殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
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8話 重ねて作る罪悪(シン)
矢渕カリヒは僕の名前だ。
3歳の頃、お母さんに聞かされた僕誕生のストーリーと、奴隷になった経緯を話そうと思う。これは僕が持っているお母さんに関する記憶のすべてだ。
お母さんは風俗店で働く有名で人気の高い風俗嬢だったらしい。
その彼女は初めて男の人に恋をした。
その男性には妻子がいて、いくらお母さんの容姿が優れていても、風俗嬢という悪行が蜷局を巻きお母さんを締め付け身動きをとれなくしている。
お母さんは何としても切欠を作り男性に声をかけた。
お母さんの口調を思い出すたびに、その時、男性はお母さんに惹かれていったのかもと思わせるほどであった。
ある日、お母さんは勇気を出して、という言い方は少し子供っぽいか。お母さんは漠然と、不倫でもいいから交際をしてくれと言った。
もちろん当時男性は断ったらしい。それがお母さんの恋情を強くした。
3年経った頃。どうやらお母さんとお父さんが無事婚姻を果たせた。
理由、いや、原因は2つだ。
1つは男性の息子が、虐めにより自殺を測った。2度も止めたのだが、3度目の正直でとうとう最後は止めることができず、見殺しにしてしまったのだ。
もう1つは男性の奥さんの浮気だ。男性も、奥さんも息子を失ったショックで互いのことをしっかり考えられなくなり、慰めを求めた。その結果、奥さんが別の男性に頼った。
しばらくして、お母さんは男性との間に僕を孕んだ。今までに妊娠することは何度もあったが出産は初めてだったという。そして僕が3歳になったころ。お父さんは浮気を始めた。その頃によくお父さんとお母さんが出会った切欠を聞かされるようになる。
お父さんの浮気は更にエスカレートしてきた。僕がいても浮気相手である女性を家に連れてくるのだ。
お母さんはお父さんの浮気のことを知っていた。しかし、お母さんも悪行に縛られ何も言い出せなくなっていた。
それと同時期にお母さんは妊娠した。それはお父さんとの子ではない。お客さんだったと本人は言っていた。
僕は3年間、ずっと妹であるリナの世話をした。そのため、リナは僕だけに懐いた。僕はリナを愛した。リナは僕を愛した。
ある日突然お父さんはリナを殴った。
お母さん曰く投資に失敗して借金を抱えたと言っていたか?殴られたリナを僕は庇った。お父さんは僕が庇うと殴るのをやめた。
それが毎日だった。僕はいつもリナと一緒にいた。その頃、僕が小学校に上がった時、リナは誰が面倒を見るのだろうと心底不安になった。それは幼いながらとかいう生易しい物なんかではない。今でもはっきりその不安が思い出せる程に。
学校をサボろうか、リナを学校に連れて行こうか。僕が家に出たら、仕事をやめて家にずっといるお父さんに殴られるに決っている。
そんな不安が消える事件が起こった。
お父さんが洗濯物と一緒に日干しされて、大便をダラダラと垂らしていた。
僕はその時、多分、悔しかったと思う。なんでだろう。自分で手にかけたかった?いいや。今みたいな殺戮衝動が生まれたのはその後からだ。でも何か違う気がした。
お母さんと僕とリナ。この3人に多大な借金を残して勝手に逝った。
“一難去ってまた一難”
僕の嫌いな言葉の内の1つだ。
お母さんは借金に困り果て、僕を奴隷オークションに出した。
僕は当時6歳というとしながら一般の成人男性と同じくらい力が強く、高値で取引された。
今思えば、リーナという名をつけたのはリナにかなりの未練が残っていたからなのだろう。
