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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第41話 アナトレーの森

 
前書き
次のミッション 

 
夕闇の砂漠のネオ・アルカディア軍を迎撃し、何とか退却させることに成功したゼロ達。

ルインは残り二つのミッションのうち、アナトレーの森のエリアを選択した。

「アナトレーの森を進む。ネオ・アルカディア軍を確認…。比較的早めの迎撃が必要かと思われます。」

「迎撃をお願いしたいのですが…」

「分かった。任せて」

「了解した」

二人は司令室のトランスサーバーに乗り込んだ。

「ミッション発令…各員、転送準備にかかれ」

ジョーヌの指示で、司令室に警報が鳴り響き、転送準備が始まる。

「転送準備完了…」

「「転送!!」」

二人の声が司令室に響いたのと同時にゼロとルインの2人がアナトレーの森へと転送された。

「ゼロ…ルイン……」

アナトレーの森に転送された二人は辺りを見回す。

「何か…デュシスの森やノトスの森に似てるなあ」

「似たような場所がいくつかあっても不思議でもないだろう。行くぞ」

「うん」

Zセイバーを抜いて先に行くゼロを追い掛けるようにルインもZXセイバーを握りながらダッシュで駆け抜ける。

こちらを妨害してくるメカニロイド達を迎撃しながら先へと進み、遺跡の中に入っていく。

「あれ?行き止まり?」

遺跡の中に入ってすぐ行き止まりにぶつかった。

入り口を間違えてしまったのだろうかと首を傾げるルインだが、ゼロが壁の近くにあるスイッチを発見した。

「いや、恐らくは…」

スイッチを押すと、壁がゆっくりと動いていく。

「成る程、こういう仕組みだったんだね」

恐らくこれは対侵入者用の仕掛けなのだろう。

嫌らしい位置に配備されているメカニロイドにも視線を遣る。

メカニロイドに気を取られていると壁に潰されてしまうため、攻撃に気をつけながら先に進んだ。

同じようにスイッチを押しながら、二人は先に進むと一番厄介だったのは壁に隠れている砲台型メカニロイドだったが、出て来るタイミングさえ分かれば怖くはない。

メカニロイドが出て来た瞬間に潰し、スイッチを押して壁を移動させ、着々と奥へと進んでいく。

基本的に内部構造がデュシスとノトスの遺跡に似ていたから助かった。

床に敷かれた鋭利なトゲに気をつけながら、二人は奥にあるシャッターを抉じ開けた。

そこは巨大なブロックが敷き詰められた部屋であり、その部屋の真ん中にいるのは、白い猿を思わせるレプリロイド。

ルインは即座にHXアーマーに換装し、ハヌマシーンRの解析をした。

「(ハヌマシーンR…元々は斬影軍団に所属する特殊工作員。属性は炎属性。ならHXアーマーのままでいいね)」

ハヌマシーンRの解析が終了し、HXアーマーの状態をそのままにダブルセイバーを構えた。

「一度は朽ちたこの体…命を与えて下さったバイル様のため…今再び!あなたの首級、頂きに参りました!いざ…尋常に、勝負!!」

棍を構えながら、こちらを見据えるハヌマシーンR。

ゼロとルインも同時にセイバーを構えるのと同時にハヌマシーンRが全身に炎を纏いながら体当たりを仕掛けてくる。

以前戦った時よりも体当たりの速度が速いが、避けられない訳ではない。

ゼロとルインはハヌマシーンRの体当たりを避けると、壁にぶつかったかと思った瞬間、バウンドしてあちこちを跳ね回る。

途中でぶつかったブロックが破壊され、その破片にが当たったことでルインは体勢を崩してしまう。

「隙あり!!」

「うっ!?」

体当たりをまともに喰らったルインはブロックに叩きつけられた。

しかしハヌマシーンRが全身の炎を消した瞬間、ゼロがセイバーを構えて突撃していた。

「はあっ!!」

「うぐっ!!?」

電気属性のチャージセイバーを喰らったハヌマシーンRは感電するが、何とか体勢を立て直したハヌマシーンRはハヌマシーンRに酷似した小型メカニロイド達を繰り出した。

「ちっ!光幻刃!!」

チルドレ・イナラビッタのDNAデータを解析して編み出した技で破壊を試みようとしたが、あれはアイスのボディチップを使わないと、攻撃範囲、射程が減少してしまう。

だから光幻刃を繰り出してメカニロイド達を破壊した。

「はああっ!テイルファイア!!」

高速回転しながら、尻尾の炎を撒き散らす。

咄嗟にゼロはシールドブーメランで受け止めるが、威力が以前より跳ね上がっており、いくらか後退させられた。

「行け、プラズマビット!!」

ブロックの上に着地する瞬間を突いて電撃弾を喰らわせると、電撃弾をまともに喰らったハヌマシーンRは仰け反る。

ゼロはリコイルロッドを構え、ダッシュで距離を詰めた。

「サウザンドスラッシュ!!」

電気属性の攻撃を受けて硬直しているハヌマシーンRにリコイルロッドの連撃を叩き込んだ。

それによっていくらか後退するハヌマシーンR。

「とうっ!!」

全身に炎を纏って再び体当たりを繰り出し、壁から縦横無尽に跳ね回る。

しかし今回は先程とは違い、ブロックの数が少ないためにかわしやすくなっている。

ブロックに真正面からぶつかり、ぶつかった反動で空中で硬直したのを見てチャージしていたセイバーを振るった。

「今だ!プラズマサイクロン!!」

硬直したハヌマシーンRに電磁竜巻を繰り出した。

