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究極の避暑地

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2部分:第二章


第二章

 首を脇に抱えた甲冑の騎士が出て来た。次には血まみれの子供達だ。そして空をふわふわと漂う老婆にけたたましく笑う半透明の若い女だ。何処からどう見てもその古城の住人達は生者ではなかった。
 では何かというとだ。彼等はだ。
 幽霊だ。その幽霊を見るとだ。彼はだ。
 一気に寒くなった。幽霊がいるだけで世界が冷える。それを受けてである。
 彼は満足した顔でだ。執事に対してこう言うのであった。
「いいねえ、これだとクーラーも必要ないね」
「ではこちらで宜しいですか?」
「うん、ここにするよ」
 執事に対して満足した顔のままで話す。
「それじゃあこれから夏はここに留まるよ」
「別荘にしてですね」
「同居人もいるし。丁度いいね」
 その一風変わった住人達にも笑顔で挨拶をするのだった。するとその先に、おそらく百年単位で住んでいる住人達もだ。笑顔で挨拶を返すのだった。
「それじゃあこれからも宜しくね」
「うむ、こちらこそ」
「宜しく御願いします」
 先の住人達も笑顔で応えるのだった。これで話は決まった。
 こうして彼は夏はずっとこの古城に留まることになった。そのことは彼にとってはいいことだった。少なくとももう夏の暑さの心配はなくなった。それだけで充分である彼だった。


究極の避暑地   完


              2011・4・27
 
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