だから僕はリーナを女の子として見れていないのかもしれない。しかし、“もう1人”はしっかりリーナを愛してくれている。バランスは取れているのか。
工場では鉛を溶かして流しこむ作業が流れるように行われていた。
メリラはそれを見て、自分たちの拠点にできそうだと思った。
作っているのはM16用のNATO弾だった。
メリラは説明書をあさる。
「なるほど。どうやら銃本体は作られていないのね」
するとミカエルが隠れながら製造場所に入ってきた。
「あれ?メリラさん?」
「ああ。ミカエル。敵は粗方片付いたようね。良かったわ。銃はあまり得意そうじゃなかったから正直心配だったの」
ミカエルに対し、メリラは思ってもいないことをべらべら話す。
「そうですね。スニーキングだけならすぐにこっちに来られたんですが、近距離銃撃戦では専門外なので30分もかかりましたよ」
彼女は皮肉で返す。
「お待たせしました」
気の抜けるような声でアーシャは靴音を立てて2人に近づく。
「アーシャさん。まだ中に敵がいたらどうするんですか?足音は立てない。しっかり周りを見てからエリアに侵入する!これは鉄則です。訓練で教えたじゃないですか」
「え?だってメリラさんと楽しそうに会話していたじゃないですか?」
「だからって気を抜いては行けませんここは敵基地です!」
ミカエルは真面目な対応で叱る。
「まあまあ。一応この中物色したけど、敵はもういないわよ」
「そうですが…」
歯切れ悪くミカエルは返答する。メリラは先ほど漁って手に入れた資料を見せ、
「まあ落ち着きなさいな」
宥めた。
彼女ら3人は同い年。ミカエルは少し大人っぽく見える上に、年齢も知らないリーナとアーシャは何故かしら敬語なのだ。
「これを見る限り、ここでは銃の製造はかなり前から行われていないの」
「え?」
「つまり弾薬だけが製造されているってことですか?」
アーシャとミカエルはそれぞれ反応を見せる。
「そうなの。弾だけ持ち運ぶって言う面倒なことはしたくないから、ここをSRAの拠点にしようって思ってね」
メリラは以前まで、カリヒに恐怖を覚えていた。しかし、今回の戦いで吹っ切れたおかげで、しっかり会話やジョークができている。
「さて、ここで質問です。私達はカリヒさんに嘘をついてここまでやって来ました。さて、この場所をカリヒさんに伏せて私達が勝手に利用するか、カリヒさんに怒られる覚悟でここを共有するか。どうする?」
メリラの大人びた対応に2人は目を見合わせた。
「共有するに決っているじゃないですか」
ミカエルはいつもより落ち着いた口調で唱える。
「どうせカリヒさんは私達の行動を気づいていますよ」
「そうですね」
アーシャはミカエルに同意した。
メリラは仕方ないとつぶやき、無線でリーナに連絡した。
「こちらメリラ。リーナさん。応答してください」
『こちらウィッチ。無線が横入りされるかもしれないから、基本的に本名は伏せてね』
「すみません。えっと、こちらバンシー」
メリラは焦って訂正する。
「ナンバー3を買収。このまま占拠します」
暗号を言うメリラ。それに対し、リーナが応える。
『エンジェルに変わって』
「はい。こちらはエンジェル」
リーナはミカエルを指名する。
「ご用件をお願いします」
『鳩が家入ってきたからしばらく動けないわ。だから3日ほど工事する準備をして』
直訳すると、警察が巡回をしているためリーナは車を動かせない。最低で3日、その場で暮らせる準備をしてとリーナは説明した。
「わかりました」
彼女たちに7ドルと、缶詰を10個持たせたため、3日は軽く生活できるだろう。それに工場内に何か金目の物があったらそれ以上居座れる。それを考えたリーナは最低日数を指定する。
『じゃあご武運を』
「はい」
僕は座席を倒した状態で目を覚ました。
「おはようございます。カリヒさん」
