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戦国異伝

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第二百四十話 果心居士その七

「何処かでな」
「ではそうさせてもらいます、して」
 果心居士は信長と話してだ、そしてだった。
 弟子である飛騨者達に顔を向けてだ、こう言ったのだった。
「泰平の世を楽しむことじゃ」
「ああ、そうさせてもらうぜ」
 煉獄が飛騨者を代表して果心居士に応えた。
「戦の後でな」
「誰も死んではならぬぞ」
「誰が死ぬかよ」
 煉獄は笑って師に返した。
「わし等全員生きてな」
「そしてじゃな」
「泰平を心よくまで楽しむぜ」
 是非だ、そうするというのだ。
「これからな」
「そういうことでな」
「お師匠さんも元気でな」
「死ぬまで生きてやるわ」
 果心居士は笑って煉獄に返した。
「ずっとな」
「死ぬまでか」
「そうじゃ、何時死ぬかわからぬが」
「あと百年後か」
「百年か二百年かわからぬが」
 それでもというのだ。
「死ぬまで生きてやるからな」
「そうか、じゃあ精々生きろ」
「御主達もな」
 果心居士は煉獄の言葉に笑って応えてだ、そしてだった。
 彼は煙の様に消えた、その後でだ。
 信長は笑ってだ、こう言ったのだった。
「よい師を持ったな」
「見ての通りな」 
 煉獄は信長にも笑って応えた。
「ふざけた師匠だぜ」
「そうか、ではそのお師匠殿の言う通りじゃ」
「わし等は魔界衆と戦ってか」
「勝って生きよ」
 こう飛騨者達に言うのだった、煉獄だけでなく。
「よいな」
「そのつもりだぜ、とにかくな」
「すぐに呪文を書いた旗を作ってじゃ」
「そしてだな」
「魔界衆の者達の妖術を破り」
 そしてというのだ。
「勝つ」
「では上様」
 早速だった、平手が信長に言って来た。
「旗を作りはじめましょう」
「無地の生地はあるな」
「それぞれの軍勢に幾らでも」
「そこに書いていくのじゃ」
「そのままで」
「そうじゃ、時間はない」
 魔界衆の者達が何時攻めて来るかわからないからだ、それでだ。
「すぐに書いていくぞ」
「では」
「魔界衆は何処に出るかわからぬが」
 何時出て来るかわからないだけでなく、というのだ。
「その出て来たところにじゃ」
「兵を向けて」
「そして勝つ、妖術を破ってな」
「そうしましょう」
 こうしたことを話してだった、天下の軍勢はすぐにだった。無地の旗にそれぞれ果心居士が教えてくれた呪文を書いていった。
 その呪文を見てだ、幻庵は氏康に言った。
「殿、この文字は」
「確かじゃな」
「はい、拙僧は南蛮の文字はまだよく知りませぬが」
「それでもか」
「他の文字はです」
 その文字で書かれた呪文はというのだ。 
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