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ユキアンのネタ倉庫 ハイスクールD×D

作者:ユキアン
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ハイスクールD×D×D 2


「我慢しろよ、イッセー!!」
「耐えてくださいよ、イッセー君!!」

『ヒッサツ!!フルスロットル!!チェイサー!!』
『ヒッサツ!!フルスロットル!!スピード!!』

二人のキックが同時に決まり、吹き飛ばされて変身が強制的に解除される。

「イッセーさん!!」

アーシアが駆け寄ってきて聖母の微笑で傷の治療を行ってくれる。

「これで全員暴走ですか。デッドヒート、次の段階へはまだ早いということですか」

「短時間の変身でも肉体への影響は大きい上に全力を出せば出すだけ暴走への時間が短くなる。超短期決戦と割り切るか、なんとか暴走しないようにするしかないのかな?」

「だけど、あまり力を抑えると普通にマッハやチェイサーやプロトの方が強いぞ、イテテテテ」

「まだ動いちゃダメですよ」

起き上がろうとしてアーシアに止められたので転がったままになる。

「仕方ありませんね。当分は鍛え直して行くしかないでしょう。悪魔稼業の方は順調ですか?」

「まあ、なんとかやってます。はぐれの討伐もドライグのおかげでなんとかやれてます」

「そうですか。リアスとの相性はどうですか?」

「正直微妙なんですよね。若干放任主義というか、踏み込んでこないんで何も話せていない状況ですし。今だにオレが今代の赤龍帝で禁手に至っていることすら知ってませんし」

「はぁ~、相変わらず甘いというか。トレードしようにも駒の価値が出てきますし」

「さすが赤龍帝、兵士8個とは」

『ふん、8個程度にまで抑えてやったんだ。動揺して堕天使ごときに、いや、ロイミュードだったな。まあ、殺されるとは覚悟が足らなかったな』

「それに関しては何も言えねぇ。重加速を生み出せるのはロイミュードだけって思い込んでたからな。姿を擬態できるようになっていたなんて気付くかよ、普通」

あの時、パニックを起こさなければ禁手で逆に堕天使を殺すことだってできた。それができなかったのはオレのミスだ。シグナルバイクも持ち歩いてなかったしな。

「今は大丈夫だよ。常在戦場の覚悟で行動してるからな。ニュースで見てるだろ、あの擬態できるタイプとは別のロイミュードの事件」

「ええ、世界各国でロイミュードの犯罪に対処するために私達のシステムとは別系統で重加速に対応、ロイミュードとの近接戦も考慮して強化外骨格の生産が始まったみたいですね」

「名前だけはネットに上がってたな、確かG3だっけ」

「名前からしてG1、G2もありそうなんだけどな。型番なだけだと思うけど量産されるとどうなるんだろうな?」

「まあ、正式配備されてからは気をつけておきましょう。正体がバレると面倒になるでしょうから」

「普段からプロトトライドロンとかライドマッハーを乗り回してるどころか通学に使ってる時点で今更な気もしますけどね」

「気にしない方向で」

「「あっ、はい」」










「はぁ~、いきなり殴りかかってくるのがフェニックス家の挨拶の流儀なんですかね。どっちが下等なんだろうな」

棒で殴りかかってきた女を置き去りにライザーとか言う奴らの背後に回りこんで挑発する。

「いつの間に!?」

「あれぐらい躱せないでどうする。で、もう一回だけ聞くがどっちが下等なんだよ?いきなり相手に襲いかかる獣以下のフェニックスさんよぉ!!」

「舐めるなよ、小僧!!」

フェニックスの名の通り全身から炎を吹き出すが、それがどうした!!セラフォルーさんの一面銀世界にする方がよっぽど怖いわ!!ドライバーと神器、どちらを使おうか悩んだところでグレイフィアさんに止められる。

「ライザー様、それ以上するというのなら私も黙ってはおりませんが」

「ちっ、最強の女王である貴女に言われれば引くしかありませんね」

「……グレイフィアさん、グレモリー卿に再度確認を取ってください。本当にこんな奴をグレモリー家に婿入りさせていいのかを。礼儀知らずで力の強い者には簡単に尻尾を振り、立場の弱い者には傲慢であり、女性に不誠実。正直、婚姻を結ぶデメリットの方が大きいと思うんですが」

