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GOD EATER STUDIUM

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第一部
第二章
  期待の新人たち

 
前書き
前の続きになります。都合上、実地訓練(戦闘)部分はカットさせてもらってます。
実地訓練を終えてから冒頭が始まてますので悪しからずご了承ください。 

 
 第二章 期待の新人たち


「はい、今日の実地訓練はお終い。みんなおつかれ、どうだった、実際のアラガミとの交戦は?」

コウタさんが実際に訓練を行った新米に質問をする。一人の新米兵が手を挙げる。

『自分は思ったよりも楽でした。所詮、小型のアラガミ、オウガテイルですし、自分たちの実力ならこれぐらいはこなせて当たり前かと』

俺も同意見である。確かに初めての実地訓練で緊張しなかったわけではないが相手として少し物足りなかった感はある。このまま訓練をして、もっと現場に出て、実績を残せば高難易度のミッションへと参加させてもらえるだろうし、今は我慢かな?

「そっか、そっか、本当に今年は豊作だな。俺なんて、初の現場はテンパり過ぎてみんなの足をよく引っ張ったものなのに、時代は変わったな」

『アラガミもたいしたことはないな。この調子ならヴァジュラってやつも余裕じゃね』

『確かにターミナルで見たけどしっかりと弱点とか行動パターンを把握しておけば勝てる相手かもな』

などと周りの新米兵は明らかに調子に乗っている。どうやらそれほど訓練はうまくいったらしい。しかし、それをよしとしない人もいた。それはエレナさんだった。めっちゃ目つきが怖い。

「今のあんたたちがヴァジュラに勝てるわけがない」

一斉に目線が声の主の方へ向く。すると

「あんたたちみたいやつが、ヴァジュラに立ち向かっても無駄死にするだけって言っているの」

凛とした声で言う。声の主は、天海ルイだ。全体が唖然とする。当たり前だ、周りからもすでに一目置かれていて、俺らとは次元が違う強さを持つ、言わば格上の存在から無理と言われたらショックは大きに決まっている。しかも、一応、みんなの守ってあげたいランキング一位だし。

「おいおい、ルイちゃんそこまではっきりと言わなくてもいいじゃん。俺らだって一応頑張って今まで神機をブンブン振り回してきたんだぜ。今日ぐらい適当なこと言ってもいいだろ?」

ユウトがフォローを入れる。流石いいやつ。

「ユウトさん。それでもさっきの彼らの発言は不謹慎なものと思います。オウガテイルを雑魚と認識しているみたいですが、小型種で脅威には違いありません」

「いやでも、モチベーションの維持にそういうこと言ってもいいじゃんか」

ユウトが少しムキになっていることが分かった。どうやらユウトもみんな側と同じことを思っていたらしい。

「知らないですよ、そんなこと。できもしないことを語ってですか? できると思い込んで深追いして返り討ちに遭うのは目に見えます」

「お前! ちょっといい加減にしろよ!」

ユウトがルイの胸倉を掴む。あ、喧嘩かな? じゃなくてユウトがキレた? 

「ユウトさん、何ムキになっているんですか? あなたは才能あるじゃないですか?」

「才能とかそういうのはどうでもいいんだよ! 自分が周りから、ちやほやされているからってあまり調子に乗るってことが言いたいんだよ」

「私はいつも真剣に取り組んでいるだけです!」

胸倉をルイが掴み返す。次第にユウトに力が入っていくのがわかる。これはいつ手が出てもおかしくない。すると両者の顔の間を神機で遮る。わずか狭い間隔に見事に。思わず二人とも目の前に現れる神機に反応して距離をとる。

「お前ら喧嘩するのはいいけどみっともないぞ。ゴッドイーターは一人で仕事をこなすこともあるが基本は小規模グループでミッションを行う。チームワークができないやつはこの世界じゃ、早死にだ」

コウタさんが二人を止める。

「ま、二人の言いたいことはわかるよ。でも一応警告な。他の支部だとヴァジュラって出ただけでベテランが大勢で倒すレベルで脅威とされているからな」

いたずらそうに笑ったコウタさんは、やっぱり憧れる。隊長としての器のでかさを感じた。



またもやいつもの神機保管室

「ってことがあったんです! 俺あんなにも実地訓練を受けるやつらがいるって知らなくて残念です」

ある意味日課のようになったリッカさんとの会話。もちろんリッカさんは俺の神機の点検をしてくれている。

「それは大変だったね。ユウト君とルイちゃん仲良くなるといいね」

俺は地面に座り込み、仰向けになる。

「そうですね。二人と一緒に実地訓練したんですけど、やっぱり二人とも凄かったです。自分は天才って思っていたのが恥ずかしくなるぐらいに、ユウトは弾丸を一発も外すことなく訓練を終えていましたし、ルイの方は、動きがエリナさんと同等それ以上でした」

