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学園黙示録ガンサバイバーウォーズ

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第二話

新たに合流した男女の二人組は、小室 孝と宮本 麗というらしい。どうやら二人は高城とは幼馴染らしいのだ。というか小室という少年は二人の性格は抜きにしても、美人でスタイル抜群の幼馴染がいるという時点で、他の男子からすれば勝ち組なんじゃないかと思うのは、俺の気のせいではない。

まあ、若干羨ましくもあるが、そこまで強い嫉妬はない。

現在の所は俺達は職員室の中に入り、ドアをバリケードを作り<奴ら>の侵入を防ぐように作った。なお、<奴ら>とは小室が命名した。まあ、人間とは違う敵と戦うための認識のための命名だろうと俺は思った。小室が決めたのかと聞くと、小室と宮本が暗い表情になったので、俺はそれ以上は深く聞く事はなかった。

それからバリケードを作り終えて職員室で全員が休憩に入った。ここ数時間もしないうちに色々な出来事が起きたのだ。精神的にも体力的に疲れても仕方がないと俺は思う。

俺は休憩の合間にハイパワーのクリーニングを開始した。ここに来るまでの間に結構撃ちまくっていたかハイパワーにダメージを与えたままで次の戦闘にいくのは危険だからだ。ハイパワーは構造事態はシンプルであるため弾詰まりも故障も少ないが、それでも点検をしないのは別問題だ。自分で銃を点検するのは意外にめんどくさい作業だ。デスバレットなら整備キットというアイテムを購入して使用すれば、簡単にクリーニングが完了するのだが、この世界では整備キットは使用できなくて自分でやるしかないのだ。

本来なら俺はリアルで本物の銃のクリーニングはしたことがないだが、どういうわけかやり方が頭の中に入っている。不思議に思ったが、これもデスバレットの特典の一つだと俺は一人で自己完結した。

整備を終えたハイパワーに9mmパラべラム弾が入っているマガジンを差し込んで終了。これでとりあえずは準備は完了だ。いくら頭でわかってても初めて自分で整備したので若干の不安はあるが

「あの……田中先輩」

「なんだ?」

「さっきから気になってましたけど、それ。本物なんですよね?」

小室が戸惑いながら俺に告げる。

まあ、そうだろうな。どうして学生の俺が普通に日本の一般警官でも装備しないダブルカラムの自動拳銃を装備してる事に疑問に思うだろうな。

「使いたいなら別に貸してやるけど」

「や、やめておきます。銃を撃ったことないですし」

だろうな。銃を持ってるから安心というわけではない。使う状況を間違えれば<奴ら>が発砲音に気がつき、自分の周りに<奴ら>を引き寄せる事になりかねないからだ。それを理解している小室は、戸惑いながらも、それ以上は深く追求はしなかった。

それから脱出のプランを決めるように先に小室が、先生に聞く。

「鞠川先生。車のキィは?」

「あ、バックの中に」

「全員を乗せられる車なのか?」

毒島の言葉に鞠川先生は固まる。どうやら全員を乗せられるサイズの車ではなかったようだ。それで毒島は、部活遠征用のマイクロバスで脱出する事を提案。まだ学校の駐車場に残っている。これで学校を脱出する足は確保した。

そして家族の安否を確認した後に、自衛隊や警察が準備した避難所に行くことを提案。妥当な真面な案であるため、俺は特に否定もしなかった。

「田中先輩は、どうしますか?」

「俺か。家族は床主にいなし、お前達の方針にとやかく指図はしないぜ」

この世界の家族は、親父やお袋も他県に出張してるので家族を探す事はない。というか、この騒ぎで生きているかどうかも怪しいものだしな。




ーーー。

それからテレビのニュースを見て現在、外で起きている状況を確認した。何処もかしこも無残なニュースを流れている。だが、この<奴ら>の騒動は床主だけではなく、日本全国……いや、全世界に拡散していた。

「それだけかよ……どうして、それだけなんだよ!」

これに小室が怒りを露わにする。

「パニックを恐れてるのよ」

「いまさら?」

「いまさらだからこそよ!」

高城はどうやら事の深刻さを理解しているようだ。

「普段は平和だった日本で、いきなりこんなホラー映画よろしくな展開の事件が起きてるんだ。そうなれば誰もは恐怖する。そして恐怖は人々に拡散して真面な思考が出来なくなり、最後は恐怖が全体に回って秩序が崩壊する。そんな状況で戦えるか?」