「貴様、まだいうか!!」

「何度でも言ってやるさ。お前には覚悟が全然足りない!!オレは10年間ソーナ先輩を、ソーナ・シトリーという悪魔を見てきた。姉があんなので幼い頃から次期当主の重責を背負い、自分の夢や目標や憧れを押さえつけて、悪魔の未来を憂いて挫けそうになりながらも再び立ち上がって走り出す姿を!!お前にはそういった物が一切感じられない!!三男で、フェニックスという特性にただ胡座をかいているお前に、誰かの心を動かせる物なんてない!!お前の価値なんて、先祖代々の物だけだ!!」

飛んできた炎弾をゼンリンシューターでたたき落として、ゼンリンシューターを振った勢いを乗せて顔面を蹴り飛ばす。ソファーから転がり落ちるライザーを見下す。

「口だけなんだよ、お前は。何もかもが軽い」

「そこまでです。これ以上は見過ごすことができません」

仲裁に入ったグレイフィアさんに頭を下げて部屋の隅に移動する。何を苛立ってるんだろうな、オレ。







山を駆け上がり、頂上にたどり着けば麓まで駆け下りる。麓で足に重りをつけたらまた頂上まで全力で走り抜ける。道を踏み固めれば場所を移して繰り返す。延々とそれを繰り返す。誰よりも速く、あの人を越えれる速さを求めて。元士郎もソーナ先輩も居ないから手合わせもできないし、最近はライドマッハーに乗ることが多くて自分の足で走っていなかったから鍛え直すにはちょうどいい。

気が済むまで走ったら今度は格闘のコンビネーションの精度を上げる。回転しながら連続で蹴りを主体に放ち、勢いを殺さずに少しずつ速度を上げて威力を上げていく。その次は走りながらのコンビネーション、走り抜けるコンビネーションと少しずつ負荷を上げる。それが終われば再び走る。悪魔になってから体力も速度も限界が上がった。それでも元士郎やソーナ先輩はなんとか食らいついてくる。つまり、オレの速度に付いてこれない木場は力量不足ってことだな。

大丈夫なのかよ、部長は?速度に秀でる騎士が素の兵士に速度で劣るって。しかも、同期の眷属にも負けるって。小猫ちゃんのパワーもたぶん元士郎に負けてるし、オレとどっこいどっこい位か?特に武術を齧ってるようにも見えないしな。部長も副部長も精密操作はソーナ先輩に劣るし、オレと同じぐらい、元士郎はちょっと下辺りかな?ああ、オレたち三人の劣化版だと考えればいいのか。なら、木場は鍛えてやれるな。剣はともかく、足は鍛えれる。

そう思って木場を探す。何やら素振りをしているみたいで様子を伺っていたんだが、なんだこれは?部活か何かなのか?しかも趣味の。本気で甲子園を目指している奴らの方が熱心だぞ。まさかと思い他のみんなを確認するが、予想通りだった。

「ああ~、もう、全員集合!!!!」

倍化の力で声を大きくして集合をかける。みんなが不思議そうな顔をして集まる。

「どうしたのイッセー?」

代表として部長が声をかけてきた。

「部長、ここには何の為にやってきたんですか」

「それは特訓に決まっているでしょう。今更、何を言っているの?」

「ええそうですよね、特訓です。特別訓練、略して特訓。お遊びに来てるんじゃないでしょうが!!」

「なっ!?お遊びですって!!」

「お遊びですよ!!木場、お前がさっきまでしていた特訓を見せてみろ!!」

魔剣創造で剣を作ってそれを素振りする。止まっている相手を切るように。

「それだよ、それ!!お遊びで集まってる部活じゃないんだろう!!部長の人生がかかってる、負けられない戦いだ。それに向けての特訓だ」

「そうだけど」

「じゃあなんでお前のイメージでは相手が棒立ちなんだよ!!」

そう言われてようやく皆が気がつく。

「レーティング・ゲームのフィールドがどんな場所かもわからない。それを想定して多種多様な環境がある山を選んだんじゃないんですか、部長!!」

「それは、その、使ってない別荘があって周りに迷惑がかからないから」

「木場、お前はその剣一本で戦うのか?色々な魔剣を作ってどんな相手や状況でも対応が出来るのがお前の利点なんじゃないのか?騎士は敏捷が上がるんだろう、なんで広い空間で棒立ち相手への素振りなんだ!!」

