転生とらぶる
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マブラヴ
1238話
「いいいいやぁっほおおおおおおおおっ!」
ゲレンデに響く、ムウの声。
そんな歓声とも奇声ともとれる声を上げながら、ムウはスノーボードを操りながら降りてくる。
確か、以前スノーボードをやった事があるって話だったから、慣れているのだろう。
元々ムウは運動神経もいいし、こうやって身体を動かす遊びの類は喜んでやっている。
だからこそ、このスキー旅行も楽しみにしていたのだろう。
スキー旅行二日目の午前。……ただし、既に昼近い時間。
何でこんな時間になるまでゲレンデに出てこなかったのかと言えば、例によって例の如く、昨夜の夜にレモン達と酒池肉林の時間を過ごした為だ。
……いや、肉林ではあったけど酒は入ってなかったが。
旅行先でいつもと違う場所。それでいながら俺達だけが離れた場所に部屋が用意されているとあって、色々と燃えるものがあった。
実はあまりにも都合が良かったので、もしかして盗撮とかされてるんじゃないか? とスライムで部屋の中を調べたのはちょっとやり過ぎだったかもしれない。
ただ、結局はカメラの類は存在せず、思う存分励む事が出来た。
で、レモン達9人は息も絶え絶え状態になり、体力の限界まで疲れ切り、起きたのが10時前くらい。
宿の従業員も、気を使ったのか起こしに来なかったんだよな。
で、当然ながら朝食の時間は過ぎており、更には部屋の中は色々と臭いが篭もっていたりと、俺達が起きたのに気が付いた従業員に臨時の部屋を用意して貰って、取りあえずそっちに移った。
その後、温泉に入って昨夜の汚れを落とし、遅めの朝食を食べてからまだ眠いというレモン達をそのまま寝かせ、俺はゲレンデにやって来た訳だ。
で、ゲレンデに出て来た途端に聞こえてきたのがムウの声。
色々と台無しになった気分がしても、おかしくはないだろう。
ちなみに、ムウとナタルとか、キラとフレイといった面子も昨日は揃って個室だったのを考えると、恐らく旅先での熱い一夜を過ごしたんだと思う。
……ナタルと風呂で会ったってマリューが言ってたし。
「あんた、随分と来るのが遅かったわね。まぁ、大体理由は想像出来るけど」
スキーを履いてゲレンデに出て来た俺を出迎えたのは、同じくスキーを履いた夕呼。
その姿に、思わず驚きの表情を浮かべてしまったのはしょうがないだろう。
「どうしたんだ? 寒いのは嫌いだとか言って温泉三昧をするとか言ってたのに」
「そのつもりだったんだけどね。温泉は昨日ずっと入ってて満足したし、少しは身体を動かそうと思って」
「本気で珍しいな」
夕呼の口から出た言葉に、更に驚きの表情を浮かべる。
夕呼はこのマブラヴ世界で、天才と言ってもいいだけの実力を持つ科学者だ。
それこそ、シャドウミラーの技術班にスカウトしたい程に。
だが……いや、だからこそと言うべきか、その能力は科学者としての方に特化している。
一応名目上は国連軍の軍人という事になっているが、身体を動かす事は決して得意ではない。
それこそ、その辺の学生の方が余程身体を動かすのは得意だろうというくらいに。
……この辺、もしシャドウミラーに所属しても葉加瀬と同じく技術班のみの扱いとなるだろう。
いや、それが普通なんだけどな。
レモンやマリューみたいに、科学者でありながら戦闘でも実働班に負けないくらいの実力を持つって方が異常な訳で。
いや、でもそう考えてみると……実はシャドウミラーの中で一番ハイスペックなのってマリューなんじゃないか?
レモンとマリューは同じように戦闘に参加しているが、レモンの能力はレモンが一度死んで生き返った時にWナンバーズの技術を使ったからこそのものだ。
戦闘能力が生身でも高いというのも、勿論その辺が理由となっている。
だというのに、マリューは本当に何もない生身の人間……SEED世界的に言えばナチュラルだ。
なのにDESTINYではコーディネーターの特殊部隊を相手に互角以上に渡り合っていたのを考えると、今のマリューの実力は色々な意味でとんでもない。
せめてもの違いは、レモンはヴァイスセイヴァーに乗っており、マリューはニヴルヘイムの司令官として出撃しているところか。
……もしかして、マリューにPTとかを操縦させたら結構凄腕のパイロットになるんじゃないか?
