乗り出ました。
ページ上へ戻る