「……い、今までがそうで」

「小猫ちゃん、キミも木場と同じだ。力ももっと付けようとしているのはわかる。だけど、その力を発揮出来る技術はあるの?」

「……なんとかなってきたので」

「副部長、優雅さは戦いに必要なんですか?自分の攻撃で起こった砂埃の汚れを気にして、注意をそらして。相手を仕留め損なっていたら、どうなんですか?」

「……仰る通りで」

オカ研に入ってから募っていった苛立ちの原因がわかった。ソーナ先輩たちとの熱意の差だ。オレ達はあの人の背中を追いかけて、どうすれば少しでも早く近づけるのかを常に考え続けていた。互いに意見を交わし、試し、切磋琢磨してきた。ソーナ先輩の眷属もソーナ先輩の熱意に打たれて共に切磋琢磨してきた。その差に苛立っていたんだ。

「部長、貴女もライザーと一緒で何もかもが軽いんですよ。オレ、そんなんじゃ着いていけないですよ。オレや元士郎やソーナ先輩が目指してるものはもっと遠くにあるんですから」

「……ソーナ、ソーナって、貴方に私達の何が分かるって言うのよ!!」

「何も知りません。付き合いは短いし、腹を割って話したこともない。それで何を分かれって言うんですか!!放任主義も大概にしてください!!」

「なっ!?なら、勝手にしなさい!!」

「そうさせてもらいます。主の許可は得たんだ。はぐれ認定もされないんでね」

駄目だ、グレモリー先輩とは相性が悪すぎる。売り言葉に買い言葉。これ以上は話すだけ悪化する。荷物をまとめて長期休暇の時に使う山に向かう。あそこならキャンプ道具を置きっぱなしにしてある。公休扱いの残りも自分を鍛えられる。あと、セラフォルーさんに相談だけしとこう。オレより長生きしてるし、外交担当だったはずだから何かいい知恵がありそうだし。








「いやっほう~!!」

ライドマッハーでパーティー会場に指示通り突撃する。

「イッセー!?」
「小僧!?」

「はっはー、時間ピッタリ、ご依頼どおり、オレ、参上!!」

普段とは全く違う喋り方な上にポーズまで決めるオレに、誰の指示か察したのかソーナ先輩と元士郎が頭を抱えている。

「何をしている!!そいつを摘み出せ!!」

ライザーが衛兵に命令するが誰も動かない。なんせ、オレは魔王様方に依頼されて指示どおりに登場しただけのパフォーマーだからな。

「なぜ誰も動かない!?」

「言っただろう、ご依頼どおりってな。最初からこれは決まってることなんだよ」

ライドマッハーから降りてヘルメットとゴーグルとグローブを外す。

「私から説明しよう」

先日、セラフォルーさんから紹介されたサーゼクス様が姿を表す。

「今回のゲームが決定する前に彼はライザー君がグレモリー家の婿にするには不適格だと発言した。それに関して私の方でも調査してが、あまり否定はできないね。だが、ゲームで強さは見せてくれた。だから、ライザー君にチャンスを与えようと思ってね。僕からの刺客を倒せば、魔王公認だ。誰にも文句を言わせない」

「その刺客がオレだ。分かりやすくてシンプルだろう」

「ふん、逃げ出した奴がオレに敵うとでも思っているのか」

「主に好きにしろって言われたから。特訓の成果って奴を確認させてもらっただけだ。まあ、想像どおりの結果だったけどな。オレが居ても結果自体は変わらなかっただろうけどな。逆にオレ単騎なら負けはしない」