俺が最後を締めくくるように言うと誰もが言葉が詰まる。

「朝ネットを除いた時はいつも通りだったのに」

「信じない、信じられない……たった数時間で世界がこんなになるなんて」

信じたくもない気持ちは理解は出来るが、これが現実。そして世界の秩序が崩壊した今が現在だ。

「ね、そうでしょう?絶対に大丈夫な場所、有るわよね?きっと今すぐいつもどおりに」

「なるわけないし」

宮本の言葉を否定する高城。

「そんな言い方することないだろ」

「パンデミックなのよ?仕方ないじゃない!!」

「パンデミック……」

校医の鞠川先生は気がつくが、他の皆は首を傾げる。

「感染爆発の事だ。わかりやすく言えばインフルエンザみたいなもんだ」

「そうよ。インフルエンザをなめちゃいけないのは分かってるわよね。スペイン風邪なんて、感染者が六億人以上で死者は5000万人にも及んだのよ!」

「それより14世紀の黒死病に近いかも」

「その時は、ヨーロッパの三分の一は死んだわ」

「どうやって病気の流行が終わったんだ?」

大抵の場合は感染する患者がいなければそこで終わりだ。感染すべき人間がいなければ、それでおしまい何だからな。

「でも、死んだ奴はみんな……動いて襲ってくる」

「……拡大が止まる理由はないというわけか」

「でも、これから暑くなるし、腐って骨だけになれば動かなくなるかも」

「どれくらいでそうなる?」

「夏なら20日程度で一部は白骨化するわ。冬だと何カ月もかかるけど……」

「動き回って人を襲う死体なんて医学の専門外よ。下手をすれば何カ月も続くわ」

常識的に考えれば何も食わないで動き続ければ二、三日で死ぬが<奴ら>は死体。それはあり得ないし、かと言って動く死体の白骨化も医学で扱わない分野であるため白骨化も起きるかどうかも半信半疑であるため、高城は鞠川先生の理論を否定した。

「ここで難しく考えても仕方がない。とりあえず。地元に家族がいる奴は家族の安否の確認の後に安全な場所を探して逃げこむ。この方針で動くことだ。個人で動けば対処に疎かになるし、連携を忘れない。これで行くって事でどうだ」

これに皆が頷く。そして方針が決まった事で全員は職員室から動き出す。前衛を俺、小室、毒島が出る。これに中衛に宮本と平野。後衛に鞠川先生と高城で決定した。

「いい。銃は非常時以外は絶対に使わないで<奴ら>音にだけは敏感よ!それに普通のドアなら破るだけの腕力があるから掴まれたら食われるわ!」

「了解」

それで一度痛い目に合ってるからな。ハイパワーより強力な武器は出せるけど、下手に出して目の前の<奴ら>を倒せても音を聞きつけて<奴ら>が群がってくるし、絶対にマイナスにしかならないからな。


「キャアアアア!!」

正面玄関の階段に近づいた所で悲鳴が聞こえた。そこには四名ほどの生き残りが<奴ら>に囲まれていた。

「やるぞ」

「ああ」

俺達は一斉に<奴ら>に向かっていく。俺が棒で<奴ら>を吹き飛ばしたと同時に、小室達もそれぞれの武器で<奴ら>を倒していく。一斉に攻撃を仕掛けて<奴ら>がこっちに振り向く前に全滅させた。


「かまれたものはいるか?」

「え……いません。大丈夫です」

「僕らは学校から逃げ出す。一緒に来るか?」

全員頷く。当然だろう。こんな<奴ら>だらけの場所にいつまでもいて無事でいられる保証などないのだからな。

それから仲間を増やして正面玄関についたはいいけど<奴ら>が正面玄関に密集していて、動き出すにも動き出せなかった。

「やたらといやがる」

「見えていないから隠れる事なんてないのに」

「じゃ、高城が証明してくれよ」

小室の言葉に高城が詰まる。確かに理論通りにいけば気にはしなくてはいいだろうが、それでも<奴ら>の密集地にいくのは、かなり勇気がいる行為だ。

「なら愚作だけどこいつを使うか?」

俺は事前に用意した手榴弾を小室達に見せる。それを見て小室達から一体どうやって学校に持ち込んだんだよとの視線を感じるが、悪いが俺は気にしない。

「ダメだ。確かに正面玄関にいる<奴ら>を吹き飛ばせるかも知れないが、音が学校全体に響き渡って学校にいる全部の<奴ら>を引き寄せる事になりかねない」

「大丈夫だ。言ってみただけ」

俺も流石にそんな馬鹿をやるほど頭はいっていないつもりだ。

それからどのように<奴ら>の群れを突破しようとみんなが頭を悩ませていた時に、一人行動を移す奴がいた。

「僕が行くよ」

小室 孝だった。つうかよく自分から志願する気になったな。普通の神経なら絶対にやろうとは思わないだろう。その小室がいく事に反対して宮本と毒島が説得するが、毒島や俺はイザという時に備えてくれと言って小室は正面玄関に向かった。



