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アインクラッド篇
movement Ⅰ 白き夜のクリスマスソング
女王狩り
巨大アリ、レギーナ女王の爪が恐ろしい速度で薙ぎ払われる。ブラッドクロスで受け流し、懐に入り込む。
「そいやっ、と。」
片手半剣二連撃ソードスキル《ラッシュファング》。片手で隙の小さい垂直斬りを放ち、抜けた剣を両手で保持して超高速の斬り上げに繋げる。
片手半剣カテゴリのソードスキルは、主に二つの種類に分けられる。一つは片手でも両手でも放てるもの。もう一つはスキル中に片手と両手を切り替えるものだ。《クレセント》は前者、《ラッシュファング》は後者にあたる。
『ギイィィィィィ!』
「おっと、怒んなって。」
「ふざけてないで退がって!」
慌ててバックステップすると、一秒前までいた場所に、レギーナ女王の前足があった。
「酸性液、来るわ!!」
ソラの言葉通り、口から液体が射出される。俺は片手直剣突進技《レイジスパイク》を発動させ、回避しつつ突っ込む。技後硬直の終了と同時に再び前足の爪が迫る。
「弾いて!」
「はいよ!!っと。」
ソラの指示に、ブラッドクロスを両手で握り直し、片手半剣単発技《グリッターエッジ》で、爪を迎撃する。激突音が響き、激しい火花が散る。同心円状に衝撃波が生じ、互いに弾かれる。
「スイッチ!」
「おう!」
ソラと場所を代わると彼女は鞭六連撃《アマリリス 》を発動する。
本来戦闘用の鞭とは、イメージとして浮かぶグリップに革の帯を着けたものではなく、棒に近いものらしい。しかし、ここはゲームの中だ。SAOでも長い鞭が採用されている。間合いの外から相手を一方的に攻撃できる鬼畜武器として。
「ハアァァァァ!!」
神速の連撃、俺の目でも見切れない速度であっという間に六連撃を撃ち終える。間髪入れずにスイッチ、両手剣四連撃《ライトニング》を叩き込む。一連の攻防で、既に三段HPバーの一段目を半分以上削り取っていた。
「………行けそうだな。」
連続して足を振り回すレギーナ女王。紙一重で避けつつヒットアンドアウェイを繰り返す。そして
「せりゃぁぁぁぁ!!」
片手直剣二連撃《スネークバイト》。挟み込む様に放たれた二本の斬撃が、その屈強な右前足を斬り落とした。
『ギシャァァァァァァァ!!?』
レギーナ女王の怒号が轟く。バーサーク状態だ。石臼のような顎で噛み砕こうとしてくる。ジャンプして回避し、落下の勢いを載せて強烈な踵落とし、体術スキルの単発重攻撃《瀑布》をお見舞いする。額が弱点だったようで、ヒットポイントがガリッと削れるのが見えた。しかもスタンまで起こしたらしい。
「喰らえぇぇぇ!!」
高速の片手突き、斬り上げ、大上段で両手に持ち替え、全力の斬り下ろし。片手半剣三連撃《トライメテオ》、今マスターしている片手半剣カテゴリのスキルで一番強力なものだ。銀色のライトエフェクトを纏ったブラッドクロスが、流星のごとき速度で駆ける。
「おまけよ!!」
後方からソラの声が響く、横に退くと鞭八連撃《クレマチス》が炸裂した。HPバーが再び大きく削れ、あと数ドットを残すのみだ。ここで、レギーナ女王が最後の足掻きとばかりに、左前足を過去最速で振り下ろす。その一撃を両手で放った《クレセント》で迎撃。数秒の拮抗。さらに力を込めて強引に押し込む。と、レギーナ女王の爪が折れ、そのまま足を斬り裂いた。一際甲高い叫びを上げて、レギーナ女王はポリゴン片と化して爆散した。
「うし、一丁上がりっ!と。」
「さーて待たせたな、キリト。」
「……………。」
無言で狩場に入っていくキリト。その背中を見送りつつ、傍らのソラに声を掛ける。
「アイツ、大丈夫だと思うか?」
「んーー、少なくともまだ考えて戦ってるわね。」
「なら一応安心か。無茶には変わらねーけど。」
「うん………。」
ちらと後ろを向くと、悪趣味なバンダナ巻いた知り合いのカタナ使いが、仲間を連れてこちらに向かっていた。とりあえずキリトの事はあのオッサンに任せて今日は帰るとしよう。
後書き
今回はオリジナルのスキルが大量出現しています。鞭のスキルについては花の名前で統一してますが、片手半剣は適当です。ちなみに《クレセント》は三日月、《ラッシュファング》は連撃の牙、《グリッターエッジ》は輝く刃、《トライメテオ》は三つの流星を意味しています。花の名前は連撃数=花弁の枚数で付けてます。
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