「たいした自信だな」

「自信?違うな、事実だ!!」

「ゲームのフィールドは既に準備できている。5分後に始めるよ」

話し終えたサーゼクス様が下がり、ソーナ先輩と元士郎が傍にやってくる。

「何をやってるんですか。ゲームに居ないと思ったら」

「いや、性格の不一致が酷過ぎてまともな手を打っていたらどうしようもないもんで。なんだかんだで、嫌いな奴との結婚なんてさせたくはなかったんで、セラフォルーさんに相談したらこんな具合に」

「セラフォルーさんに相談したのはすぐに分かったよ。あんなポーズやセリフの時点で」

「まだ、マシだぞ。マッハの方で変身後の名乗りまで指定されちまった。無論、ポーズ付きで。練習もさせられた。もうお婿にいけねぇ」

手で顔を覆い隠して泣き真似をする。あの人の奇行には慣れてるから大して恥ずかしくもないんだけどな。

「それで、どうやるつもりなんですか?」

「初っ端から紅葉おろしで行こうかと。面倒なんで」

「げぇっ、あれかよ。かわいそうに」

「あの、先輩」

上着の端を摘まれて振り返ると小猫ちゃんがそこにいた。

「どうしたの?小猫ちゃん」

「その、大丈夫なんですか?」

「ああ、余裕余裕。変に油断しない限りは大丈夫だよ。生身のままだと仕留めきれないかもしれないけど、ちゃんと準備してあるし。それは魔王様方にも確認してもらってるから。ああ、そうだ、小猫ちゃん。強くなりたいなら元士郎にメニューを組んでもらうといいぞ。小猫ちゃんと同じでパワーファイターだから。重量物で殴り飛ばすのが得意だけど、素手でもかなり強いから。小猫ちゃんのスペックアップ版が元士郎だから」

時間になったのでそれだけを告げて転移魔法陣に飛び込む。フィールドはコロシアムで、向こうは眷属も全員固まって怒気を放っている。セラフォルーさんに比べればそよ風に近いけど。オレはクラウチングスタートの構えをとって、スタートの合図を待つ。グレイフィアさんの説明が続く中、いつでも走り出す準備をする。

『それでは、試合開始』
「禁手化!!」

赤龍帝の鎧を纏うと同時に脚力を強化してまっすぐ走り、右脚の鎧を猛禽類の爪の様に変形させて飛び蹴りでライザーの顔面を掴んでその後頭部を地面で紅葉おろしにする。コロシアムの壁が近づいたところで体を持ち上げて、コロシアムの壁で全身を紅葉おろしにする。1周する頃にはほとんど炎だけになったので払い捨てる。この間1秒未満で、ライザーの眷属がソニックブームで吹き飛ばされてボロボロになる。

「ドライグ、今のタイムは?」

『0.98秒、紅葉おろしの分遅かったな。まあ、絶望へは十分なタイムだな』

「な、なにがあああぁ!?」

再生を始めたライザーの顔を踏み潰す。

「このままぷちぷち潰してればいつかはリタイアするだろう」

『一気に吹き飛ばしてやれば良いものを』

「獣のしつけには時間がかかるものだろう?礼儀も知らないんだからな」

全身を何度も踏み砕いているとようやく眷属の何人かが立ち直ってきていたので、再び走り抜けてソニックブームで吹き飛ばしておく。そのままライザーを潰す作業を再開しようと思うと、重加速が発生する。見ればライザーの女王と双子の兵士、初めて会った時に棒で殴りかかってきた奴がロイミュードの姿に、さらに言えばコウモリ野郎の様な進化した奴ばかりになる。他の奴らは重加速の影響を受けている。

「まさか悪魔の眷属にまでロイミュードが混ざっているとわな」

赤龍帝の鎧を解除してドライバーを装着する。それに合わせてソーナ先輩と元士郎もドライバーを装着してやってくる。

「武器無しか。ゼンリンシューター位持ってきてくれても良かったのに」

「お前だけに楽はさせるかよ。デッドヒート、少しは扱える様になったんだろう」

「暴走すれば止めますので、最初から全力で行ってください」

「信じてますよ」

三人でシグナルバイクとシフトカーを構えてドライバーに挿入してパネルを叩き下ろす。あ~、セラフォルーさんが見てるってことはやるしかないんだよな。

『シグナルバイクシフトカー!!ライダー!!デッドヒート!!』
『シグナルバイク!!ライダー!!チェイサー!!』
『シフトカー!!ライダー!!スピード!!』
「Let's「「変身!!」」」

