おぢばにおかえり
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第二十一話 授業中その二
「婦人会の結束って凄いよ」
「やっぱり」
「そういえば私の家も」
これは私の言葉です。私の家というか家系はそれこそ女社会そのものです。お母さんが物凄い力を持っている家なんです。
「女系ね」
「天理教はどうしても女人が強いわよね」
「そうそう」
これは少なくとも半分は占めています。女の人が。
「うちの家も」
「うちも」
「だからなんだよ」
先生は苦笑いになられました。
「男は覚えておくんだ。婦人会に逆らったら駄目だよ」
「そんなにやばいのかよ」
「何か普通に詰所で我儘言えなくなったぞ」
「クラスの女の子にもね。後で凄い後悔したりするかもな」
「私達ってそれ言われたら」
「ねえ」
少し不満に覚えました。
「まるでおっかない人みたいじゃない」
「えらい言われよう」
私もそう思います。どうしてそうなるんでしょうか。
「それはそうとだね」
「はい」
先生はここで話を変えてこられました。
「とにかく君達のマナーはいいよ」
「いっていうか普通なんじゃ?」
「そうよね」
今度は女の子達だけで言い合います。
「授業中に何か食べるなんてねえ」
「有り得ないですよ」
「そうだよ。それでいいんだよ」
それでも先生はそのことに満足しておられるみたいです。本当に過去凄いことがあったみたいです。ここまで仰るなんて思いませんでした。
「天理高校もよくなってきたよ」
「よくなってきたですか」
「そんなに昔って酷かったんだ」
「不良ってのはいないけれどね」
天理高校はそうした高校じゃないです。確かに男の子で制服を少しあれにしている子はいたりしますけれどそれでも不良のいる学校じゃないんです。特に女の子の格好は厳しいです。
「食べ物にかけてはね」
「食べ物って何か」
「そういえばうちの高校って意地汚い傾向あるのかしら」
そんな話が授業中にありました。それが終わってからもどうにもこうにもガムを食べるのにも。憚れるものを感じながらお口の中に入れながら皆と話していました。
「先生もねえ」
「何か凄いことあったみたいね」
「婦人会ってね」
その婦人会です。
「つくづく凄いのね」
「こんなに女の人が強い社会ってそんなにないんじゃ?」
「そのわりに天理高校って女の子少なくない?」
何と三対二です。あまり多くないです。
「これがわからないんだけれど」
「看護学校とかがあるからじゃないかしら」
「それかしら」
「よくわからないけれどね。天理教の学校って天理高校だけじゃないし」
天理高校の他にも親里高校や付属高校もあります。全体的に大きな学園なんです。ただ制服が違います。天理高校と親里高校は詰襟とブレザーで分かれます。
「天理高校だって一部と二部だしね」
「だからいいのかしら」
「そうじゃないかしら」
皆今一つわかっていない感じです。私もですけれど。
「それにしても。問題は」
一人が腕を組んで言ってきました。
「あれよね。マナー」
「だから授業中に何か食べるのは問題外でしょ」
「有り得ないわよ」
「しかも授業中にバナナって」
これは幾ら何でもあんまりだと思うんですけれど。
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