ーーー。


小室が正面玄関にいった時に、張り詰めた緊張感が周りを支配した。確かに高城の理論が正しければ小室は襲われる事はないかも知れない。だが、もし間違っていたら小室は<奴ら>の餌となって<奴ら>の仲間入りを果たす事になりかねないのだから。

俺はいつ小室が襲われることを想定してハイパワーを握って待機しており、毒島も宮本も自分の獲物を強く握りしめていつでも助ける準備に入っていた。


そして小室が近くにあった上履きをあさっての方向に強く投げつけた。そして投げつけた音が響きわたり、<奴ら>は小室を無視して別方向に向かった。そして小室が大丈夫だとジェスチャーして、それを確認した俺達は静かにだが、出来るだけ早く走って正面玄関を出て行く。

外も<奴ら>が沢山いるが、それでも俺達に襲い掛かる様子はない。どうやら本当に俺達に気がついていないようだ。高城の理論は証明された事になる。

これで音にさえ気を付ければ大丈夫だと思った矢先だった……。

金属と金属がぶつかり合う激しい音が、学校全体に響き渡ったのだ。この音に反応して<奴ら>は一斉に俺達の方向に向いて歩き出してきた。一か八かの賭けだが、やるしかないか


「全員耳をふさげ!手榴弾を投げる!」

俺は手榴弾のピンを抜いて、野球の投手のようなオーバースローのフォームで出来るだけ遠くに投げた。そして駐車場より離れた場所に爆発した。その爆発音も先ほどの金属同士の接触音にも負けないほど大きい音であった。

俺は、これを見てどうか別のほうに振り向けと祈った。他の皆も息を飲む。そして<奴ら>は、俺達を無視して手榴弾の爆発音がした方向に向かうのだった。賭けだったが、どうやら俺の賭けは成功したようで安心した。

だが、まだ安心は出来ない。

「走れ!今は別の方向に集中しているが、学校全体に今の音は響いたはずだ!今はいない<奴ら>が来る前に急いで走れ!」

俺の言葉に反応してみんなが一斉に走り出した。そして駐車場にたどり着き、俺達はマイクロバスにたどり着く事に成功した。

「先生!早くエンジンをかけて直ぐに<奴ら>が集まってくるぞ!」

「そ、そんな急かさないでよ田中君!」

とっさに使った手榴弾だが、あの音で目の前にいた<奴ら>を目をごまかしたが、あれで学校全体の<奴ら>が群がってくるんだ。早く脱出しないとまずいぞ。

「全員乗車したか!?」

「後は私と小室君だけだ」

「よし出せ!」

全員が乗車を確認して出発しようとした時だ。

「っくれえ!!」

他にも生存者がいたようだ。あれは確か紫藤じゃなかったかな?模倣的な先生とされており、評判が良いが、俺からすれば裏では他人を見下して自分が選ばれた人間だと勘違いしている馬鹿なクソガキという印象しかない。

まあ、それを大半の人間に見破られないあたりは優秀だと認めるが、悪いが優秀と好きは別で、おれからすればあんまり関わりたくない人間だ。前世の前口上だけは一丁前の上司と被るからだ。

「あんなやつ助ける事ないわ!」

「麗。なにいってんだよいったい」

「助けなくていい。あんな奴。死んじゃえばいいのよ!」

小室と宮本が言い争いとなっている。

「こんな時にケンカすんな」

「あんたはアイツを助けるって言うの!」

「別にどうだっていいよあんな奴」

だって個人的に嫌いな人種だもんアイツ。

「だったら」

「ああもう、うるせえ!アイツがバカやったらこいつを眉間にぶち込む!それでいいな!」

そう言って俺はハイパワーをちらつかせて宮本を黙らせる。こんな時に騒いでるやつほど後でめんどくさい事になりかねないしな。宮本はまだ不満げな表情を隠さずに俺を睨み付けて後ろの席にいき、小室もそれに続く。

「君は本当は過激な性格をしているんだな」

「こんな非常時に行動しないでビクビクして助かると思うか?俺は生き残るのに必要と思って行動してるだけだ」

毒島の中で俺がどんな人間か気になるが、あまり気にしないでおこう。それから紫藤達もバスに乗り込んで、ついに学校を脱出する時がきた。鞠川先生はクラッチをローにしてアクセルを踏んでマイクロバスを動かした。次々とシフトアップを繰り返すマイクロバスのスピードは徐々に上がっていく。

「もう人間じゃない……人間じゃない!!」

校門にいる<奴ら>を吹き飛ばして学校を脱出した。正面の窓には<奴ら>を吹き飛ばした血痕が見えるが、皆は気にしない。そして危機を免れた俺達だが、まだ俺達は本当の意味で危機を脱している訳ではないのだ。

 
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