大統領の日常
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本編
第四十五話 復活
前書き
今回は早く投稿できた・・・。
今までずっと3人称視点で書いてきましたが、一人称視点の方が書きやすかった。なんでだろう。
ご指摘や感想お待ちしております。
西暦2115年 11月 14日
リーデント・フォン・ラーベック大将
帝都への核攻撃から8時間がたった。艦隊もようやく統制が取れてきている。
私は今旗艦ヴォルゲスティンで全艦隊の指揮を執っている。ついさきほどまで戦っていた軍の指揮官に全艦隊の指揮を任せるのはどうなのだろうか。元々は皇帝派軍に付くつもりではあったが、まさか全艦隊の指揮を任せてもらえるとは思っていなかった。
「・・・まずいな。」
私はスクリーンを見つめながらつぶやいた。
「は、何がでしょうか?」
それを聞いた参謀長のマルハウスト中将が問いかけてきた。
「はん、じゃなかったな。ロンディバルト軍が、だ。」
いかんいかん、今まで反徒や反乱軍という名前に慣れすぎてどうにもロンディバルト軍と言えない。今は彼らは味方なのだ。間違っても反徒などとは呼んではいけない。
そうだ、彼らは味方なのだ。こうして指をくわえてみるだけでは見捨てたといわれかねない。幸い敵の数は少ない。1個艦隊、いや半個艦隊で後方を襲えば簡単に殲滅できるだろう。如何に技術差があるとはいえ、殲滅できなかったとしても救援はできるはずだ。
「現在動ける艦はどのぐらいある?」
「本艦隊と半個艦隊程度であればオルトーマン艦隊から出せます。」
私がマルハウストに尋ねると、彼はすぐに答えた。
1個半艦隊か、十分な数だろう。これだけあれば包囲殲滅も可能かもしれんな。
「オルトーマン中将に再編の終わった部隊を一時こちらに割いてもらってくれ。時間が惜しい。本艦隊は先行して攻撃する。」
「ロンディバルト軍の救援、ですか。敵の後方から一撃を加え、敵が怯んだ隙に両翼を伸ばし包囲殲滅するのが得策でしょう。もしロンディバルト軍が後退しても敵はわが方の半数、十分に損害を与えられるはずです。」
マルハウストは私が考えていた通りの作戦を提案してきた。
「私も同じことを考えていた。」
「ほう、そうでしたか。」
マルハウストめ、私が同じことを考えていることを知ったうえで提案してきたな。まったく、優秀なのにたまに悪知恵を働かせてくる。
「これより、ロンディバルト軍の救援に向かう!全艦全速で敵の後方に回り込めっ!」
マルハウストはすぐに復唱して各部隊に細かい指示を下していった。
私はそれを後ろから見続けていた。
西暦2115年 11月 14日
ペルシャール・ミースト
「・・・ミラル」
・・・ん・・・なんだ・・・。
「・・・ミラルっ」
・・呼んで、いる・・?
「・・・アドミラルっ」
ドイツ語・・・ビスマルクか・・?