「ああ。おはよう」
僕が寝ている隣の座席からリーナは声をかけてくれた。僕はリーナに挨拶を返し、ファイルを取った。
「ねえ。この、廃工場に3人は向かったの?」
それをリーナに指さし、聞いた。
「よくわかりましたね。あの子たちは隠すつもりでしたけど。どれを見てわかりました?」
「そうだね。ここからリクライニングを倒すと、ケースが丸見えなんだよ。その中で、M16とアーシャのライフルが消えている。寝る前に気づいていたけど、突っ込むのがだるいからあえて言わなかった」
「そうですか…」
リーナは目を落とした。
「今から車を出せる?」
僕はスコーピオンのスーツケースとレミトンのスーツケースに手を伸ばしてこちらへ近づける。
「無理です。警察がここに来ていますから」
「そっか。じゃあ歩いてここまで行こう」
僕は一戸建ての別荘を指定した。
この別荘はどうやらISがアメリカの第二拠点として展開しているものらしい。なかなか難易度が高いが、ここを制圧すればワゴンよりも大きなトラックと大量の武器を手に入れることができ、尚且つ、1つの障害を消すことができる。
「なかなか距離がありますね」
「タクシー使う?」
「そうしましょう」
僕達はその別荘で直接タクシーを降りた。付近に店らしい店は無く、ここ一体は道路しかない。
タクシーを見送った後、僕はケースからM16を出す。
リーナはショットガンと以前購入したトカレフを取り出し、ハンドガンホルダーにトカレフを入れ、ショットガンを脇に挟め装備した。
「じゃあ、行くよ」
「はい」
作戦は行く前に話し合った。
リーナが先行し、僕が後ろから援護射撃を行う。
普通逆じゃないかって?そんなことはない。彼女は基本、ショットガンしか使わない。彼女は優しい性格であるが、それとは裏腹に、多少強引で、かなり大雑把なところがあり、武器選びにもそういった特徴が出てくる。
門をくぐり抜けると、早速警報が鳴った。
情報通り。
僕とリーナは一旦、門の外に出て、僕は右、リーナは左の塀に背中をつけて待機した。敵は10人弱、リーナは3発、散弾を撃ち、4人に致命傷、残りに軽いけがを追わせた。僕は残りの敵にM16を撃ち放った。
敵は全員M16を持っていた。4人の敵のM16からマガジンを抜き取り、僕はホルダーに詰め込む。
「これで、弾薬は確保出来た」
僕らはそのまま、中に強襲した。
中は生活感のあふれる家に似ていて、先ほどの敵がどこに収納されていたのか疑問に思うほど狭かった。
入り口を開くと、階段が見え、1階からでも十分に2階を見渡せた。
「リーナは2階の捜索を頼む。僕は1階だ」
と言うと、リーナはわかりましたと頷いた。
「早めに片付けてすぐに2階に行く」
リーナは頷き、階段を軽い足取りで駆け上がった。
僕は1階をくまなく創作する。
僕が入った部屋はセキュリティ管理室。
10人ならば軽く詰め込めるほど広かった。そしてまだ敵が沢山いて、僕を待ち構えていた。
先ほど手際よく入り口を制圧した為、彼らは過剰にバリケードまで作っていた。
僕はとりあえず外に出て、ドアの開く反対方向の壁に背中を付けた。
そして敵は入り口に銃を乱射し、僕は敵の出方を待つ。そして2人の敵が外に出てきた。僕は1人の首を狙って弾を打ち込み、もう1人の敵の腹には5発の鉛弾を流し込む。
そして、1人の肉を盾にして、1層目のバリケードを制圧。そこでしばらく敵の攻撃が止むのを待ち、2層目の敵の1人目の頭を撃ちぬく。敵は焦りを見せたのか、叫び声を上げながらこちらに銃を乱射して突っ込んできた。僕は右側に銃を出し、敵の足を打つ。すると勢いで倒れた。僕はすかさず敵の脳天に4発の銃を打ち込みバリケードに隠れ、マガジンを交換する。
