少年少女
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第五話
65層 主街地
「プレイヤー、少ないわね・・・」
65層に着くなり、辺りを見回してシノンが呟く。本来、西洋の山の中の街、といった様子の綺麗な街であり、プレイヤーもそこそこ賑わっていた階層であったが、今はその綺麗な街並みが不気味に思えるほど、静まり返っていた。
「今はどの階層でも外に出てる人は少ないって話だ。」
「そのようだな。それじゃ、キリト、シノン、行こうか。」
俺たちは主街地を離れ、ネクロマンサーが待ち構える古城へと向かう事にした。
途中でクエスト発生元の村による必要があるが、それを考えても一時間少しの距離だ。
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私がSAOに迷い混んでから二ヶ月と少し。
何とか生きている。
今、SAOを騒がせている【死霊事件】。その解決に私は向かっている。私には、SAOで知り合いと呼べる人は、ジンガとキリトしかいないから、最適だと思う。
そんな事を考えていると私たちはフィールドに出た。
「フィールドに出たら死霊がたくさん彷徨いているものだと思ったけど・・・?」
少なくとも私たちの立ち位置からは死霊は見当たらない。
「全階層にバラけて出現しているからじゃないかな。それに、ロストしたプレイヤーが全て復元されている訳じゃないかも。」
キリトの言葉、後半は願望のように聞こえる。
「だろうな。恐らく、同じ容姿の死霊はダブらないようになっているのだろう。」
成る程ね。
私たちはフィールドを古城の方へ進んでいく。
途中の村でクエストを受け、通常モンスターと戦いながら暫く進んで行くと、キリトが何かを発見したようだった。
「あれは・・・死霊か?」
キリトが見ている方に私たちも目を向ける。すると、キリトが再び口を開ける。
「・・・行こう、あいつ、見たことある。確か、初期のボス攻略で一緒だった奴だ。」
悔しそうな顔。きっと倒されてしまったのだろう。
「その反応から見るに、その人は・・・」
ジンガが問う。
「・・・」
キリトは沈黙で答える。
「すまん。」
察しなさいよ。というか、キリトの言葉で分かるでしょ。
「行きましょう。」
私たちは歩を進めていく。
途中、何度か死霊と思わしき人物をやり過ごしながら、私たちは古城へとたどり着いた。
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「ここがクエストの目的地だな。二人とも、準備は良いか?」
古城の扉の前で振り返ったキリトが問う。
この城は、城というか、大きい屋敷?何というか、それほど広くなさそうに見受けられる。
「俺は準備万端だ。」
そう言いながら、俺は左腰に差してある刀の柄を左手で逆手に軽く握る。
こいつで幾匹の敵を斬ってきただろうか。
ボスへのラストアタックボーナスで手に入れた刀だ。当然レア物であり、能力値は高い。
「私もOKよ。」
シノンは弓を左手に持ち、そう言った。シノンが弓を手に入れてから、いや、弓スキルを覚えたからか?NPCの店に弓が並ぶようになったし、鍛冶で弓が作れるようになったと聞いた。という事は、今後は弓を使うプレイヤーも増えるかもしれない。
「よし、行くぞ!」
意気込みながら、キリトは扉を開け、俺たちは中へと入っていった。
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