おぢばにおかえり
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第二十話 二学期その二
「あの人」
「他には誰が来られたの?」
「八条グループの会長さんが来られたわ」
私の教会の信者さんです。会長さんなのにまだ二十代で凄い奇麗な顔立ちの方です。背は高いしすらりとしていて美男子でお優しくて。素晴らしい方です。
「あっ、そうかちっちって」
「中学校は八条学園だったわよね」
「ええ、中等部までね」
家が教会なので高校は天理高校なんです。
「通ってたわ」
「その縁なの?」
「ううんと、八条家って代々おみちの人なのよ」
「へえ、そうなんだ」
「かなり意外」
「あの奇麗な会長さんが」
有名みたいです。そういえば何か海外でも美男子の企業家で有名だそうです。教会に来られたらそれこそ場が一変する位立派な方です。
「信者さん達の間でもね。一番目立つわよ」
「そうでしょうね」
「ちっちのお家って八条分教会だったわね」
「ええ」
そういう名前です。名前の由来は八条町にあるからです。神戸の長田の。
「八条学園の側よね」
「そうよ、歩いていけるわ」
本当にすぐです。通学が楽でした。
「目と鼻の先だったわね」
「何か羨ましいわね」
「そうね」
「今より楽だったわ」
これは本当のことです。今思えば懐かしいです。
「それでね」
「ええ」
話を続けます。
「物凄く広い学校だったし」
「天理高校よりも広いのよね、確か」
「そうなのよ。それもかなり」
「かなりねえ」
「この学校も広いけれど」
グラウンドが二つもあって校舎も三つあって。これで狭いとはとても言えません。体育館だって二つです。とにかく設備が充実しています。
「それ以上なのね」
「日大より広いの?」
「というか街一個分はあるわ」
学園全体でです。異常な広さです。
「滅茶苦茶広いのよ」
「そうなの」
「そこまで」
「生徒数も多いしね」
これも天理高校以上です。
「何もかもが桁外れなのよ」
「成程」
「それは凄いわね」
「信者さんの御一人に言われたの」
私は皆にそのことも説明します。
「八条学園に残らないかって」
「それでもここに来たのね」
「ええ。やっぱり実家が教会だから」
それでなんです。実家が教会じゃなかったら多分ここには入っていませんでした。私がこの学校に通うってことはお父さんとお母さんにも言われていました。
「それでなのよ」
「そうよね、それはね」
「やっぱり天理高校に通うのって」
教会の子供が圧倒的に多いです。地方から来ている子は殆どそうです。
「いいんじゃない?それで」
「いいの」
「これもお引き寄せよ」
一人がこう私に言いました。
「お引き寄せね」
「そう、親神様がちっちをここにお引き寄せ頂いたのよ」
「そうよね、やっぱり」
その話を聞いて納得できました。おみちのお話なら。
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