「キキィイイイイイ!?」

電磁竜巻を喰らったハヌマシーンRは、ズタズタにされ、全身に走り続ける激痛に絶叫した。

「ゼロ、とどめだよ!!」

「落砕牙!!」

壁蹴りからのジャンプでハヌマシーンRの真上を取ると、雷を纏ったセイバーを下に構え、電磁竜巻が消えた直後にそのまま落下して串刺しにした。

「お…お見事…!ですが…最後に悪が滅びるは世の常…!真の勝者は歴史が決めること…!滅びよ…古き破壊神…!!」

風穴から炎が吹き出し、ハヌマシーンRの全身が炎に包まれ、少しの間を置いて爆散した。

「終わったね…ミッション終了。転送して下さい」

『了解、転送します。』

転送の光に包まれた二人はレジスタンスベースに転送されたのであった。

「転送終了まで…2…1…転送!!」

ゼロとルインが司令室のトランスサーバーに出現した。

「お疲れ様でした」

ゼロとルインがトランスサーバーから出ると、シエルが駆け寄ってくる。

「ありがとう…二人共…リーダーを失って、このエリアのネオ・アルカディアは退却したみたい…。本当にありがとう…」

安堵の笑みを浮かべながらシエルはゼロとルインに感謝の言葉を伝える。

残るエリアは一つだけだ。

ルインに言われたことと、元々生真面目な性格なこともあり、大人しくメンテナンスルームのメンテナンスベッドに横になっていたハルピュイアだが、自分に注がれている視線にとうとう口を開いた。

「何の用だ?」

ハルピュイアを無言で見つめていたのはアルエットであった。

「あ…えっと…ルインお姉ちゃんにハルピュイアが無理しないように見張っててって……痛いとこ…ある?」

今までのハルピュイアは四天王という立場もあって怖いイメージが拭えなかったが、ルインとの会話を直接見たこともあってアルエットの警戒心も大分薄れていた。

「あの方か……体に異常があれば自分で言う。俺の体のことは俺自身が一番良く分かっている」

オリジナルのエックスも心配性なところがあったが、ルインもまた心配性のようだ。

「うん…。あ、ハルピュイア、飴食べる?美味しいよ?」

「飴?」

「うん」

ハルピュイアのメンテナンスベッドの傍にセロハンに包まれた飴玉が置かれた。

セロハンの中身は緑色の飴玉で、アルエットのチョイスである。

「飴とは確か、人間が摂取する甘味物のはずだが?」

レプリロイドの自分にまさか人間の菓子を渡してくるとは思いも寄らなかったハルピュイアは飴玉を掌に乗せながら尋ねた。

普段のハルピュイアなら突っぱねそうな物だが、今回ばかりは疑問がハルピュイアのプライドを上回ったのかもしれない。

「うん。でもルインお姉ちゃんやゼロも食べてるよ?エックスも昔はルインお姉ちゃんが作ったお菓子を食べていたんだって」

「エックス様もだと?」

それは初耳だ。

レプリロイドは食物の摂取が出来ないのは常識だったので、その常識を覆すような食物の摂取が出来る自身の主やルイン達に驚く。

「ハルピュイアはエックスとルインお姉ちゃんの子供なんでしょ?食べられるんじゃないかな?」

「…………」

ハルピュイアは飴玉をジッと見つめる。

レプリロイドには人間と同じ食べ物を食べる能力はない。

いや、正確には現在のレプリロイドはと言った方が正しいが。

度重なる争乱で、食料の確保が難しくなってしまい、レプリロイドにそんな機能を付けるくらいなら性能を向上するために食物摂取機能を取っ払ってしまったのだ。

今のレプリロイドに出来るのは経口摂取したエネルギーを内部のエネルギータンクに溜めることぐらいである。

そう、飽くまでも溜めるだけ。

いや、アルエットの言う通り、主のエックスが食べられたのならエックスを基にして、体の内部構造が殆ど同じである自分なら味を感じたりは出来るかもしれないが、これを食べて体に異常が起きたりしたらとんだ大恥をかくことになる。

断ろうとアルエットに飴玉を返そうとした時。

「…………」

期待の眼差しで自身を見つめるアルエットの姿があった。

あまりにも純粋なそれにより、ハルピュイアの手が引っ込む。

もし飴玉を返してしまえばアルエットが泣いてしまうのは間違いないし、アルエットを泣かせてしまえばルインも怒るに違いない。

一応ハルピュイアには子供を泣かせる趣味はないため、渋々飴玉を口に入れた。

「………ん?」

口の中に広がる今まで感じた事のない感覚を覚えつつ、無意識にハルピュイアは今まで知識としてはあっても今日まで縁がなかった言葉を呟く。

「美味い…」

飴玉はどうやらマスカット味のようで、程良い酸味と甘味が口の中に広がる。

「本当?」

「ああ」

すぐさま内部機関を分析してみた結果、物を食べられるどころか、食べた物の栄養をエネルギーに変換している事に気付いてかなり驚いた。

今まで、自分はネオ・アルカディアの食生活については人間の議員に任せていたが、かつてネオ・アルカディアの統治者であったエックスの補佐として、統治者代行として人間の食生活についてもっと考えるべきだっただろうかと一人思考するのだった。 
 

 
後書き
この小説ではエックス、ゼロ、ルインの旧世代とハルピュイア達四天王は最初から食物摂取が可能の設定。
因みにコピーエックスは食物摂取不可です。
外見はエックスだけど中身は最新技術の塊だから。

 
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