変身後終わると同時に名乗りをあげる。左手で相手を指差しながら

「追跡」

右脚を軸に右回転をして右の手のひらに左の拳を叩きつけ

「撲滅」

体を左に捻り右手を掬い上げるようにあげ

「いずれも」

両手を打ち合わせて広げる

「マッハ~!!」

右腕を3回回し、右脚を今にも駆けだすようにあげ

「仮面ライダ~~」

右に重心を乗せて体を大きく開く

「マッハー!!」

左手を軽くスナップさせてから走り出す。

「「「ひとっ走り付き合あえよ!!」」なさい!!」

元士郎が元棒使いの蛇っぽいのをソーナ先輩が蝙蝠っぽい元女王を、双子の蜘蛛っぽいのをオレが担当する。バーストしないように気をつけながら普段通りの動きで双子を押していく。性能はやはり普通のロイミュードより上がっているが動きが双子の物とほとんど変わらない。そもそも何時からこいつらは本物と入れ替わっていたんだ?そもそも何処までコピーしてやがる。

「とっとと倒れやがれ!!ライザーもまだボコらなきゃならないんでな!!」

「そんなことさせない。ライザー様は私たちが守るんだ!!」

「ぽっと出のあんたなんかにライザー様を否定させない!!」

「主人を諌めることもできないただのセフレが何を言ってやがるんだよ!!ぽっと出のオレだけじゃなくてサーゼクス・ルシファー様が否定してるんだよ!!」

「切っ掛けを作ったのはあんただ!!邪魔をする仮面ライダーは倒す!!」

「私たちは至上の存在なんだ!!私たちが世界を制する!!」

こいつら、完全に元になった奴をコピーしてやがる。記憶や感情も全て。ロイミュードとしての記憶や行動原理も残ってる。厄介にも程がある。だが、今は

「お前たちはまだ罪を犯していないかもしれない。だが、ロイミュードは機械だ。ウィルスなんかで目的を統一される可能性がある。そして、またグローバルフリーズを起こされるわけにはいかない!!」

ドライバーのブーストイグナイターを4回叩き、加速する。バーストギリギリまでパワーを上げて二人が重なるように蹴り飛ばす。パネルを上げてブーストイグナイターを押してパネルを下ろす。

『ヒッサツ!!フルスロットル!!デッドヒート!!』

二人同時に決めるためにキックマッハーのように前方宙返りで威力を高める時間はない。シンプルにソーナ先輩と同じように助走をつけて飛び蹴りを叩き込む。だが、それでもデッドヒートのパワーは強大なのか、二人のボディを砕いてしまった。振り返ると元士郎はボディだけを砕いてコアを確保している。ソーナ先輩はこれからトドメを差すところだ。

『ヒッサツ!!フルスロットル!!スピード!!』
「これで終わりです!!」

「まだよ、こんな所で終わるわけにはいかない!!私たちのためにも、ライザー様のためにも!!」

元女王のロイミュードが全身から蒸気を発したかと思えば、ソーナ先輩の飛び蹴りを受け止めて弾き飛ばした。

「まさか、デッドヒートと同じなのか!?」

「イッセー、援護に入るぞ!!」

「ああ!!」

限界は近いが、それでもソーナ先輩に追撃をかけようとする元女王の前に飛び込み元士郎が後ろから飛びついて抑え込む。だが、強引にオレ達を振りほどき意味不明な言葉を叫びながらオレ達にエネルギー弾を撃ち込んでくる。

「やべえな、完全に暴走してるぞ」

「いえ、完全ではありません。私たちの暴走とは違って明らかに敵だけに襲いかかってきています。ですがボディがスペックに追いついていないみたいです。このまま攻撃をしのいで自壊を待ちましょう」

確かにこのまま放っておけば自壊は早そうだ。ガードに徹すればそこまでダメージを受けずに済むだろう。だが、オレはそれを選ばない。たぶん、ボディだけじゃなくコアまで自壊すると思うから。ライザーのために本気で命を賭けてるんだ。それに応えなければ、あの人の背中がまた遠ざかる気がしたから。