そのリーナは2階を探索していた。2階には全く人の影も形もないと思っていたのだが、司令室のような場所を見つけ、彼女はそこに手をかけた。リーナはすぐさま体制を低くした。
原因となる鉛弾が扉を壊したのだ。
リーナはすぐに体を屈ませ、扉の隣の壁に寄りかかった。彼女は敵をしっかり理解したのだ。敵は自分より強いと。
「アメリカはこんなにかわいい犬を飼っているのか?」
中から男の声が響く。
その男はリーナの気配を察知してガトリングを撃ったのだ。
リーナの姿は見えていないはずなのに、あたかも見たかのように、容姿を評価した。
「私はアメリカ軍ではありません」
リーナは落ち着いて答えた。勿論姿は見せずに。
「一体どこの軍だ?まさかSRAじゃないだろうな?」
「ええ。SRAです」
リーナは笑いをこらえて聞き返した。
「へぇ?何人で攻めてきたんだ?音を聞く限りではこちらが押されているな」
「それだけで把握するんですね。すごいです。まあ、音から推察はできないと思いますが、私と、私の彼の2人でデートしに来ました」
「デートにしては危険だし、単独行動が多いな」
「デート気分は私だけです」
すると男は交渉に出た。
「なあ。嬢ちゃん。もう実力差は目に見えているんだ」
男は続けた。
「このまま交戦をしたら、武器だけじゃなく、身体能力が影響してお前は死ぬことになるぞ?まぁ。そうなる前に身分をわきまえて投降するのはどうだ?俺は無駄な血を流したくない主義なんでな」
リーナは噴き出る笑いを止めることはできなかった。
「お断りします」
そしてリーナは銃口を向け、弾をばら撒く。敵はすぐに回避した。リーナはショットガンを連射して敵に攻撃の隙を与えなかった。
僕はは1階のセキュリティルームの敵を全滅させて、すぐに2階へ上がった。
兎に角リーナが心配だ。
まだ銃撃戦の音が聞こえる。ショットガンの発砲音にガトリングの連射音。それぞれが交互に流れるため、まだリーナが死んでいないことは把握できる。
そして敵のガトリングを連射する男を目視できた。その男と僕は目があった。
僕はその男の腕に銃を乱射してガトリングを撃てなくした。
「あああああ!」
僕はその男にゆったり歩いて近づく。するとリーナがこちらへ来て銃を構えた。
「カリヒさん?」
「リーナ。無事だったか」
察するに、リーナが逃げて、この男が追う形の戦闘を行っていたのだろう。
僕は叫び声を上げる男を12時の方向と置き換えて、左足を10時の方向にだし、腰をひねり、遅れ足で右足を振るう。首にミドルキックを食らわし、壁に叩きつけて、動けなくする。
「リーナ。ここにある車で、一番大きいやつを持って行くよ」
僕らは大きなトラックを盗み、先ほどの男を縛り上げ、トランクに詰め込む。
「リーナ。ワゴンにおいてきた荷物は何?」
「缶詰だけです」
「良かった」
運転中のリーナと助手席に座る僕。
「金銭をおいてきたとか言われたらどうしようか悩んだよ」
「もし置いてきても問題ありませんでしたよ。さっき盗んだ金額は5万ドルですから」
「そっか」
「基本的に、テロリストの人たちは銀行とか言う信用出来ないものを利用しませんからね。ゲンナマで管理するんです」
カーブを切り、応えるリーナ。そして煙が出ている工場に連れて行かれた。
「ここです」
リーナは車を止めた。
「こちらウィッチ。応答願います」
リーナはは無線をつけた。
「ウィッチ?」
「私のコードネームです。魔女からとっています」
「へぇ」
『こちらエンジェル。要件を』
「新車を確保しました。現場です」
すると扉が開き、ミカエルが出てきた。
なるほど。ミカエルは大天使からとったのか。
「お疲れ様です」
子供らしい笑顔で僕に応えてくれた。
僕とリーナは中に入る。煙の原因は死体を燃やしていたのか。
「えっと。大変申し訳ありませんでした」
