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ペルソナ ANOTHER

作者:平社員
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第4話 シャドウの出来方

家のドアを開けて、誰も居ないのに「ただいま~」と言ってしまう
俺ってほんとドジっ子
バッグを廊下に置いておきリビングルームへ直行してテレビをつける
ソファに座ってのへーっとするのが幸せ

「おおう、また例の神隠し事件か...世の中物騒だねぇ」

テレビの画面には見慣れた文字が並んでいる

『不可解な誘拐事件続く、神隠しか!?』

小学生レベルだな、いろいろと
っと、そういえば先輩達のところへ行かなきゃならんのだった
ソファの前の机においてある召喚機とスマホを手に取って玄関へ向かう
一応財布ももってこ!



徒歩十数分 ポロニアンモールの裏路地についた、ヤバイどうしよう
10分近く遅れてる、言い訳を考えねば...

「いや~、すいません!早退の言い訳考ぇ...」

きょーへー先輩の目付きがやばい
最後の方は気圧されて殆ど声が出なかった...好感度なんて無かったんや

「お、おい慶平、なんでそんなピリピリしてんだ?もっと仲良く行こうぜ!」

さっすが倫子先輩フォローを怠らない、いいぞー
がッ!駄目ッ!まだまだきょーへー先輩の顔つきが険しいッ!

「ケッ!行くぞ」

怖い...時間にルーズな若者を徹底的に気圧していく

「へへ...悪いね、前はあいつあんな無愛想な奴じゃなかったんだけどな」

きょーへー先輩に愛想のいい時期があったののか...

「やっぱりあいつ...まだ鈴菜の...」

鈴菜?誰だっけ
・ ・ ・ !
ああそういえば2年の女子生徒がなんか亡くなったっていう話があったな
ていうかめっちゃ暗い雰囲気だなぁ
合わせとくか...

「倫子さん...」

取り敢えず肩に手ポンッと
これが定番だよね

「へへ、後輩に慰められちゃうとはね!」

よし、狙い通りだ!
鏡の中へ入ると妙な浮遊感と共に視界がぐにゃぐにゃとネジ曲がっていく
数秒後すると、昨日も見た景色、アナザーワールドが広がる
フゥー!

「おせぇ、何してやがった」

フ、フゥー
さっすが無愛想なきょーへー先輩
キャラ立ってるぅ!

「いやぁ悪いね。大丈夫、問題ない」

まるで死亡フラグのような台詞をいいながら
頭に手あてにっこり笑う
これはイケメンの顔だァ
この戦いが、終わったら結婚しよう!と大声で叫びたくなる
いや叫ばないけど

おっと、そういえば聞かねばならんことが

「んで、今日は何を教えてくれるんですか?」

フッフッフ、このために来たのだ...これを聞かずしては帰れまい

「そうだな、時期的にも近いしな····お前最近、急に人が居なくなる“神隠し”の噂知ってるか?」

「まぁ、多少は」

多少はって言うかテレビでやってたとこだけだけどね

「家にいたのにも関わらず、忽然と姿を消す!ってやつですよね」

手を顎にあてる、気分はさながらホームズだ

「実はこのアナザーワールドにも人が住んでいてな、ここの住人は夜になるとシャドウが出てきて、家に閉じ込もっちまう。それはシャドウが怖いのと、もう一つ、シャドウとして暴れ巻くって居るのは元、ここの住人だからだ」

「···いまいち意味が···?」

三行で頼むってレベル

「ここの住人は“3つ”の条件でシャドウになっちまうんだ。
まず一つ、時がが来ると···寿命が来ると、シャドウになる。二つ目、シャドウに攻撃を受け、死んでしまったとき。三つ目、人生に絶望してしまった時。この3つだ」

つまりシャドウが住人を殺す
住人がシャドウになってまた別の住人を殺す
負の連鎖
ってことか
でも人生に絶望した時って...どういう事です?

聞こうと思った瞬間に答えが出る
読心術でも持っているのか...

「そしてここは、人の夢の中らしいんだ。つまり、ここの住人はその人が見ている夢自信であり、この場所は、人類の夢の場所なんだ。」

すまなかった、答え出てなかった
こんがらがってきた

ていうか
「それと神隠しに何の関係が?」

「あぁ、住人達がシャドウにやられると、夢を見ていた本人がこの世界に誘われ、夢の住人と共にシャドウになっちまうんだ」

つまるところ
夢を見ている人=ここの住人で
その住人が殺られると夢を見ている本人まで引きずり込まれるのか

「この世界に来ちまった奴は誰でも“ルール”が適応される。
夢を失った張本人は、夢も希望もなんも失ってこの世界が嫌になり、元の世界もきっと最悪だと自己暗示を掛け、“人生が嫌になる”こうして、第二のシャドウの完成って訳だ」

えぇーなんて豆腐メンタル

「それじゃあ一匹一匹倒していってもキリがないんじゃ...」

エンドレス地獄じゃないっすか

「その問題は大丈夫だ、大型のシャドウが何処かしらに点在している。そいつらをぶっ倒せば、この現象を少し抑えることが出来る」

倫子先輩は話の乗っ取りが得意ですな

「そして“それ”を狩るのが今日って訳だ」

おお、きょーへー先輩の乗っ取り返し
てか、顔がめっちゃイキイキしてますなぁ

「でも、場所がわかるんですか?大型シャドウの」

「ああ、大方予想は付いている」

頼もしいきょーへー先輩

20分ほど歩いたかな?
さっきから威嚇するようなうなり声が止まない
本当にいるのか...ワクワクすっぞ!

「もうそろそろかな」

倫子先輩がそうつぶやく
次の瞬間、何かが飛来しとてつもない揺れが俺らを襲う、立っているのがやっとだ
地面にヒビが入り砂煙が立つ
数秒ほど沈黙が続き
砂煙が晴れかける
すっげーこわいです、はい
相手がこちらを視認した途端に大きな唸り声を上げ砂煙を吹きとばす
うるっさ!耳ちぎれるわ!

砂煙が晴れ、目の前に居たのは...

「でかい...え、なにこれ...よくわからない...」


 
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