「うおおおおおおっ!!」

「イッセー!?」
「イッセー君!?」

立ち上がって走り出し、警告を無視して更にパワーを引き出す。次の瞬間、タイヤがバーストしたのを感じながら暴走しそうになる体を根性でねじ伏せて元女王のロイミュードを殴り飛ばす。結構、きつい。だが、前みたいに耐えられない訳じゃない。あの人の背中を追いかけるという気持ちが折れない限り、オレは戦える!!

「ボディだけ粉砕してやる!!お前にはそれだけの重さがある!!」

殴り飛ばした元女王がこちらに駆け出すのに合わせてどうやればボディだけを砕けるかを考える。ただの飛び蹴りでも2体のロイミュードのボディを粉砕したとなると蹴りは危険だな。となると、パンチ、それも軽いのを連打で浴びせるのが一番か。パネルを上げてブーストイグナイターを押してからパネルを下ろす。

『ヒッサツ!!フルスロットル!!デッドヒート!!』

相手のパンチをギリギリで躱し、打ち上げ打ちおろし後ろ回し蹴りで加速をつけた裏拳のコンビネーションで吹き飛ばす。ボディが完全に砕け散り、コアにもヒビが入ってしまったがなんとか終わらせることができた。重加速空間も消え去った所でイノベイドバイザーを上げて余剰エネルギーを強制排気する。全身から蒸気が上がり、メーターが急速も下がっていくのを確認し終えてから変身を解除する。

『オツカーレ』
「あ~~、しんど!!」

髪をかきあげながら地面に座り込む。元士郎とソーナ先輩が変身を解除しながらやってくる。

「無茶をして。心配をかけさせないでください」

「すいません、先輩。でも、あの元女王さんは生かすだけの価値があると思って」

「生かす価値ですか?」

「主人のために命まで懸けれるんですよ。口だけの奴よりよっぽど生きる価値がある。だから、なんとかしてやりたかった。とは言ってもコアだけになっちまってるんで研究サンプルにされるかもしれないんですよねー。色々と尋問もされるでしょ禁手化!!」「禁手化!!」

魔力が高まるのを感じて元士郎と共にソーナ先輩を庇う。元士郎も鎧型の禁手なために障壁を張らずとも十分な防御力を持っている。二人で庇えばこの程度の炎なら完全に防げる。

「しつこい野郎だな。まだ抵抗するか」

「貴様ら、ユーベルーナ達に何をした!!」

「オレ達は何もしてねえよ。見ての通り、ロイミュードに入れ替わられていただけだ。普通にロイミュードの記憶や行動原理も残ってたからな。気づこうと思えば気づいたはずだぞ。もしくはここ数日に入れ替わられていたってんならご愁傷様だ。こいつらがどうやって擬態しているのかは知らないが、擬態した以上本物は邪魔だ。消されてるぜ」

「擬態するロイミュードに関して報告を上げてありますが、知らないということは上が情報を伏せていたのでしょう。まあ、目撃者が多数増えてしまったので意味がなくなってしまいましたが。それと、ボディを失っているだけなので生きてはいますよ。ボディの修復仕方は知りませんが」

「ある意味で失態を重ねてる気がするが、仕方ないと思うぜ。擬態を解くまでさっぱり分かんねえから。まあ、それは横に置いといて、Let’s Cooking!!」

炎弾を飛ばしてきたライザーをゲーム開始時よりは優しく紅葉おろしの刑に処す。炎耐性を倍加しておけば熱くないし、疲れた体は倍加の力で自然治癒力を高めることで消耗よりも回復の方を上回らせる。先輩達がコアを回収してフィールドを離れたところで再度ゲーム開始時のスピードで紅葉おろしにして10分ほどでようやくリタイアしやがった。先輩達、どれぐらい説明してくれたかな?
 
 

 
後書き
マッハの名乗りの時のポーズ、言葉で書こうとすると難しすぎて結構適当になってます。動画を見てくれとしか言えないです。 
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