ちょっと見てみたいと思った俺は間違っていない筈だ。
だが、すぐにその案を消去する。
シャドウミラーにはパイロットは大勢いるが、逆に艦長タイプは殆どいないのだから。
ナタルがシャドウミラーに入った事でようやくエザリアがニヴルヘイムの司令官から解放されたのに、ここでまた戻したりしたら、エザリアはともかくイザークに何を言われるか。
更にスティング、アウル、ステラの3人にも責められるのは間違いない。
ああ見えて、あの3人はエザリアを母親として慕ってるし。
「アクセル? どうしたのよあたしの方をじっと見て。……昨夜はお楽しみでしたねって奴じゃなかったの? 欲求不満になったりしないでよね」
そう告げ、ジト目を向けてくる夕呼。
いやまぁ、カラフルなスキーウェアを着てサングラスを掛けている夕呼は確かに魅力的なのは間違いないけどな。
だからといって、すぐにそっち方面に持っていくのはどうかと思う。
……俺が言っても説得力ないか。
一応俺自身、そんなに自覚はないが女好きだと言われても当然の事をしているのは理解している。
だからこそ、夕呼の言葉に対して俺が行ったのは軽く肩を竦めるだけだった。
「ま、夕呼がいい女だって事は認めるけどな」
「あら、アクセルに褒めて貰えて何よりだわ。それより、アクセルはスキー出来るんでしょ? ちょっと教えてくれない?」
「は? 俺がか?」
「そ。身体を動かす事なら、アクセルに聞けば間違いないでしょ」
「いや、確かに俺は身体を動かすのは得意だけど、教えるのはそんなに上手くないぞ?」
俺自身、自分の身体能力が高いのは理解しているが、基本的には直感頼りの人間だ。いや、混沌精霊だけど。
こう言っては自画自賛しているようで嫌だが、俗に言う天才肌って奴。
こういうのは、きちんと論理的に考えられる奴の方が似合っていると思うんだが……夕呼はそんな俺に構わず、手を引っ張る。
「ほら、教えて頂戴」
「あー、分かった分かった。まずはそうだな。初心者だとボーゲンからだな」
「あら、それくらいは知ってるわよ。ハの字型にするんでしょ?」
「分かっているなら話が早い。まずはそれを使って真っ直ぐ滑られるようにするところから始めるぞ」
そう告げ、夕呼を引き連れて坂を上っていく。
「ちょっと、自力で上って行くの? リフトは?」
「初心者がいきなりリフトに乗って上から滑るなんてのは、自殺行為だ。お前がやるべきは、まずスキーになれる事だから、俺の真似をして上に上がってこい」
「……分かったわよ。しょうがないわね」
若干不満そうにしながらも、夕呼は俺の真似をして、スキーをハの字の逆の形にしながらゲレンデを上がってくる。
幸い俺達がいたのはゲレンデの下の方で、坂の角度もそれ程急な訳ではない。
だからこそ夕呼も特に疲れる様子もなく、ある程度上の方へと到着する。
「ふぅ、ちょっと疲れるわね」
……訂正。何気にこの程度でも夕呼にとっては十分な運動になっていたらしい。
「お前、幾ら何でも運動不足すぎないか? ほら、向こうを見てみろ。霞や麗華だってあんなに元気に走り回ってるんだぞ」
視線の先にいるのは、昨日に引き続きソリを持ってゲレンデを上っている霞と麗華の姿。
いつも落ち着いている霞だが、年齢相応に笑みを浮かべて楽しんでいるのが分かる。
久しぶりに友人と会えて遊べているというのもあったし、そもそもこのスキー旅行自体霞の提案だったからな。その辺の夢が叶って嬉しかったというのもあるんだろう。
そんな風に考えながらも、ようやくある程度の高さの場所に到着すると、本格的にスキーの練習を開始する。
「ほら、身体が揺れてる。動かすなとは言わないけど、不自然に揺らすな」
「そう言っても……ちょっと、これ本当に大丈夫なんでしょうね?」
ボーゲンで滑りながら文句を言ってくる夕呼だったが、その動きは色々と怪しいのも事実だ。
やがて、曲がらずに真っ直ぐ一直線に斜めに滑っていき……
「キャーッ! ちょっ、ちょっと、アクセル。何とかしなさいよ!」
「ったく。しょうがないな」
念動力を発動し、夕呼の動きを強引に止める。
「え? あら? ああ、念動力ね」
身体を動かすのは苦手でも、頭の回転は早い。
すぐに俺がどういう手段で自分の動きを止めたのかを思い出し、夕呼は安堵の息を吐く。
「ほら、こっちに戻ってこい」
念動力を使って坂を斜めに上ってくる……しかも後ろ向きのままという、色々な意味で希有な体験をしている。
「ちょっ、ちょっとアクセル!?」
悲鳴を上げつつ、周囲の者達から注目の視線を浴びながら俺の下へと戻ってきた夕呼は、ジトリとした視線をこっちに向けていた。