リッカさんがこちらを見下ろす。

「そっか。もう一人前と同じ動きができるライバルを見つけたのか。君も頑張らないとね」

「確かに。これはここで寝ている時間もないや。自主練やってきます」

勢いよく立ち上がる。リッカさんが神機は使えないと仕草で教えてくれる。

「わかってます! 神機なしでの自主練です」

「覚えていてくれたのね。自主練で身体を動かすならおすすめしないよ」

「今度は自主練もダメですか?」

よほど残念そうな顔をしていたのか、リッカさんは俺の顔を見ると微笑んだ。

「前にも言ったかもしれないけど君の神機は特別製だよ。だから、こうやって毎日、私が点検しているの。この神機にはまだ底知れぬ力が秘められているの。それに神機を見たらわかる。君が今日、ライバルたちに負けじと思い、頑張ったこともね」

リッカさんは作業用の手袋を外し、俺の頭を撫でた。

「おつかさま、今日は休むか、イメージトレーニング程度にしといたほうがいいよ」

この人には敵わないと心底思った。ここアナグラではこの人はまるで俺のお姉ちゃん的存在だ。弟は反抗せずに大人しくイメトレでもしますか。
リッカさんの手をどける。

「まるで扱いが弟なんですけど」

リッカさんは笑ってごまかして再び作業の方に戻った。俺も静かに自室に戻った。
それにしてもあいつらがライバルか。向こうは絶対そんなこと思ってないよな。



フェンリル極東支部、支部長室。

「コウタ君、エリナ君。今日はご苦労様。どうだったかい、今年の期待の新人たちは?」

「博士、少し人数が多すぎませんか。こっちの身にもなってくれよ」

「ごめん、ごめん。これでも調整したつもりだったんだけどね。いやみな優秀で」

「ま、無事に死者を出さずに終わったんでなんでもいいですけど。正直いって驚かされました。俺が担当したのは7人だったんですけど、みんな臆することなくやってくれました。自信家も多くいました」

「そうかい、実に素晴らしいことだね。これでこの支部も安泰だね。エリナ君の方はどうだったかい?」

「私が担当したのは3人で後二人は、即実践に行けるクラスの神機使いだと思います。一人は坂之上ユウト。彼の射撃は適格でスナイパーとしての素質はかなりのものかと思います。それにブーストハンマーの使い方もエミールに劣らずという感じでした」

「ふむふむ、なるほど。もう一人はルイ君であっているかね?」

「はい、そうです。彼女は、私と同じチャージスピアですよね。戦闘中も私と同じ動きをとれていました。統率力も噂通りの実力かと思います。……少し悔しいです」

エリナはそう言って拳をぎゅっと握りしめる。

「そうかい、ありがとう。でも何も悔しがることはない、君も若干14歳でヴァジュラを討伐できるクラスの大物だからね。胸を張りたまえ」

コウタさんもエリナさんのほうを笑顔で見る。

「それにしても博士、本当にあいつらって新米兵ですか? 歳はバラバラで年上とかもいましたけど、ヴァジュラ一頭の討伐なら時期に出来るレベルでしたよ。なんか、ソーマとかユウ見ているみたいで嫌でした」

博士が苦笑する。

「彼らだけでも、ヴァジュラ討伐が可能とはこれまた興味深い」

「博士、またよからぬこと考えているんじゃ」

コウタさんが少し呆れた表情で博士をみる。博士は笑顔を崩さない。
部屋の鐘の音が鳴る。

「おっと、もうこんな時間か。今日は二人ともご苦労さま。もう下がってくれて構わないよ」

「最後に博士、質問をしてもよろしいですか?」

「なんだい、エレナ君」

「一人、こっち側の新米兵の神機が訓練用とは違う神機でしたがあれは?」

博士が眼鏡のフレームに手を当てかけ直す。

「そのことに興味があるのかい?」

 
 

 
後書き
次は、2月27日18時に投稿させて頂きます。
一応、予定なので遅れるかもです。 
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