『夢の中の現実』
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『再会』
6歳の時に別れて以来、24年振りに逢う事に。
異常な胸の高鳴りに、過呼吸が起こらないか不安になった程。
意識的に深呼吸をし、息を整え、冷静になろうと努力した。
大阪に着いた。
どこか懐かしいような景色。
でも、昔とはガラッと変わってるんやろうなぁ...
父の家の住所付近迄来た。
町並みが、昔住んでた家の周りの雰囲気に似てる気がした。
昔から在る商店街って感じ。
商売人の声と、オバチャン達の声が交差する。
ガラケーのナビすら使いこなせん零那はオバチャンを頼る事に。
『こんにちはー。オバチャン、ごめん。チョット道教えて欲しいねんけど』
住所を見て、零那をジッと見る。
『アンタもしかして下の娘ちゃうん?よぉー似てからぁ...!!よぉ来た!!よぉ来た!!うんっ!!』
何故か涙ぐんでるオバチャン達。
そして、背中バシバシ叩いてんのが何気に痛い。
『...オバチャン、父さんの事知っとんやねぇ』
『知ってるっ!!
此処来たらいっつもアンタの事よぉ話しててなぁ...写真見ながら。ほれっ!!量治サンが赤ちゃんのアンタ抱いてる写真やがな!!』
『...そっか...父さんも零那の事チャント想っててくれたんや。其れって、ごっつげに嬉しい。もぉ其れだけでごっつげに幸せ』
『あほぉっ!!何しに来たんやっ!!ほれぇっ!!行くでぇっ!!』
1人のオバチャンに手を引っ張られて、父さんの元へ向かう。
『オバチャン、父さん元気にやってたん?』
『いろいろあったらしいけどなぁ...でも、アンタの写真見て優しい顔しとる量治サンは父親の顔しとったで』
『うんっ♪其れ聞いて死んでもええって思うくらい嬉しい♪』
『量治サンの事、恨んどらへんのんか?』
『あたりまえやーん♪父さん、なんちゃ悪ぅ無いし!!ずっとずっと、ずっとずっとずぅ―――――――っと...逢いたかってんでっ!!』
『其れずっと気にしてたからなぁ...』
『だって、あの時は6歳やったし、零那が馬鹿やったんよ。条件反射的に出て行ってしもた。こんなに逢えんくなるやか解って無かった...出て行ってすぐ、ごっつ後悔した...ごっつげに逢いたかった...』
『...本人に言うてあげな...』
オバチャンが涙目の笑顔で指さした方を見上げた。
父さんが、カンカンカンカンって音の鳴る階段を駆け降りて来た。
思わず飛び付いた。
父さんの胸の中にシッカリ飛び込んだ。
包んでくれた腕は温かかった。
長年、募り続けた父さんへの想いが溢れてしまった。
言いたいこと、謝りたいこと...何も言葉が出んかった。
涙と鼻水で顔もグッチャグチャ。
泣くだけ泣いて、顔合わせた時には、笑いしか起きんかった。
もぉ大人やのに、しかも24年振りやのに...。
アホちゃうかってくらい泣いてしもてホンマ恥ずかしい。
オバチャンは気付いた時には居らんかった。
お礼も言わず父さんに飛び付いてしまったから...。
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