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4部分:第四章
第四章
「ライトブルーだった。もうはっきり見えたよ」
「あいつには合ってるな」
「そうだよな」
今度はその久保という女の子を見ての言葉だった。
「ライトブルーはな」
「簡単に想像できるな」
「宇野はピンクだったぜ」
今度見られたのは小柄で垂れ目のおかっぱの女の子だった。
「風が見せてくれたんだけれどな」
「おいおい、それもラッキーだな」
「運がいいよな」
「そうだろ。奇麗なピンクだったぜ」
また笑顔で話す彼等だった。
「とてもな」
「可愛いのをはいてるんだな」
「そうみたいだな」
宇野に目がいく。どうやらこのクラスの男達はかなりの浮気者揃いのようである。
「あと長野もな」
「あいつもかよ」
「そう、あいつもな」
今度は薄茶色のふわりとした髪で垂れ気味のきらきらとした目の色の白い女の子を見るのだった。
「見えたんだよ、この前な」
「へえ、御前はあいつかよ」
「中々運がいいんじゃね?」
「そうだろ」
その女の子の下着について話す男が言ってきた。
「階段を昇ってる時に下から見えたんだよ」
「また随分といいな」
「偶然だよな」
「当たり前だろ」
彼もまた決して狙ってはいないことを強調はする。
「わざと狙ってできるか?」
「いや、そう言われたらな」
「向こうもガードするしな」
これも当然である。誰も見せたくて見せるものではない。だからこそ見えるとなればやはり偶然しかない。あくまで偶然によるものである。
「だからだよな、やっぱり」
「偶然しかないよな」
「そうだよ。それで偶然見えたんだよ」
とにかく偶然なのだった。運に頼るしかない。
「本当にな。有り難かったよ」
「それで色は?」
「何色だったんだ?」
話が戻った。やはりそれであった。
「長野は」
「白か?ピンクか?」
「黄色だった」
それだったというのである。
「レモン色のな。はっきりとしたのだったぜ」
「おいおい、それもいいな」
「黄色かよ」
皆その長野という女の子をちらちらと見て話すのだった。
「あいつが黄色か」
「似合ってるよな」
「なあ」
「けれどよ」
しかしここで一人が言うのだった。深刻な顔になって。
「どうなんだよ。色はいいけれどよ」
「何だよ」
「柄はねえのか?」
彼が言うのはそのことだった。
「ストライブとか水玉とかよ。いねえのかよ」
「ああ、ストライブだったらあいつだぜ」
また一人が言ってきた。今度は細い目をして顔が細長い色白の女の子をこっそりと指差してだ。あくまでこっそりとではあるが。
「坪木がな。そうだったぜ」
「へえ、あいつがか」
「意外だよな」
「青と白の横縞のな」
そこまではっきりと確認したのだった。
「電車のプラットホームで帰り後ろにいたんだけれどな」
「その時に見えたのかよ」
「つうか列車が来てよ」
その彼は楽しそうに話す。
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