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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第27話 休息

 
前書き
エルピスとの戦いが終わったゼロ達 

 
エルピスとの戦いを終えたゼロとルインはエックスと別れた後、ルインはあることをした後に再びレジスタンスベースに戻った。

ネオ・アルカディアで起きたことを全員に伝えると、オペレーターのルージュとジョーヌを除いたエルピスの部下達は、何も言わぬままレジスタンスベースを去っていった。

「どうして出て行っちゃったのかな?」

「きっと居辛いんだよ。エルピス司令官があんなことになってしまって……でも、同じレジスタンスなんだから、きっとまた会えるさ」

「うん……」

コルボーがアルエットの頭を撫でながら言うと、アルエットも頷いた。

一方、ゼロはシエルの部屋の片付けをしていた。

シエルの部屋は機材や資料が散らばっており、研究に没頭している間、シエルは面倒臭がって身の回りのことが雑になり、部屋は散らかり放題である。

シエルの部屋のあまりの惨状は、ルインどころかゼロも見かねるほどだったので、時にはアルエットを巻き込んで部屋を片付けてやっているのだ。

「シエル、休憩にしろ、コーヒーを淹れたから飲め」

インスタントコーヒーの粉をカップに入れ、砂糖とミルクを入れるとシエルと自分の分をテーブルに置く。

「ありがとう…。」

一時休憩してシエルがコーヒーを一口啜ると、ゼロもコーヒーを口に含んだ。

自分好みの甘さにシエルの表情が綻んだ。

「それにしても…ルインは大丈夫かしら…いくらエックスのサイバーエルフが無事でも…ボディを失ったんじゃ…」

「シエル…ボディを失ったレプリロイドのサイバーエルフは…最終的にどうなる?」

「そう…ね…レプリロイドがサイバーエルフとなること自体が稀だからハッキリとは言えないけれど…力を使わない限りは普通のサイバーエルフと同じくらいには生きられると思うわ。ただ力を使いすぎると…。」

「消えてしまう可能性が高い…か。それを防ぐ方法はないのか?」

出来ることならエックスが消えることは避けたい。

「代わりに入れるボディがあれば…だけど。エックス程のレプリロイドのサイバーエルフとなると、並みのボディでは耐えられないわ。少なくてもゼロやルイン、コピーエックスや四天王のような特別製ボディなら耐えられかもしれないけど…」

「…エックスの新しいボディを造ることは出来ないのか?シエル。」

コピーエックスを造ったシエルならエックスの代用ボディを造れるのではないかとゼロは考えたが…。

「ごめんなさい…ここの設備ではコピーエックスや四天王クラスの特別製のボディなんて造れないわ。造るとなると、ネオ・アルカディアくらいの設備がないと…」

「そうか…だが、エックスもすぐに消えてしまう訳じゃない。ネオ・アルカディアと和解さえすれば…」

もしかしたら、ネオ・アルカディアの設備でエックスのボディを造れるかもしれない。

四天王も主であるエックスが消滅するのは避けたいはず、ゼロはそれに賭けるしかないと思った。

「それにしてもルインは…どこに行ったのかしら…?」

「エックスの所だ。あいつも不安なんだろう」

いつエックスがサイバーエルフの力を使い果たし、この世界を去ってしまうのか分からないため、少しでも傍にいたいのだろう。

そしてルインは荒れ果てた荒野を静かに見つめていた。

「これが…昔よく行った花畑?」

「うん…そうだよ。コロニーの落下や妖精戦争のせいで沢山の自然がなくなったから…」

昔はあんなに花が咲き乱れていた花畑も今では草木一本もない、ただの荒野となっている。

「そっか…」

今までの思い出の場所に行きたいというルインの願いに応えて、イレギュラーハンター時代、よく来た花畑はコロニーの落下などにより何も無くなってしまった。

「ごめんね、エックス。我が儘言っちゃって」

「別にいいよ。あんなことがあったからネオ・アルカディアからの攻撃はしばらくはないだろうし、ゼロもルインも、しばらくは休めるはずだから」

「前々から思ってたけどさ。エックスって、その情報をどこから仕入れてくるの?」

「簡単だよ。ネオ・アルカディアのコンピュータにサイバー空間を介して侵入して、データを持ってきているだけ」

「一応エックスって、統治者様だよね?偉い人なんだよね?何、昔の忍び部隊顔負けのハッキング方法を…ハルピュイア達が聞いたら確実にセキュリティ強化しそう」

「はは、そうだね」

「でもエックスのことだから軽くセキュリティ突破しちゃうんだろうね」

「曲がりなりにもネオ・アルカディアの統治者であり、彼らの主だったからね。」

「あはは…そう言えばここら辺は随分気候が安定しているようだね」

気のせいかもしれないが、ここら辺の気候は他と比べて安定しているように見える。

「うん…どうやらハルピュイアはちゃんと職務を全うしているようだね…」

「ハルピュイアの職務?」

「ハルピュイアは気象操作能力を持っていて、レヴィアタンとの連携で、人々が生活出来る環境を拡大するのが主な任務なんだ。相変わらず、真面目だね」

「真面目…多分ハルピュイアはエックスの真面目さを個性として受け継いだに違いないよ。うん」

ハルピュイアの基になったのはエックス(と一応ルイン)だったのだから、当たり前のように似ている。

勿論他の四天王もエックスの性格を個性の一つとして受け継いでいるのだが。

ハルピュイアは生真面目さ(後は頑固さ)。

レヴィアタンは特別な存在に対する一途さ。

ファーブニルはエックスの真っ直ぐな性根。

ファントムに関しては会ってすらいないが、コピーエックスを守るために自爆までしたのだから、誰かを守ろうとする心…悪く言えば自己犠牲精神を受け継いでいるようだ。

「…………」

「……何だい?ルイン?」

自分に向けられる視線に気付いたエックスが振り返る。

「あ、ううん。ただ、子供は親に似るんだなあって思っただけ」

「レヴィアタンの顔やファーブニルの何かに夢中になると周りが見えなくなるところは君譲りだよ。ハルピュイアやファントムにも君を彷彿とさせる要素が受け継がれているよ確実に」

「…それって、どういう意味かなあ?エックス様?」

ジト目でエックスを見遣るが、エックスは素晴らしい笑顔を浮かべたままだ。

「ふふ、ハルピュイア達には確実に君のDNAが刻まれてるってことだよ」

「むう~」

むっとなるルインに、エックスは微笑を浮かべる。

その微笑を見て、ルインも少しの間を置いて苦笑を浮かべた。

「エックス…消えたりしないよね?」

何度も何度も繰り返してきた言葉。

ボディを失ったエックスはサイバーエルフとして生きているが、もし無理をして消滅してしまったらといつも考えてしまう。

「大丈夫だよ…僕はまだ消えるつもりはないから。まだまだやらなければならないことが沢山あるからね」

「うん…」

エックスと共に雲1つない青空を見上げる。

新エネルギーを開発し、もしネオ・アルカディアと和解出来たなら、シエルに頼んでエックスのボディを造ってもらおう。

だからそれまでは消えないで欲しいと切に願った。

「ハルピュイア達にも申し訳ないことしちゃったな…」

エルピスとの戦いの後、ハルピュイア達にユグドラシルで起きたことを全て話し、エックスの残骸をハルピュイア達に託した。

その時のハルピュイアの無念そうな表情は忘れない。

だからこそ、何事も起こらずにネオ・アルカディアと和解出来ることをルインは願った。 
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