おぢばにおかえり
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第二十一話 授業中その四
「それでもあれよ。ガムをそのまま捨てるのはね」
「しないわよね」
「それは最悪ですよね」
先輩達はそういう方々ではなかったです。ほっとしました。
「やっぱりガムはちゃんと包んでゴミ箱にですよね」
「そうだけれど。ところでちっち」
「はい?」
高井先輩のお話に顔を向けました。
「ちっちってソフトクリームのコーンまで食べるの?」
「ええ、まあ」
「そうよね」
私の返事を聞いてにこりとされました。
「コーンまで食べるのが普通よね、やっぱり」
「勿体無いですから」
これはお父さんとお母さんに言われてきたことです。
「ですから最後まで食べます」
「何かちっちらしいわね」
「そうね」
私の言葉を聞いた御二人の御言葉です。
「けれどね。それって大事よね」
「そうそう、食べ物は粗末にしたら絶対に駄目だから」
「そうですよね」
先輩方がこう言って下さったので私もその通りだってなりました。食べ物は凄く大事です。私の家の教会では信者の方のお供えを頂くことも多いです。
「それを大事にしないと駄目ですよね」
「そうそう。だから私もね」
佐野先輩が笑顔で頷いてくれました。
「ちゃんと食べてるのよ」
「佐野はちょっとあれよ」
その佐野先輩に高井先輩が仰っています。
「食べ過ぎ。だから太るのよ」
「太っていないわよ」
けれどそれはすぐに先輩御自身によって否定されました。
「私は普通よ」
「普通?そうかしら」
「そういう潤ちゃんだって最近」
「私太ってないわよ」
「マスカットと桃と黍団子の食べ過ぎよ」
どれも岡山の名産です。何かそれを聞いたら岡山って美味しいものが多いです。先輩のお家はかなり大きな教会なので差し入れも多いみたいです。私の家も私にかなりお供えしてくれますけれど。
「太ってきてるじゃない」
「太ってないわよ。それを言ったら美紀だって」
長池先輩のこともお話に出ました。美人の方が三人も。
「太ってるわよ」
「美紀ちゃん太ってきてる?」
「そうじゃないの?」
お話が女の子にとってはかなりあれな方向にいっちゃってきています。けれど女の子だけで集まるとどうしてもこんなお話になってしまいます。
「佐野だって最近お菓子とかバナナばかりじゃない」
「だから私は」
「ねえちっち」
ここで私に話が来ました。
「はい?」
「私太ってないわよね」
「私もよね」
佐野先輩も高井先輩も真剣な顔で私に対して問うてきます。
「まだそこまでは」
「いっていないわよね」
「全然ですよ」
これは私の本心からの言葉です。
「何処が太ってるんですか。御二人共凄くスタイルいいですよ」
「そんなに?」
「はい」
高井先輩に対して答えます。
「いつも見ていますからわかります」
「えっ、いつもって」
「まさかちっち」
何故か先輩達の顔が急に変わります。不審げな目に。
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