歌集｢春雪花｣

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　夜も更けて

　　月も隠れし

　　　暗闇に

　水音聞かば

　　　　雨と思へし

　真夜中…寒い部屋の中で静かに過ごしていると､外から水の滴る音が聞こえてくる…｡

　窓を通して見る景色は暗闇だけ…｡雲に月も隠れ､何も見えない…｡

　彼は今､どうしているか…なんて､考えてもどうしようもないと思いつつ､響く水音を聞いて…あぁ､雨なのだなと思った…｡

　祈れども

　　天に届かず

　　　　君なくば

　望むも虚し

　　　　　朝なりけり

　どんなに祈ろうが…私の願いは天に届くことはない…｡

　この世界に奇蹟など起こらない…疾うに知っていることを､再確認するだけだ…｡

　それでも…彼がいない私の世界では､未来を望んでも虚しいばかりで…｡

　それでも夜は明けて朝はくるもの…｡未来永劫変わらない…｡

　ほんとに…何て虚しい世界だろう…｡

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