新オズの腹ペコタイガー
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第九幕その三
「本当に」
「そうよね」
「そうだよね、ナターシャはいい先生に出会えてね」
「幸せなのね」
「いい人に出会えたらそれだけで幸せだと思うよ」
こうも言ったハンクでした。
「それだけでね」
「悪い人に出会えるよりもずっといいわね」
「うん、そうした人と会った時は」
その時のこともです、ハンクは言いました。
「そうした人にならない様に」
「心掛けておくべきね」
「そう思うよ」
「そうよね。これは内緒だけれど」
少し小声になって言ったナターシャでした。
「私恵梨香みたいになりたいって思うことがあるの」
「恵梨香に?」
「そうなの、実はね」
ハンクにも言います。
「ああして明るく笑えたら」
「そうしたいんだ」
「私表情が硬いでしょ」
ナターシャは自分のお顔のことも言いました。
「笑うにしても」
「無表情っていうんだ」
「それが気になっているから」
「恵梨香みたいに笑えたら」
「いいんだね」
「そう思ってるの」
こうお話するのでした。
「あの娘みたいに明るく笑いたいわ」
「ナターシャの笑顔もいいと思うけれど」
「そうだね」
木樵はハンクの言葉に頷きました。
「可愛い笑顔だよ」
「そうですか?」
「うん、お人形さんみたいでね」
「ナターシャの金髪と白いお肌にはね」
ハンクはナターシャの外見からもお和します。
「クールな感じの微笑みが似合ってるよ」
「私はそうは思わないけれど」
「いや、それがいいから」
だからだというのです。
「ナターシャにとってはね」
「それが私のいいところなの」
「恵梨香は恵梨香で思っているよ」
「恵梨香も?」
「あの娘はナターシャのクールなところに憧れているよ」
「そうかしら」
「うん、この前言っていたんだ」
ハンクはナターシャに恵梨香が言っていたことをお話しました。
「これは内緒にしてと言われてなかったから言うけれど」
「そうなの」
「そう、恵梨香はナターシャのクールさに憧れているんだ」
「そして私もなの」
「恵梨香に憧れてるね」
「あの優しさにね」
「それが出ている笑顔に」
ハンクはあえてといった感じで言いました。
「憧れてるんだね」
「そうなるのかしら」
「お互いに憧れてるんだよ」
「私は恵梨香に憧れていて」
「恵梨香もナターシャに憧れているんだ」
「そうなのね」
「お互い様だよ」
ハンクは穏やかで優しい声でお話しました。
「二人はいい意味でね」
「そう思うと」
「君達はお互いにいい人に出会えたね」
「そうなるのね」
「そう思うよ、僕は」
こうお話しながら皆は先に進んでいきます。その中でオズマは皆に言いました。
「私達が目指すのは牧場よ」
「そこにですね」
「オズの国で一番のお肉があるの」
「牛肉ですね」
「どういったお肉がいいかしらって考えたけれど」
「牛肉ですか」
「ビーフカレーね」
それだというのです。
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