「あんた、人を見世物にして楽しい?」
「まぁ、そこそこ」
「へぇ。……後で覚えてなさい」
「そう怒るなって。それより……そうだな、こうしたら少し分かりやすいんじゃないか?」
夕呼の後ろへと移動し、そのまま密着する。
これが水着だったり、普通の服だったりしたら色々と困ったことになったかもしれないが、スキーウェア越しである以上、あまりそんな気分にはならない。
「ちょっ、アクセル!? あんた何してるのよ!」
ただ、どうやら夕呼は違ったらしい。
最初に俺と出会った時には色仕掛けで抱かれようとしたというのに、妙に初心な様子を見せる。
「何って言っても、こうやって教えた方が分かりやすいだろ。ほら、行くぞ」
「あ、ちょっと、こら! どこに触ってるのよ!」
「安心しろ、このスキーウェア越しだ。どこに触っていても全く分からない」
「あんたが気にならなくても、あたしが気になるのよ! あ、こら。ちょっと変なところに触らないでよ。責任取って貰うわよ!?」
「あー、ほら。いいからもっと滑るのに集中しろ。いいか? ボーゲンで滑るのはこうやってだな。曲がる時の体重移動はこんな風にして……」
キャーキャー騒いでいる夕呼というのも珍しいが、取りあえずそれは一旦聞き流しながらスキーのやり方を教えていく。
やがて夕呼も騒いでいるうちに落ち着いてきたのか、大人しくなってスキーの練習に集中していく。
ゲレンデの下まで辿り着くと、嬉しげに笑みを浮かべた夕呼が俺の方を振り向き……顔がすぐ近くにあるのに気が付いたのか、急に顔が赤くなる。
「ちょっと、近づき過ぎじゃない? あたしはそんなに安っぽい女じゃないんですからね。大体、あたしは年下は性別識別圏外なんだから」
「いや、俺の年齢から考えれば、十分に夕呼よりも年齢は上なんだが。色々な世界に転移して、そこで過ごした時間を考えれば特に」
「うっ、そ、それは……いいから、とにかく離れる!」
二人羽織……というのはちょっと分かりにくいか。半ば俺が抱きしめた状態だった夕呼が、俺の腕の中から強引に離れて行く。
「一応お礼は言っておくわ。ありがと、アクセル。これでスキーも何とか出来そうだから、後は気にしないでいいわよ。他の人と遊んできなさい」
そう告げ、リフトの方へと向かう夕呼。
おいおい、大丈夫なのか?
そう思ったら、その夕呼の後をいつもの護衛……神宮司とか言ったか? その女が追っていくのを見て、取りあえず大丈夫だろうと安堵する。
神宮司が俺の方に小さく目礼をしているのを見て……ふと、疑問に思う。
見るからにスキーにも慣れている神宮司だが、何だって夕呼にスキーを教えるのは俺だったんだ? それこそ、神宮司が教えてもいいと思うんだが。
首を傾げて見送っていると、不意に俺の方へと近づいてくるスキーの滑る音が聞こえ、そっちに視線を向ける。
そこにいたのは、何故か笑みを浮かべているミシェルの姿。
「はっはっは。残念だったなアクセル君。お前でもナンパが失敗することってあるんだな。いいものを見せて貰ったよ」
「……いや、別にナンパをしてた訳じゃないんだが」
「ふんっ、あんな美女と組んずほぐれつしながら、何を言ってるんだ。大体、お前の場合は恋人が何人もいる癖に、また魅力的な美人に声を掛けるとか……ちょっと図々しいぞ」
「いや、だからだな」
ミシェルの考え違いを何とか正そうとするが、それを全く聞き入れる様子もなくミシェルは言葉を続ける。
「大体だな、女を口説くんなら俺を呼べよ。そうすれば俺もいい思いが……」
「結局お前はそれかぁっ、この浮気者がぁっ!」
どこからともなく現れたクランが、ミシェルの胴体に拳を叩き込む。
「ぐふっ、ク、クラン……お前……どこから……」
「さて、どこからだろうな。ともあれ、本当にお前は目を離すとすぐに次々と……これだから私が側にいないといけないんだ。ほら、行くぞ。私がスキーに付き合ってやる」
「あ、ちょっと待った。待て待て待てぇっ!」
ミシェルを引っ張って行くクランを見送り、俺は溜息を吐く。
ともあれ、俺もスキーを楽しむとするか。
……そんな感じでこの日を過ごし、夜には温泉に入って再度宴会をして、夜には前日に続いて熱い一夜を過ごし、次の日は例の如く昼近くまでゆっくりとし、温泉に入ってスキー旅行は終わりとなるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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