「アドミラルっ!!」
「・・・ビスマルク・・・。」
俺が起きるとすぐ横にはビスマルクが泣きじゃくりながらこちらを見ていた。
「アドミラル、よかった・・うっ・よかった・・。」
「ほら、泣くな。せっかくの美人が台無しだぞ?」
未だ泣き続けるビスマルクに、涙を拭きながら言った。
「アドミラル・・・私のせいで・・・。」
「ああっ、もう終わったことは気にしないっ!それに俺はちゃんと生きてるんだ。ビスマルクは何も謝らなくていいよ。」
「うぅ・・でも・・」
「でもじゃないっ。はいこの話終了、二度と掘り返すな。」
「え・・・で、でも・・・。」
なんだろう、これ永遠に終わらない気がしてきた。
そう思っているとビスマルクの後ろから声がした。
「あ、あのぉ?」
俺がビスマルクの後ろを見るとリンゴの皮を危ない手つきで剥くプリンツの姿があった。少し顔を膨らませている。
「プリンツか、もう大丈夫なのか?」
「はい、何とか、落ち着きました。あ、医療妖精さん呼んできますね。」
そういうとプリンツはリンゴとナイフを置いて駆け足で部屋を出て行った。
「ビスマルク。」
「ぐすっ、なに?」
俺が呼ぶと、ビスマルクは泣き止みつつある顔を上げた。
「今の状況を分かってる範囲で教えてくれないか?」
「わかったわ。」
「まず、アトミラールが倒れた後、核爆発が起きたわ。」
「核爆発・・?」
「ええ、貴族派による攻撃だったそうよ。」
まさか・・・まさか自国、それも首都で核を起爆させるなんてどんだけ狂ってるんだ。
「・・・死者は。」
「ざっと数えて、3000万人は超えるそうよ・・・。」
3000万人、第一次大戦の死者とほぼ同じじゃないか。たった1発の核で一大戦に匹敵する死者を出したというのか?やっぱり貴族派狂っている・・・。
「現在は残存戦力でミレーニアスとかいう軍と交戦中よ。海上では長門達と深海棲艦が貴族派の艦娘深海棲艦と戦っているわ。一応こちらが有利だそうよ。」
「ん?今ミレーニアスといったか?」
「ええ、ミレーニアス軍で間違いないそうよ。」
今まで二大国家に関与してこなかったミレーニアス王国が介入してきた?それもよりによって帝国側についたか・・・。ミレーニアス王国は超が付く技術大国だ。100年でようやく艦砲化で来たレーザーも彼らは短期間で作りだし、今では奴らの主力兵器はレーザーとビーム。砲弾など時代遅れと化している。噂ではワープ技術も持っているといわれているほどだ。加えて攻撃的で蛮族と呼ばれている。
損化奴らと今まさに戦っているのか?よくもまぁ持ちこたえているものだ。
これもビッテンフェルトやハイドリヒの指揮のおかげだろうな。
俺が考えているとドアが開く音がした。
ドアの方を向くとプリンツと妖精さん、そして専属の医師たちがいた。
俺の顔を見るや否や医師たちはうれしそうに駆け寄ってきた。
「閣下っ、お体に何か異常はございませんかっ?」
「いや、特に痛みとかはないな。」
「そうですか・・・、よかった。」
おれの言葉に安処したのか医師たちはその場にへたり込んでしまった。
プリンツの方に乗っている妖精さんが近づいてきた。
「提督、ご無事で何よりです。」
「いや、君たちの治療のおかげだよ。」
「・・・あの、提督。落ち着いて聞いていただきたいのですが・・・。」
ん?何そのやばそうな言い方。なんか問題でもあったか?
「提督を艦娘化しました。」
・・・・はい?
「それは一体どういうことかな?」
「詳しく説明しますと提督の愛銃であるデザートイーグルを艦娘でいう艤装に見立てて艦娘化処理の行いました。艦娘は修復罪で元通りになりますので、それを応用して傷を跡形もなく元通りにしました。」
「・・・つまり今の俺は艦娘と同じ体だと?」
「そういうことです。提督の艤装はデザートイーグルなので、これを所持している時は艦娘と同じぐらい身体能力が上がります。ダメージを受けても入渠すればどんな傷も治りますし、高速修復材も使えます。しかし、補給する物資は今まで通り普通の食事で問題ありません。」
「あーつまり、腕が吹き飛んでも・・・。」
「入渠すれば元通りになります。」
「体に風穴空いても?」
「元通りです。」
「頭が吹き飛んだら?」
「ヘッドショットです。死にます。」
「アッハイ」
何だろう。ビスマルクに撃ってもらってよかったかもしれない。不死身の大統領と化したってことだよな。
「大体把握した。ここってまだシヴァの艦内だよな?」
「俺が聞くと医師の一人が答えた。
「はい、シヴァの医療区画です。」
「では、とりあえず詳しい状況を確認したいから艦橋に向かおう。」
「問題ありません。どうぞ、こちらです。」
俺はベッドから出て、プリンツとビスマルクを連れて艦橋に向かった。
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