ミカエルは案内しながらしぶしぶ言葉をつぶやく。
「何が?」
僕は首を傾げる。
「勝手にここを制圧しました。単独での行動は以後気をつけます」
「いや。今後このチームで動こう。効率重視だ。無線で会話して制圧状況を確認し合おう」
僕ら5人は工場内で落ち合う。
「本当にこのメンバーですか?」
アーシャは不安そうな顔を見せた。
「どういう意味ですか?」
ミカエルはそれに対し、不満そうに答えた。
「いえ。アタシ、実戦経験が多分この中で一番少ないんですよ。そんなこともあって、以前までカリヒさんと白兵のペアを組まされていて」
「アーシャ。今の君は立派だ。いつまでも新兵気分でいるのは僕は納得出来ない。もし本当に心配で命の危機を感じるようであればそりゃ編成は考えるけど、僕らは5人しかいない。戦力のバランスを考えればこれが的確だよ」
僕はアーシャに指摘する。
「命の危険は感じませんよ。だってミカエルさんもメリラさんも強いですもん」
「いつまでたっても君は悲観的だな。自身を持ちな。僕の命中精度が上がったのは君のおかげなんだよ」
それを聞いたアーシャは顔を赤くした。
「そうですか?」
載せられやすい性格だな。
それはそれで問題があるけど、まあ、悲観的でいるよりかわ確実に楽だ。
「あ、いい忘れていた。捕虜を確保した」
「へ?」
「すごい!」
「でも必要あります?」
メリラ、アーシャ、ミカエルはそれぞれ反応を示す。
「その捕虜を利用して武器の補充や金銭の確保をしたい。まぁ、1人の命でどうにかなる問題でもないか」
「そうですが、早めにその人を処理しないと危険じゃないですか?」
ミカエルは人間をもののように扱う。別に悪いとは思わないが、デメリットだけを考え口走っているようにも思われる。
「ミカエル。君の悪いところはそういうところだ。本で読んだ知識だが、女性は男性に比べて長期的な対策を試みる傾向があるらしい。男性はそれとは対照的に、その場凌ぎの対策を即席で考えつくと言われる。君の場合は極端でデメリットだけで行動している気がする。それだと肩身が狭まると思うんだよね。だから思い切って行動することも視野に入れよう」
「カリヒさんはもう少し慎重に行動するべきです」
「そうだね。でも今回は僕に従ってくれ」
「わかりました。何かあればカリヒさんが対策をしてくださいね」
「ああ。任せてくれ」
僕は頷いた。
「ところで、カリヒさん。武器はどれくらい確保しましたか?」
メリラは出会ったばかりの頃よりも明るくなった気がする。僕はそれに対し、雑渡の数字を答えた。
「多分M16を40丁くらいかな?」
するとリーナが訂正した。
「いえ。67です。それともう1つはガトリングです。まあ残弾が少ないので、一度きりの捨て札として使いましょう」
その頃。クロノスはホテルの部屋に来ていた。
「はぁ。カリヒは今何をしているんだ?」
グラスに入ったワインを飲みながら言葉を呟く。特にすることもない午前2時。彼は一気に飲み干し、ベッドに飛び込む。
「1人はいつまでたってもなれないな」
ルースフェルトが殺され、メリラが寝返った為、クロノスの部隊は壊滅した。彼の隣にいる死神はカリヒが飼い慣らしている死神と同じものだ。それをクロノスは自覚していた。
恐怖を死神と呼称した。
カリヒもクロノスも恐怖を武器にしている。しかし、彼らの違いは、制御しているか、振り回されているかというところにある。
これは大切な人を失ったクロノスと、大切な人が隣りにいるカリヒの違いでもある。
そのことはカリヒよりもクロノスのほうがより深く理解している。
「マシロ…俺はあと何回痛みを受ければ罪は償えるのかな?」
…続く
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