Joy Boy
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序章
海賊という概念は、彼の生まれる前から存在していた。
世界中が海に囲まれて、様々な島が点在するようになったころに彼は生まれ、同時に島国同士の貿易船などから金品、女子どもを奪う輩の存在も聞かされていた。
ただ、彼らの一族はそんなものにあまり興味は見せない。大事とすることは、みんなが楽しく、自由に過ごせることであった。
ジル・ランド。彼も一族の1人として、海に大きな災いが起こらないよう今日も小さな船を出していた。その途中で出会った一人の家族からその称号を譲り受けるまでは、まだ彼は一族のおきてに従うだけの無垢な少年であったのだ。
ジル・D・ランド。
今日まで、自由を胸に掲げてきた一団、「ジョイボーイ」を率いてきた男。
海軍元帥の座を経て、海の自由を求め、かつ彼自身も自由をこよなく愛する。
そこには、海賊、海軍、市民、世界貴族の境界線は存在しない。誰かの自由を大きく妨げていると自覚しているものは彼にあってはならない。
目をつけられでもしたら、たとえ海賊と海軍が手を組んだとしても彼らを止められないだろう。
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